「桜木花道のバッシュって、どのモデルだっけ?」
「たしか赤と黒のやつで、めちゃくちゃカッコよかった記憶があるんだけど…」
そう思って検索したあなたは、きっと『SLAM DUNK』が好きでたまらないバスケファンかスニーカーヘッズだろう。作中であの天才ルーキーが履いていたシューズには、実はものすごく深いドラマが隠れている。
この記事では、桜木花道が愛用したバッシュの正体から、現実世界で発売されたプレミア必至のコラボモデル、さらにフィギュアの世界まで、とことん深掘りしていく。最後まで読めば、今日からあなたも桜木バッシュ通だ。
まずは結論。桜木花道が履いていたバッシュはNike Air Jordan 6
作中で桜木花道がメインで履いているバッシュは、Nike Air Jordan 6だ。白をベースに赤のアクセントが入ったカラーリングで、彼のユニフォームや坊主頭と相まって、強烈な印象を残している。
井上雄彦先生がよほどこのシューズを気に入っていたのか、試合シーンでの描き込みは神がかっている。特に陵南戦や山王戦では、シューズのフォルムやジャンプマンのロゴまでしっかり描かれていて、当時の読者はみんなシューズショップに走ったという伝説まである。
しかし、ここで話は終わらない。もう一足、絶対に外せないバッシュがある。
伝説の「30円バッシュ」ことAir Jordan 1 “Bred”
「え、ジョーダンってそんなに安いの!?」
作中、練習でAir Jordan 6を履き潰してしまった桜木が、シューズショップに連れて行かれる名シーンがある。店主の小暮さんのもとで、当時の最新モデルではなく一世代前のエアジョーダン、Nike Air Jordan 1 Bredを出してもらう場面だ。
黒に赤の差し色、通称”ブレッド”と呼ばれる伝説のカラー。このシューズを、桜木はなんと30円で手に入れる。
いや、正確には値切ったのだ。小暮さんが泣く泣く100円に値段を下げたのを、花道はさらに30円にまけさせた。バスケットマンとしてのプライドと、高校生の財布事情がぶつかり合った、『SLAM DUNK』史上に残るコメディシーンである。
このAir Jordan 1 “Bred”こそ、桜木が全国大会の湘北を支えた相棒であり、山王戦で見せたあの伝説的な身体を張ったプレーの数々をともにしたバッシュだ。読者の記憶に焼き付いている赤と黒のシューズは、実はこっちだったというわけだ。
現実になった夢。Jordan Brand×SLAM DUNKコラボの全貌
作中だけの夢物語かと思いきや、2014年、とんでもないサプライズが現実のものとなった。
Nikeのバスケットボール部門「Jordan Brand」が、漫画『SLAM DUNK』との公式コラボレーションを発表したのだ。しかも、単なるプリントTシャツにとどまらない。シューズ本体に、井上雄彦氏の描く世界をこれでもかと落とし込んだ、本気としか言いようがないコレクションだった。
ここでは、その全貌を詳しく見ていこう。
Air Jordan 6 “Slam Dunk” ~主役モデルの豪華版~
コラボのメインを飾ったのは、やはりNike Air Jordan 6 Retro Slam Dunk。作中と同じく赤を基調とし、アッパーにはなんと漫画の名シーンが3M素材(光を当てると反射する特殊加工)でプリントされている。
通常の光の下ではスタイリッシュなレッドのシューズに見えるのに、フラッシュを焚くと流川との激突シーンやゴリのダンクシーンなどが浮かび上がる。この「魅せる」仕掛けには、当時のスニーカーヘッズたちが卒倒した。
特製ボックスには井上雄彦氏の描き下ろしイラストが使用され、価格はなんと約250ドル。日本でも抽選販売が行われ、軒並み即完売。桜木の背番号と同じ10番をあしらったデザインもファン心をくすぐるポイントだ。
Jordan Super.Fly 3 ~描き下ろしイラストが語る18年後の桜木~
そしてもう一足、見逃せないのがJordan Super.Fly 3 Slam Dunkである。
このシューズ最大のトピックは、井上雄彦氏がこのコラボのために「18年後の桜木花道」を描き下ろしたこと。シューズのボックスには、大人になった桜木の横顔が描かれ、アッパーにもそのイラストがプリントされている。
当時、このビジュアルが公開された瞬間、SNSは「桜木の今」を想像するファンの声で埋め尽くされた。NBA選手になったのか、それとも日本のバスケ界を支えているのか。答えは井上先生の筆の中にしかないが、その余韻をシューズに閉じ込めたナイキの手腕は見事というほかない。
一足15万円超え。現在の市場価値と購入ルート
さて、ここまで読んで「欲しい」と思ったあなたに現実をお伝えしよう。
このコラボモデルは前述の通り2014年の限定発売で、現在は正規店での販売は終了している。そのため、手に入れるにはスニーカーの二次流通市場(リセールマーケット)を利用するしかない。
具体的な相場を見てみると、Air Jordan 6 “Slam Dunk”が未使用品で約15万円から25万円前後。状態の良い中古でも10万円を下回ることはまずない。Super.Fly 3も同様に高騰しており、両方揃えようものなら軽く30万円は覚悟する必要がある。
購入先としては、スニーカー リセールや国内外のフリマアプリ、あるいは専門のスニーカーリセールショップが候補になる。ただし、このレベルのプレミア品には偽物も多く出回っているため、必ず鑑定済みのプラットフォームを利用し、購入前に出品者の評価をしっかり確認してほしい。安すぎる出品には、間違いなく裏がある。
フィギュアで再現された桜木花道のバッシュ
「さすがに実物のシューズは手が出ない…」という方に、ぜひ知ってほしい楽しみ方がある。それがフィギュアの世界だ。
近年、SLAM DUNK フィギュアの造形は驚くべき進化を遂げている。井上雄彦氏監修のハイエンドフィギュアシリーズ「Style in The Moment」では、桜木花道が履くAir Jordan 6のフォルム、ソールのパターン、さらにはシューレースの結び方まで徹底的に作り込まれている。
Kaustic Plastik社の桜木花道フィギュアも人気が高く、こちらにはAir Jordan 1とAir Jordan 6の両方が付属する仕様だ。シューズ単体ではなく、桜木のポージングと一体になったバッシュは、ファンのコレクション欲をこれでもかと刺激してくる。
価格帯は2万円から5万円ほどで、プレミア価格の実物シューズに比べればまだ現実的な選択肢だ。何より、飾って楽しめるのがフィギュアの醍醐味。作中の名シーンを棚の上に再現するのも、立派な『SLAM DUNK』の楽しみ方である。
桜木花道のバッシュが教えてくれること
ここまで、桜木花道のバッシュにまつわるあれこれを紹介してきた。
これらは単なるシューズの解説ではない。30円のバッシュで全国の猛者たちに立ち向かった無鉄砲なルーキーの物語であり、その魂を受け継いだスニーカーが、作者自身の手で現実世界に送り出された奇跡の記録だ。
もしあなたが今、自分の足元を見て「ちょっとくたびれたな」と思ったなら、桜木花道のバッシュを思い出してほしい。シューズの価値は値段じゃない。それを履いて、どこへ飛び込むかだ。
最後にひとつ、どうしても言わせてほしい。
小暮さん、本当に30円でいいんですか?


