環境意識の高まりとともに、ファッションの世界でも「サステナブル」という言葉を耳にする機会が増えました。そんな中で注目を集めているのが、Rombaut(ロンバート)のスニーカー。動物由来素材を使わない“ヴィーガンブランド”として知られつつ、そのデザイン性の高さでもファッション好きの間で話題になっています。今回は、Rombautの魅力を素材・デザイン・ブランド哲学の面から深掘りしていきます。
Rombautとは?ベルギー発のサステナブルブランド
Rombautは、ベルギー出身のデザイナー、マット・ロンバート(Mats Rombaut)が2013年に立ち上げたブランドです。拠点はパリ。ファッションの都から発信されるデザインは、洗練されていながらもどこか実験的。従来のスニーカーとは異なる、未来的でミニマルなフォルムが特徴です。
Rombautが掲げる最大のテーマは「倫理的なファッション」。動物性の素材を一切使わない完全ヴィーガン設計を貫き、地球環境に配慮した製造方法を採用しています。これは単なる流行のサステナビリティではなく、ブランド創設者自身の信念に根ざした思想。マット・ロンバート自身がヴィーガンであり、環境問題に対する意識を強く持っていることが、ブランドの芯にあります。
サステナブル素材へのこだわり
Rombautのスニーカーが注目される理由のひとつは、その素材選びの独創性です。一般的なレザースニーカーが動物の皮革を使用するのに対し、Rombautは100%植物由来またはリサイクル素材を使用。環境への負荷を最小限に抑えつつ、履き心地やデザイン性を損なわない工夫がなされています。
たとえば、「アップルレザー」や「コーンレザー」といった再利用素材。これは廃棄されるリンゴやトウモロコシの皮を加工し、レザーのような質感を再現したものです。また、天然ゴムやココナッツ繊維、リサイクルラバーなども積極的に採用。さらに、ソールには海藻を混ぜたフォーム素材“Rise by Bloom”を使うなど、従来のスニーカーでは見られない素材が多用されています。
環境への配慮と同時に、履く人の感性を刺激するようなデザインに仕上げる。このバランス感覚が、Rombautの人気を支えています。
代表作「Boccaccio II」に見る近未来的デザイン
Rombautのアイコン的存在といえば、「Boccaccio II」。このモデルはブランドを象徴する一足として、国内外のファッションメディアでも度々取り上げられています。ソールの立体的な形状やボリュームのあるシルエットは、まるで建築作品のよう。無機質な美しさの中に、どこか有機的な温かみを感じさせるデザインが特徴です。
カラー展開も豊富で、ホワイト・ブラック・グレーといったモノトーンに加え、グリーンやシルバーといった個性的な色も登場。どのカラーもスタイリングを引き締め、ストリートにもハイファッションにも馴染む汎用性があります。素材はもちろんすべてヴィーガン仕様で、ポルトガルの職人による丁寧なハンドメイド製造が行われています。
世界のセレブも愛用するRombaut
Rombautの人気は一般のファッションファンにとどまりません。海外では多くのセレブリティが愛用しており、Bella Hadid(ベラ・ハディッド)、Lil Nas X(リル・ナズ・X)、FKA Twigs、そしてBTSのSUGA(シュガ)などがその代表例。彼らの着用によって、Rombautは「エシカルでありながらクール」という新たな価値観を提示しました。
SNSやストリートスナップでも、Rombautのスニーカーは強い存在感を放っています。特にファッション感度の高い若年層を中心に、「環境配慮=地味」という固定観念を覆した点が評価されています。ファッションとして楽しみながら、同時にサステナブルな選択ができる。この新しいスタイルが支持を集める理由です。
デザインの背景にある哲学
マット・ロンバートの哲学は、ファッションの枠を超えて“倫理的なライフスタイル”全体に通じています。彼はインタビューの中で、「私たちは自然と対話しながら生きるべきだ」と語っています。Rombautのデザインには、自然界の構造やリズムから着想を得た要素が多く見られます。
また、ブランドのビジュアルやキャンペーンも非常にアート性が高く、未来都市やサイバーパンク的世界観を感じさせるものが多いのも特徴。単なるスニーカーではなく、「思想を履く」という感覚に近いのがRombautの魅力です。だからこそ、他のヴィーガンブランドとは一線を画す存在になっています。
他ブランドとのコラボレーションにも注目
Rombautは、独自の美学を持ちながらも、他ブランドとのコラボにも積極的です。特に話題となったのが、PUMA(プーマ)とのコラボレーションモデル「PUMA Levitation」。浮遊感のある近未来的フォルムと、環境に配慮した素材の融合が高く評価されました。単なるコラボスニーカーではなく、「ファッションとサステナブルが融合した新しいアート作品」としての側面を持っています。
こうした他ブランドとの取り組みを通して、Rombautは“実験的でありながら現実的”という絶妙な立ち位置を確立しています。常に進化を止めず、未来志向のブランドとして新しい挑戦を続けているのです。
一部での批評と課題
一方で、Rombautのような新しいブランドには課題もあります。独立評価機関の中には、動物性素材を使用しない点は高く評価する一方、サプライチェーン全体の透明性や労働環境への配慮については改善の余地があると指摘する声もあります。
ただし、これはブランドが若く、まだ成長途上であることの裏返しでもあります。創業から10年余りでここまでの影響力を築き上げたこと自体が驚異的。サステナブルな素材開発や製造工程のさらなる透明化が進めば、今後さらに高い評価を得る可能性があるでしょう。
Rombautのスニーカーが提案する新しい価値観
Rombautのスニーカーは、単なる“環境に優しい靴”ではありません。ファッションを通じて、私たちが日常的にどんな選択をしているかを問いかけてくる存在です。履くことで、無意識にサステナブルな未来に参加できる。その体験こそがRombautの真の魅力といえます。
スタイル面でも、Rombautのスニーカーはあらゆるファッションに馴染みます。ミニマルなセットアップに合わせれば都会的に、カジュアルなデニムスタイルに取り入れれば個性を引き立てる。性別を問わず、ジェンダーレスに楽しめるのも人気の理由です。
まとめ:Rombautのスニーカーが描く“未来のファッション”
Rombautのスニーカーは、サステナブルな素材と近未来的なデザインを融合させた、新時代のアイコンといえます。素材の背景やデザイン哲学には、環境問題や社会意識と真摯に向き合うブランドの姿勢が反映されています。
“おしゃれであること”と“地球に優しいこと”は両立できる。Rombautはそのことを証明してみせました。これからの時代、ファッションはただ身にまとうものではなく、自分の価値観を表現する手段。その象徴がRombautのスニーカーなのかもしれません。
環境に配慮した素材、芸術的なフォルム、そして未来を見据えたデザイン。そのすべてが詰まったRombautのスニーカーは、これからも私たちの足元からファッションの可能性を広げてくれるはずです。


