スニーカー好きなら一度は耳にしたことがある「raf simons(ラフ・シモンズ)」。その名は単なるファッションブランドにとどまらず、アディダスとのコラボによってスニーカーカルチャーの歴史を塗り替えた存在として語り継がれています。本記事では、ラフ・シモンズのスニーカーの魅力を、コラボモデルから自身のラインまで徹底的に紹介します。
raf simonsとは?そのデザイン哲学
raf simonsは、ベルギー出身のファッションデザイナー。1995年に自身のブランドを立ち上げ、モード界における「青年期」や「サブカルチャー」をテーマにした作品で注目を集めました。
その後、Jil Sander(ジル・サンダー)、Christian Dior(クリスチャン・ディオール)、Calvin Klein(カルバン・クライン)など、世界的ブランドでクリエイティブディレクターを務め、現在はPrada(プラダ)の共同ディレクターとしても活躍しています。
彼のデザインは、ミニマルで知的でありながら、どこか反骨的。ストリートとハイファッションの境界を曖昧にし、服に“意味”を宿らせるような表現が特徴です。その感性が最も色濃く反映されたのが、アディダスとのコラボスニーカーでした。
アディダスとの歴史的コラボレーション
raf simonsがスニーカーファンの間で一気に知名度を上げたのは、2013年から始まったadidas(アディダス)とのコラボレーション。
このコラボは単なるデザイン提案ではなく、「スポーツ」と「モード」の融合を象徴する歴史的な試みでした。
ラフ・シモンズは、アディダスのランニングやテニスシューズといったクラシックモデルをベースに、未来的かつ芸術的なアレンジを加えました。その結果生まれたのが、後述するRS OzweegoやRS Stan Smithなど、今でも高く評価される数々の名作です。
2019年頃まで続いたこの協業は、単なるブランドコラボを超えて“スニーカーをアートに変えたプロジェクト”としてファッション史に刻まれています。
代表的モデル① RS Ozweego
ラフ・シモンズ × アディダスの中で最も有名なのが「RS Ozweego」。
1990年代のランニングシューズをベースに再構築されたデザインは、厚みのあるソールと独特のレイヤード構造が特徴。特に半透明のシリコンパーツが印象的で、未来感と重厚感が共存するデザインに仕上がっています。
このモデルは、現在の“ダッドスニーカーブーム”の火付け役とも言われています。バレンシアガの「Triple S」などに先駆けて、ボリュームシルエットをファッションの中心に据えた存在です。
また、カラーバリエーションも豊富で、ピンクやメタリックなど、ラフ・シモンズらしい挑戦的な配色が多く見られます。
代表的モデル② RS Stan Smith
クラシックなテニスシューズをベースに、ラフ・シモンズの感性で再構築したのが「RS Stan Smith」。
通常のスタンスミスとは異なり、アッパーの通気穴が“R”の形にデザインされている点が特徴的です。素材は上質なレザーが使われ、インソールやヒールタブには“RAF SIMONS”のロゴが刻印されています。
もともとクリーンな印象のあるスタンスミスを、より洗練されたラグジュアリースニーカーに昇華させたこのモデルは、コラボ期間中も常に人気上位を維持。
通勤にも休日にも使える汎用性の高さが魅力で、モード派だけでなく幅広い層に支持されています。
代表的モデル③ RS Detroit Runner
近未来的なフォルムで話題を呼んだ「RS Detroit Runner」。
スニーカーの上に金属フレームをまとったような構造で、インダストリアルデザインを思わせる存在感が特徴です。
アディダスらしいスポーティーさと、ラフ・シモンズ独自の前衛性が見事に融合しています。
このモデルはファッションショーでも多くのスタイリングに使用され、まるで“歩くアート”のような存在としてファッションメディアにも多数掲載されました。
その他の注目モデル
ラフ・シモンズとアディダスは、RS OzweegoやRS Stan Smith以外にも、Samba、Micropacer、LA Trainerなどのクラシックモデルを再解釈しています。
いずれもオリジナルの構造を保ちつつ、カラーや素材に独自の変化を加えることで、アートピースのようなスニーカーに仕上げられています。
特にSambaのコラボモデルは、ヴィンテージとモードの中間のような佇まいで、近年再注目されています。
自身のスニーカーライン「Raf Simons (Runner)」
アディダスとのコラボ終了後、ラフ・シモンズは2020年頃から自身のスニーカーライン「Raf Simons (Runner)」をスタートさせました。
これは、彼のファッション哲学をより直接的に体現したシリーズで、機能性よりも造形美と存在感を重視しています。
代表的なモデルには「Orion」「Cylon」「Antei」「Solaris」などがあります。
特に「Cylon」はRS Ozweegoを彷彿とさせる近未来的なフォルムでありながら、メタリックなパーツや流線型デザインを取り入れた進化版ともいえる存在です。
このラインは、アディダスとの協業で築いたスニーカー文化への影響をさらに拡張し、“ハイファッションとしてのスニーカー”を確立したと評されています。
ラフ・シモンズスニーカーの魅力とコーデのポイント
ラフ・シモンズのスニーカーが多くのファッション好きに支持される理由は、そのデザイン性の高さとスタイリングの自由度にあります。
たとえば、ボリュームのあるRS Ozweegoはワイドパンツやロングコートと相性がよく、ストリート×モードなコーデに最適。
一方で、RS Stan Smithはシンプルで清潔感があり、ジャケットスタイルやきれいめコーデにも自然に馴染みます。
また、素材やカラーリングが特徴的なため、足元に一点投入するだけで全体の印象を引き締める効果もあります。
特にモノトーンコーデにメタリックカラーのRS Ozweegoを合わせると、モード感がぐっと高まります。
スニーカーカルチャーへの影響
raf simonsのスニーカーは、単なるファッションアイテムではなく、カルチャーの象徴でもあります。
アディダスとのコラボによって、スニーカーが「スポーツ用品」から「ファッションの主役」へと進化したことは、現在のスニーカーブームの基盤を作ったと言っても過言ではありません。
また、デザイン面だけでなく、アートや音楽、建築など多分野の要素をスニーカーに落とし込む手法は、後のデザイナーたちにも大きな影響を与えました。
スニーカーを履くこと自体が、個性や思想を表現する行為へと変化した背景には、ラフ・シモンズの存在があるのです。
現在の入手方法と市場評価
ラフ・シモンズ × アディダスのコラボモデルはすでに生産が終了しており、現在は中古市場やリセールサイトで取引されています。
特に人気の高いRS OzweegoやRS Stan Smithはプレミア価格がつくこともありますが、一部カラーやサイズによっては比較的手頃に入手できる場合もあります。
また、現在展開されている「Raf Simons (Runner)」シリーズは、公式サイトやハイエンドセレクトショップで販売中。新作が出るたびに話題になるほど、ファッションシーンでの注目度は依然として高い状況です。
raf simons スニーカーの未来
ラフ・シモンズが築いたスニーカーの世界は、いまやファッション史の一部となっています。
アディダスとのコラボを通じて「スニーカー=文化的表現」という概念を広め、自身のラインではさらに芸術性を追求。
その進化の軌跡は、これからも多くのデザイナーやブランドにインスピレーションを与え続けるでしょう。
raf simons スニーカーの魅力を再発見しよう
ラフ・シモンズのスニーカーは、履くだけでスタイルが完成する特別な存在です。
アディダスとの歴史的コラボから自身のRaf Simons Runnerまで、そのデザインは常に時代を超えた魅力を放ち続けています。
トレンドに左右されないアイテムだからこそ、今こそもう一度その魅力を見直してみてはいかがでしょうか。


