スニーカー好きなら誰もが一度は手に取ったことのあるブランド、PUMA（プーマ）。創業から70年以上を経た今も、ストリートからスポーツ、そしてファッションの最前線まで、幅広い層から愛され続けています。この記事では、PUMAスニーカーの魅力を掘り下げながら、定番モデルから最新トレンドまでを徹底的に紹介します。
PUMAスニーカーの原点とブランドの背景
PUMAは1948年、ドイツのヘルツォーゲンアウラハでルドルフ・ダスラーによって誕生しました。彼の兄アドルフが設立したのがアディダスであり、PUMAとアディダスは「兄弟ブランド」として知られています。この背景が、両ブランドの競争と革新を加速させ、スポーツシューズ文化を世界に広めるきっかけとなりました。
PUMAの象徴といえば、サイドを走る“フォームストリップ”。この独特の曲線ラインは1959年に特許を取得し、現在でもすべてのPUMAスニーカーに受け継がれています。
スニーカー史に刻まれた名作「PUMA Suede」
PUMAを語るうえで欠かせないのが「PUMA Suede（スエード）」です。1968年に登場し、スエード素材を使った革新的なスニーカーとして人気を博しました。当時はレザーやキャンバスが主流だったため、異素材の組み合わせは新鮮そのものでした。
スエードはスポーツの枠を超え、文化的アイコンにもなりました。1968年のメキシコ五輪では、黒人選手が抗議の意思を示す際に着用していたことでも知られています。その象徴的な姿が世界中に報道され、PUMAは「社会とともに歩むブランド」としての存在感を確立しました。
その後、1980年代にはブレイクダンサーたちの足元を飾り、ヒップホップカルチャーの中でも確固たる地位を築きました。今でも「Suede Classic」や「Suede VTG」といった復刻版が登場し、レトロなシルエットと上品な素材感が再び注目を集めています。
モータースポーツの血を引く「Speedcat」の復活
もう一つの定番が「Speedcat（スピードキャット）」です。1999年、F1ドライバーのレーシングシューズをベースに誕生したモデルで、低いソールと細身のフォルムが特徴。足に吸い付くようなフィット感とスタイリッシュな佇まいが人気を呼び、当時はファッション業界でも大ヒットしました。
近年、再びロープロファイルスニーカーがトレンドになり、Speedcatは“Y2Kファッション”の象徴として復活。2025年には「Speedcat OG」「Speedcat Ballet」など派生モデルも登場し、クラシックとモードの融合が新たなファン層を獲得しています。
ストリートとスポーツの架け橋「Clyde」と「Palermo」
NBA選手ウォルト・クライド・フレイジャーの名を冠した「Clyde（クライド）」も、PUMAの歴史を語る上で外せません。1970年代のバスケットボールシューズとして登場し、その後はストリートファッションの定番に。丸みのあるフォルムとスエード素材の組み合わせは、今でも多くのブランドが参考にしています。
また、80年代のイタリア・サッカーシーンから生まれた「Palermo（パレルモ）」も注目モデルです。2024年ごろから再販が始まり、薄底＆クラシックデザインが若者を中心に人気に。BLACKPINKのRoséがブランドアンバサダーに起用されたこともあり、韓国・日本を中心に爆発的に再流行しています。
PUMAが支持される理由：クラシック×テクノロジー
PUMAの魅力は、単なる“見た目の良さ”だけではありません。ブランドの根幹には、スポーツブランドとして培われた機能性があります。たとえば1980年代に登場した「RS（Running System）」シリーズでは、衝撃吸収性を高める独自のクッション構造を採用。これが後のランニングシューズ技術の礎となりました。
現在では、「RS-X」や「RS-Dreamer」など、レトロなデザインとハイテクソールを融合したモデルが人気を博しています。軽量性と安定感を両立し、長時間の歩行でも快適。デザイン性だけでなく、履き心地の面でも評価が高いのです。
コラボレーションが生む新しい魅力
PUMAはファッションやカルチャーとのコラボレーションにも積極的です。ジル・サンダー、BMW、フェラーリなど、異業種との提携で独自の世界観を築いてきました。さらに音楽・アートの分野でも、Rihannaとの「FENTY×PUMA」コレクションが代表的。特に「Creeper」シリーズは厚底ながらも軽量で、世界的ヒットを記録しました。
その後もA$AP RockyやDua Lipaなど、若者文化の中心にいるアーティストたちとの協業を続け、PUMAは常に“時代の空気”を取り込みながら進化しています。2025年には、Rihannaとの新作コレクション「Creeper Phatty Earth Tone」も発売され、再び話題を呼びました。
最新トレンド：Y2Kとクラシックリバイバル
今のPUMAスニーカー市場で注目されているキーワードは「Y2K（2000年代風）」と「クラシックリバイバル」です。厚底のボリューム感やメタリックカラーなど、レトロなムードを感じさせるモデルが再評価されています。一方で、薄底のSpeedcatやPalermoのようなローテクモデルも人気で、「軽やかさ」を重視する動きも見られます。
PUMAはこの二つの潮流を巧みに融合。たとえば「Mayze」シリーズは、厚底ながらスエード素材やクラシックなカラーリングを採用し、Y2K感と上品さを兼ね備えたデザインに仕上がっています。ファッション誌やSNSでも人気が高く、「どんな服にも合う万能スニーカー」として紹介されることも増えています。
環境への取り組みも進化中
最近のPUMAは、環境配慮型のスニーカー開発にも力を入れています。再生素材を使った「Re:Suede」プロジェクトや、CO₂排出量を削減した製造工程など、サステナブルな取り組みを積極的に推進。見た目だけでなく、ブランドとしての責任感を打ち出しています。
「PUMA x First Mile」シリーズでは、ペットボトルを再利用した糸を使い、軽量で通気性に優れたスニーカーを製作。エコ志向の若年層からの支持を集めています。
PUMAスニーカーを選ぶ楽しさ
PUMAのスニーカーを選ぶ魅力は、何よりも“幅の広さ”にあります。ストリートファッションに合わせたい人はSuede ClassicやClyde。スポーティなスタイルならRS-Xシリーズ。シンプルでモードな足元を演出したいならSpeedcat。どんなテイストにも合う柔軟性が、PUMAの真骨頂といえるでしょう。
また、サイズ展開が豊富でユニセックスなデザインも多く、性別を問わず履ける点も人気の理由。親子でおそろいのコーデを楽しむ人も増えています。
これからのPUMAスニーカーに期待したいこと
2025年以降のPUMAは、クラシックモデルの復刻とハイテク技術の融合をさらに加速させると予想されています。アスリートモデルではNBA選手タイリーズ・ハリバートンのシグネチャー「HALI 1」が話題を呼び、ファッションシーンでは厚底×レトロのハイブリッドスニーカーが続々と登場。
テクノロジー・デザイン・カルチャー、この三位一体がPUMAの強さです。
PUMAスニーカーは単なる靴ではなく、時代を映す鏡のような存在。新旧のデザインが交わることで、次のトレンドを作り出しています。今後もその進化から目が離せません。
PUMAスニーカーの魅力をもう一度
クラシックなSuede Classic、レーシング由来のSpeedcat、そして現代的なRS-Xシリーズ。どのモデルにも共通しているのは、「PUMAらしさ」という確かな個性です。
伝統と革新を両立し、履く人のライフスタイルに寄り添う。そんなPUMAスニーカーの魅力は、これからも色あせることはありません。
