スニーカーショップ「playground（プレイグラウンド）」をご存じでしょうか？
東京・富ヶ谷の静かな住宅街に店を構えるこのショップは、ストリートカルチャーに根ざしながらも、機能性と合理性を重視した独自のスニーカー観で注目を集めています。トレンドや希少性ではなく、「使うこと」「履くこと」にフォーカスした選び方。この記事では、そんなplaygroundの魅力と、代表的なオリジナルブランド「pg（ピージー）」を中心に、ストリート感と機能美を両立したおすすめモデルを紹介します。
playgroundとは？遊び心と実用性を両立するスニーカーショップ
playgroundは2018年、スニーカー好きの間で知られる草賀雄介氏と松本龍彦氏によってオープンしました。
草賀氏は、スニーカーに関する深い知識と審美眼を持ち、自らも数百足のスニーカーを所有するほどのマニア。一方の松本氏はデザイン分野の出身で、ショップの空間構成やビジュアルディレクションを手がけています。この2人の感性が融合したplaygroundは、「履いて楽しい」「使って納得できる」スニーカーを提案する新しいタイプのショップとして誕生しました。
店舗名の“playground＝遊び場”には、「スニーカーを通じて自由に遊び、発見する場をつくりたい」という想いが込められています。渋谷や原宿の喧騒から少し離れた立地も、ゆっくりと靴に向き合ってほしいという意図が感じられます。
playgroundが大切にする「スニーカーの合理性」とは？
playgroundがほかのスニーカーショップと決定的に違うのは、「希少性」や「限定性」ではなく、“合理性と機能性”を中心に据えている点です。
流行や転売目的で盛り上がるスニーカーシーンの中で、彼らは一貫して「日常で履けるスニーカー」「使う人の生活に寄り添うデザイン」を追求しています。
たとえば、彼らが掲げる3つの柱――
- REUSE（再利用）：既存のスニーカーを選び直し、価値を再発見する。
- UPCYCLING（再構築）：既存のモデルに新しい機能を付加してアップデートする。
- DEVELOPMENT（開発）：ゼロから新しいスニーカーをつくり出す。
この考え方は、スニーカーを「消費するモノ」ではなく「育てる道具」として捉える姿勢に通じます。単なる古着的な再利用ではなく、“履く意味”そのものをデザインに組み込む姿勢こそがplaygroundらしさなのです。
オリジナルブランド「pg（ピージー）」の魅力
playgroundを語る上で欠かせないのが、オリジナルブランド「pg」です。
「pg」は、草賀氏の長年の経験から生まれた“スニーカーの最適解”を形にしたブランドで、デザイン性と機能性を高い次元で融合させています。
pgのスニーカーは、スポーティさの中にモードな雰囲気を漂わせつつ、街履きとしてもアウトドアでも対応できる懐の深さが特徴です。代表的なモデルをいくつか紹介します。
SHOT（ショット）
pgのアイコン的存在ともいえるモデル。
最大の特徴は、靴紐を廃した「FREELOCKシステム」です。ダイヤルを回すだけでフィット感を調整でき、着脱が非常にスムーズ。見た目はシンプルながら、履くと確実にホールドされる安心感があります。
また、ソールにはVibram社製の高トラクションソールを採用。街歩きでもトレッキングでも安定したグリップ力を発揮します。
NEW DAWN（ニュー ドーン）
クリーンで洗練されたデザインが魅力のモデル。
アッパーには通気性の高いメッシュ素材を使用し、軽快な履き心地を実現。カラーリングはベーシックながら、絶妙な配色バランスでどんなコーデにも馴染みます。ビジネスカジュアルにも合わせやすく、汎用性の高さが人気の理由です。
OLIVER（オリバー）
どこかクラシックなランニングシューズの雰囲気を残しつつ、現代的にアップデートしたモデル。
厚みのあるソールとシャープなシルエットが特徴で、長時間の歩行でも疲れにくい設計。見た目のボリューム感も絶妙で、ストリートスタイルにもモードにもハマります。
REMODELシリーズ
playgroundらしさを最も象徴するのが「REMODEL（リモデル）」シリーズ。
既存のスニーカーにFREELOCKやFIDLOCKなどの機構を加え、再構築するプロジェクトです。
NIKEやNEW BALANCEの名作モデルをベースに、playground独自のカスタムを施すことで、新しい価値を持った“再生スニーカー”として生まれ変わらせています。
このシリーズは一点ものに近く、スニーカーファンの間で高い人気を誇ります。
ストリートカルチャーと機能美の融合
playgroundのスニーカーは、単に履きやすいだけではありません。
デザイン面でも、ストリートカルチャーや都市的な美意識が色濃く反映されています。
例えば、シンプルなラインやマットな素材使い、無駄を削ぎ落としたフォルムは、90年代のスケートカルチャーやモダンミニマリズムを彷彿とさせます。
しかし、その根底には「快適さ」という一貫した哲学があります。
カッコいいけれど疲れる靴では意味がない。
“スタイルと実用性のバランス”を見事に取っている点が、playgroundがスニーカーマニアだけでなく幅広い層に支持される理由です。
playgroundがつくる「次世代のスニーカー文化」
playgroundの存在は、スニーカーを「履く文化」として再定義し直す動きの一部とも言えます。
彼らはリリースごとに派手なキャンペーンを行うわけではありませんが、実直な物づくりと体験を通じてファンを増やし続けています。
特に、REUSEやUPCYCLINGといったアプローチは、環境意識の高まりとも親和性が高く、ファッション業界の持続可能性にも貢献しています。スニーカーの大量消費・大量廃棄に対して、「長く履ける一足を選ぶ」という選択肢を提示しているのです。
また、名古屋への店舗拡大や、国内外のブランドとのコラボレーションも活発で、今後はより広いスニーカーマーケットへの影響が期待されています。
スニーカー選びに迷ったら、playgroundの哲学に触れてみよう
スニーカーを選ぶとき、つい「人気モデル」「限定カラー」といった要素に目を奪われがちです。
しかしplaygroundは、「履く人の暮らし」「環境」「目的」に焦点を当て、スニーカーの本質を問い直しています。
ファッションとしての楽しみと、日常を支える道具としての実用性――その両立を追求する姿勢は、これからのスニーカーカルチャーの未来を示すものかもしれません。
もし東京に行く機会があるなら、ぜひ富ヶ谷のショップを訪れてみてください。
落ち着いた空間で、スタッフと会話をしながら自分にぴったりの一足を探す体験は、きっと新しい発見になるはずです。
playgroundのスニーカーが教えてくれる、“履くこと”の本当の楽しさ
スニーカーを通じて「使う」「育てる」「再構築する」ことの面白さを伝えるplayground。
それは単なるブランドや店舗の枠を超えた、一種のカルチャー運動でもあります。
彼らがつくるスニーカーには、履くたびに実感できる「合理的な美しさ」と「遊び心」が宿っています。
ストリート感と機能美を兼ね備えたその世界観に、一度触れたらきっと虜になるはず。
あなたの次の一足は、playgroundで見つかるかもしれません。
