スニーカー好きのあいだでよく耳にする「OG」という言葉。ショップの説明文やSNSの投稿で「AJ1 OG」や「AIR MAX 1 OG」といった表記を見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。けれど、なんとなく「オリジナルっぽい」というイメージはあっても、実際にどんな意味を持つのか、どこが普通の復刻モデルと違うのかは曖昧なままになりがちです。
この記事では、スニーカー初心者にもわかるように、「OGスニーカー」とは何か、その魅力や「Retro(レトロ)」との違い、人気ブランドの事例などを丁寧に解説します。
「OGスニーカー」とは?意味と由来をまず理解しよう
「OG」とは “Original(オリジナル)” の略語で、スニーカーの世界では 最初に発売されたオリジナルモデルや、そのときのカラーリングを再現したモデル を指します。
つまり「OGスニーカー」は、そのスニーカーが初めて登場したときの姿を尊重した一足。最初のリリース時に近い仕様や色を再現していることがポイントです。
この言葉の背景には、ストリートカルチャーやヒップホップのスラング「Original Gangster(オリジナル・ギャングスター)」も関係しています。元々は「本物」「筋金入り」という意味で使われていた言葉が、スニーカーカルチャーにも取り入れられ、「最初の、本物のモデル」というニュアンスで使われるようになりました。
たとえば、ナイキの「Air Jordan 1 Chicago」は1985年の初登場時カラーを再現しており、「Air Jordan 1 Retro High OG」として再リリースされています。この“OG”のラベルは、当時のデザインや素材へのリスペクトの象徴でもあります。
「OG」と「Retro(復刻版)」の違いを知ろう
スニーカーの説明文には「Retro」という言葉もよく登場します。一見似た印象ですが、「OG」と「Retro」には明確な違いがあります。
- Retro(レトロ):過去に人気だったモデルを再発売したもの。カラーや素材、ディテールが一部変更されている場合も多い。
- OG(オリジナル):初登場時の仕様やカラーを忠実に再現したもの。オリジナルの雰囲気を可能な限り再現している。
さらに、近年では「Retro OG」という呼び方も増えています。これは、復刻版(Retro)の中でもオリジナルカラーを再現した特別仕様のこと。つまり「Retro」は広い意味での復刻モデル全般、「OG」はその中でも“原点”を象徴する存在といえます。
スニーカーコレクターやファンにとって、「OG」は単なる復刻ではなく、当時の空気感をまるごと再現した「本物の再現版」という位置づけです。
OGスニーカーが愛される理由
では、なぜ多くのファンがOGスニーカーを特別視するのでしょうか。その背景には、いくつかの理由があります。
1. 歴史とストーリーが詰まっている
OGモデルは、単に「最初の形」ではなく、ブランドやアスリートの歴史の一部でもあります。たとえばAir Jordan 1はマイケル・ジョーダンがNBAデビュー時に着用していたモデルであり、バスケットボール界やストリートカルチャーの象徴となりました。
OGカラーを見るだけで、その時代の空気やストーリーが蘇る――それがOGの魅力です。
2. 当時のデザイン・仕様を体感できる
現代のモデルは履き心地や素材がアップデートされている一方、OGモデルは当時のディテールをできる限り再現しています。ロゴの位置、縫製の仕方、ラスト(靴型)の形状など、細部までこだわり抜かれており、「あの時代のデザインを履く」という特別な体験ができます。
3. 数量限定で希少価値が高い
OGモデルは復刻される回数が少なく、販売数も限られています。そのため市場での希少性が高く、二次流通では高値になることも珍しくありません。単なるファッションアイテムを超え、コレクションとしての価値を持つのもOGの特徴です。
有名ブランドの「OG」モデル事例
Nike(ナイキ)
ナイキの代表的なOGスニーカーといえば、「Air Jordan 1」「Air Max 1 OG」「Air Max 90 Infrared」など。これらは初代カラーを再現した“OG仕様”で定期的に復刻されています。特に「Air Jordan 1 Retro High OG」は、1985年のシルエットや素材をほぼ忠実に再現した名作です。
また「Air Max 1 OG」や「Air Max 90 Infrared」なども、初期の配色を再リリースした人気モデルとして知られています。
adidas(アディダス)
アディダスでも「Stan Smith OG」や「Superstar OG」といったモデルが登場しています。これらは70年代~80年代にかけてのオリジナルデザインを現代仕様に落とし込みつつ、当時の雰囲気を保っています。
特に「Stan Smith OG」は、現行モデルよりもソールやロゴの位置がオリジナルに近く、クラシックな印象が魅力です。
New Balance(ニューバランス)
ニューバランスも「M990v1 OG」などで「OGカラー」を展開しています。たとえば「M990v1 OG」は1982年発売時のグレー×ホワイトを再現したもので、クラシックな雰囲気と現代的な履き心地を両立。ブランドの原点を感じられる一足です。
OGモデルを見分けるポイント
OGモデルを選ぶときは、以下の点をチェックすると分かりやすいです。
- 商品名に「OG」表記があるか
公式リリース情報や商品名に「OG」が含まれているかを確認しましょう。
例:「Air Jordan 1 Retro High OG」「Air Max 1 OG」など。 - ロゴやディテールの違い
オリジナル時代のロゴ配置や素材感が再現されているかどうかも重要です。たとえばJordan 1では“NIKE AIR”ロゴが付いているモデルがOG仕様です。 - 発売時のカラーリング
オリジナルのカラー(Chicago、Bred、Infraredなど)が再現されているモデルは、OGとして扱われることが多いです。 - 公式情報の確認
ナイキやアディダスの公式サイト、スニーカー専門メディアのリリース情報を確認すると、「OG」モデルであるかが明示されています。
スニーカーカルチャーにおける「OG」の存在意義
スニーカー文化は、単なるファッションの枠を超えたカルチャーとして発展してきました。その中で「OG」という存在は、過去と現在をつなぐ架け橋のようなものです。
新素材やテクノロジーが次々と登場する現代においても、人々がOGに惹かれるのは、「最初の形」に宿る物語と本物感に価値を見いだしているからです。
特にストリートファッションやコレクター文化では、OGを所有すること自体が“リスペクトの証”とされることもあります。単に古いものを懐かしむのではなく、オリジナルの精神を継承する行為として大切にされているのです。
まとめ|スニーカーOGの魅力を知れば選ぶ楽しさが広がる
「OGスニーカー」とは、そのモデルが最初に登場したときのオリジナル仕様を再現した特別な存在。
「Retro(復刻版)」が広い意味での再発売を指すのに対し、「OG」はその中でも最も原点に忠実なモデルです。
当時のデザインやストーリーを感じながら履くOGスニーカーは、単なるファッションではなくカルチャーそのもの。歴史を足元に宿すような特別な体験が味わえます。
スニーカーを選ぶ際に「OG」という表記を見かけたら、ぜひその意味を思い出してみてください。そこには、ブランドの原点と職人たちのこだわり、そしてスニーカーカルチャーの深い物語が詰まっています。


