「リーボックのランニングシューズが大会で禁止されたらしい」──そんな噂を耳にしたことはありますか？
SNSなどで話題になることもありますが、実際にはどうなのでしょうか。今回は、なぜ「リーボック」「禁止」といったワードが注目されるのか、その背景や誤解されやすい点を含めて、ランナーの立場から分かりやすく解説します。
一部大会での「シューズ使用制限」とは？
まず知っておきたいのは、「大会でシューズが禁止される」といっても、ブランドそのものが排除されるわけではないということです。
国際陸上競技連盟（World Athletics）では、すべてのメーカーに共通する「シューズ規定」を設けています。つまり、どのブランドであってもルールに合わなければ“使用できない”場合があるのです。
主な制限内容は次の通りです。
- ソール（靴底）の厚さが40mmを超えるとNG
- カーボンプレートなどの硬質プレートを複数枚入れるとNG
- 一般発売されていない試作品の使用は禁止
これらの規定に違反したモデルは、リーボックであってもナイキであっても「大会では使用不可」となります。
「禁止」という言葉が生まれた背景
では、なぜ「リーボック ランニングシューズ 禁止」という言葉が出てきたのでしょうか。
実は、特定モデルが大会で正式に禁止された事実は確認されていません。しかし、「一部大会で使えない」「承認リストに載っていない」といったケースはあり得ます。
その理由として考えられるのは以下の3つです。
- 承認リストに未登録
世界陸連では「Approved Shoe List」というリストを公開しており、大会に出場する選手はその中から選ぶ必要があります。新しいモデルや限定版などがこのリストに間に合わなかった場合、形式上「使用できない」扱いになります。 - スポンサー契約による制限
一部の国際大会やクロスフィット系イベントでは、スポンサーの都合で他ブランドのシューズが使用できないことがあります。たとえば、リーボックが公式パートナーだった時代、ナイキ製のシューズが使えないケースがあったように、その逆も起こり得ます。 - ルール解釈の誤解
ネット上では「禁止＝違反」と短絡的に捉えられることが多いです。実際は「ルールに準じた手続きが未完了」「大会特有の承認制」による一時的な使用制限であることがほとんどです。
リーボックのシューズが注目される理由
リーボックはもともとフィットネス分野やクロスフィットのシューズで強いブランドです。
しかし、ランニング分野でも「Reebok Floatride Energy」シリーズを中心に軽量でクッション性の高いモデルを展開しています。
特に「Reebok Floatride Energy X」シリーズは、市民ランナーにも人気が高く、通勤ランやジムトレーニングにも使いやすいと評判です。
このように、リーボックは「スポーツの垣根を超えた総合的なトレーニングシューズブランド」としての印象が強いため、他の“厚底競技モデル中心”のメーカーとは立ち位置が少し異なります。
そのため「禁止」というワードが出た際に「何か技術的な問題があったのでは？」と話題になりやすいのです。
「禁止モデル」報道の多くは他ブランドに集中
実際のところ、大会で問題になった「禁止シューズ」は、ナイキのヴェイパーフライシリーズやアディダスのアディオスプロなど、いわゆる“スーパーシューズ”と呼ばれるモデルが中心です。
これらのシューズは、厚底ソールとカーボンプレートによる「反発力」が記録に大きな影響を与えたとして、世界陸連がルールを設けたきっかけになりました。
一方、リーボックのランニングラインは、この“超厚底競争”にはあまり参入していません。
したがって、現時点で「リーボックが禁止された」という明確な事例は存在せず、あくまで他ブランドの話題が混同されている可能性が高いのです。
「使用制限」はどんな場面で起きるのか？
それでも「一部大会で使用制限がある」と言われる背景には、次のような事情があります。
- 国際大会では細かな認定手続きが必要
承認リストに未登録の新モデルは、販売されていても競技で使用できません。これは公平性を担保するためのルールです。 - 市民マラソンでは緩やかな運用
一方、一般ランナーが参加する大会では、ほとんどの場合チェックされません。したがって「制限」はあくまでエリートクラスや公式記録が絡む場面での話です。 - スポンサー大会のブランド縛り
特定メーカーが主催する大会では、他社製品を避けるよう運営側が要請するケースもあります。これも「禁止」と混同されがちな要因の一つです。
誤解を防ぐために知っておきたいポイント
「禁止」や「使用制限」という言葉が出たときに大切なのは、次の3つを確認することです。
- どの大会の話なのか？
世界陸連公認大会か、市民マラソンかでルールは大きく異なります。 - どのモデルが対象か？
同じブランドでもモデルごとに厚さ・構造・販売時期が異なります。 - 技術的な禁止なのか、運営上の制約なのか？
公平性を保つための規定と、スポンサーの都合による制限は別問題です。
これらを正しく理解しておけば、「〇〇が禁止になった」という情報に振り回されることはありません。
リーボックのシューズを選ぶときの注意点
もし大会出場を考えているなら、以下の点を確認しておくと安心です。
- 出場する大会の規定を読む
世界陸連公認大会の場合は、承認シューズリストを事前にチェックしましょう。 - 厚底モデルの場合は公認リストの有無を確認
リーボックの「Reebok Floatride Energy X」など、カーボンプレートを使用したモデルはリストに含まれているかを確認しておくと確実です。 - 普段のトレーニングでは自由に使用可能
市民ランナーやフィットネス目的なら、ほぼすべてのリーボックシューズが問題なく使えます。性能・安全性の面で“禁止”されることはありません。
「禁止」と聞いても過剰に心配する必要はない
リーボックのランニングシューズが大会で禁止されている、という確定情報は現時点では存在しません。
むしろ、技術規制によって公平性を守るためのルールが整備されている結果、「未承認＝使用できない」という状況が一時的に起きるだけです。
つまり「禁止」という言葉が独り歩きしているだけであり、ランナーが気にすべきは「大会の規定に合っているかどうか」だけです。
市民マラソンを楽しむレベルなら、リーボックの軽量モデルやクッション性重視のシリーズは、むしろ安全で快適な選択肢の一つと言えるでしょう。
まとめ｜リーボックのランニングシューズが「禁止」と言われる理由を正しく理解しよう
結論として、「リーボックのランニングシューズが大会で禁止された」という公式な情報は存在しません。
一方で、厚底やカーボン構造などの技術的要件によって「一部大会で使用できない場合がある」という点は事実です。
大切なのは、情報の真偽を見極め、自分が出場する大会のルールを確認すること。
そして、リーボックをはじめ各ブランドのシューズが持つ特徴を理解して、自分の走り方や目的に合った一足を選ぶことです。
最後にもう一度。
「リーボックのランニングシューズはなぜ禁止？」という問いの答えは──“禁止ではなく、ルールの枠内で運用されている”というのが真実です。
