ランニング中に靴紐がほどけて、リズムを崩したり立ち止まったりした経験、ありませんか？
実は「靴紐の結び方」は、走りやすさや足の安定性に大きく関わっています。ほんの少しの工夫で、靴のフィット感が変わり、長距離でも快適に走れるようになるんです。
この記事では、ランニングシューズの靴紐結び方について、緩まない方法や足型別の工夫をわかりやすく紹介します。
なぜ靴紐の結び方で走りやすさが変わるのか
靴紐は、ただ靴を足に固定するためのものではありません。
紐の通し方や締め方によって、足全体のフィット感、ブレ防止、かかとの安定、つま先の余裕などが細かく変わります。つまり「自分の足に合わせて調整できる最後のパーツ」が靴紐なのです。
たとえば、シューズのクッション性や反発力がいくら優れていても、紐が緩んで足が動いてしまえば、その性能は十分に発揮されません。
逆に、紐を少し工夫するだけで足と靴が一体化し、走行効率や安定感が大きく向上します。まさに、走りの質を左右する「小さな違い」でありながら、大きな効果を生むポイントなんです。
基本を押さえる！靴紐の通し方で変わるフィット感
靴紐の結び方を変える前に、まず「通し方」から見直すのがおすすめです。通し方を少し変えるだけで、足のホールド感や締め付け具合を簡単に調整できます。
● オーバーラップ（上から通すタイプ）
紐をアイレット（靴の穴）の上側から通し、逆ハの字になるように交差させていく方法です。
この通し方はしっかりとフィットし、走っても緩みにくいのが特徴。特に、足幅が狭い人や足の中で動く感覚が気になる人に向いています。
オーバーラップにすると、甲部分を包み込むように締められるため、スピードを出したいランナーにも最適です。
● アンダーラップ（下から通すタイプ）
アイレットの下側から紐を通し、ハの字型に交差させていく通し方です。
こちらは圧迫感が少なく、甲が高い人や幅広の足の人に向いています。長時間のジョグやウォーキングのように、ゆったり履きたいシーンでも活躍します。
● 足型別のアレンジ例
・かかとが浮く人 → 最後の穴（エクストラホール）を使って「ヒールロック」結びを取り入れる
・甲が高い人 → 真ん中の穴を一段飛ばして通すことで圧迫を軽減
・前足部が広い人 → つま先に近い部分を緩めに通すか、ストレート（並列）通しに変更
こうした通し方の調整で、シューズが自分の足によりフィットし、無駄な動きを防ぐことができます。
緩まない結び方で走行中のストレスをゼロに
いくら通し方を工夫しても、結び方が甘いと走っているうちに緩んでしまいます。ここでは、ランナーに人気の「ほどけにくい結び方」を紹介します。
● イアン・ノット（Ian’s Secure Knot）
世界中のランナーが実践している、ほどけにくい結び方です。
見た目は普通の蝶々結びとほとんど同じですが、ループの交差方向が異なり、引っ張る力が均等にかかるため、走行中もほどけにくいのが特徴。
慣れれば数秒で結べるうえ、解くときはワンアクションで簡単に外せます。レースや長距離ランにもおすすめの万能な結び方です。
● ダブルノット（二重結び）
もっとシンプルに済ませたい人は、いつもの蝶々結びのあとにもう一度ループを通す「ダブルノット」でも十分効果があります。
ただし、強く締めすぎると解きにくくなるため、最後の引き締めは“ギュッ”と1回で十分です。
● ヒールロック（ランナーループ）
かかとが浮く人や足首のホールドを強めたい人におすすめ。
最後の穴で紐を外側に通して小さな輪を作り、反対側の紐をその輪に通して締めるだけ。シンプルなのにかかとがピタッと固定され、安定感がぐっと増します。
ほどけないための結びのコツ
・結ぶ前に、足をしっかり靴の奥まで入れて「かかとを地面にトントン」と軽く当てる
・つま先付近の紐はやや緩め、甲から足首にかけて少しずつ強く締める
・紐が長すぎる場合は、端を靴の横や舌の裏に入れてブラつきを防ぐ
・紐が滑る素材なら、平紐やコットン素材に変えると緩みにくくなる
細かいことのように見えますが、これだけで“走ってもほどけない”安心感が得られます。
トラブル別・靴紐アレンジ術
靴紐を変えるだけで、足の悩みを軽減できる場合があります。よくあるトラブル別に、すぐ試せる結び方を紹介します。
● かかとが浮く・擦れる
→ ヒールロック（ランナーループ）で解決。
足首をしっかり固定することで、靴と足が一体化します。下り坂やスピード走でも安定します。
● つま先が当たる・黒爪になる
→ 真ん中の穴を一段飛ばして通す“ウィンドウレーシング”を試してみましょう。
甲の圧迫を減らすことで、つま先に余裕が生まれます。
● 幅がきつい・締め付けが気になる
→ アンダーラップやストレート通しに変更。
締め付けすぎず、足の自然な広がりをキープできます。
● 走るたびに靴紐がほどける
→ イアン・ノットまたはダブルノットで固定。
さらに、紐の素材を滑りにくいタイプに替えるのもおすすめです。
紐素材と長さの見直しも効果的
靴紐の「素材」や「長さ」も、意外と見落とされがちですが重要です。
・丸紐は滑りやすく緩みやすい反面、見た目がスマートで軽量。
・平紐や楕円紐は摩擦が高く、しっかり締めやすい。
・コットン素材は結び目が安定しやすく、長距離向き。
また、紐が長すぎると足元でバタついたり、逆に短すぎると結びにくくなります。
ランニング中に違和感がある場合は、適切な長さの紐に交換してみるのもひとつの手です。
靴紐を結ぶ前の準備でフィット感が変わる
結び方以前に、まずは「靴の履き方」も見直してみましょう。
- 足を入れたら、かかとを軽くトントンして奥までフィットさせる
- 立った状態で、体重を均等にかけながら紐を締める
- 全体のフィット感を確認してから最後に結ぶ
この一手間で、シューズが足にしっかり馴染み、ラン中のズレや緩みを防げます。
緩まない・走りやすい靴紐の結び方まとめ
ここまで紹介した内容をまとめると、ポイントは次の通りです。
- 通し方は「オーバーラップ」が基本。足型によってアレンジを加える
- 結び方は「イアン・ノット」または「ダブルノット」が最強
- かかと浮きには「ヒールロック」で固定
- 紐素材・長さも見直すと緩みにくくなる
- 履く前にかかとをしっかり合わせ、立った姿勢で締める
この流れを意識するだけで、靴が足と一体化するような安定感を得られます。
ランニングシューズの靴紐結び方を見直して快適な走りを
ランニングシューズの靴紐結び方を少し変えるだけで、走りやすさは驚くほど向上します。
緩みにくく、ほどけにくい結び方を身につければ、途中で立ち止まることもなく、最後まで集中して走り切れます。
「なんとなく結んでいた靴紐」を、自分仕様に整える。それだけで、次のランがもっと軽く、もっと楽しくなるはずです。
