「Newton（ニュートン）」という名前、聞いたことはありますか？
アメリカ・コロラド州発のランニングシューズブランドで、独自の構造と高い反発力で多くのランナーを虜にしている存在です。
この記事では、ニュートンのランニングシューズがなぜ特別なのか、その仕組みと魅力をわかりやすく解説していきます。
ニュートンってどんなブランド？
ニュートンは2007年にアメリカのボルダーで誕生しました。
創業者たちは「人間本来の自然な走り方を取り戻す」という理念を掲げ、前足やミッドフットで着地する“ナチュラルランニング”を重視しています。
大手ブランドが厚底やクッション性を競い合う中で、ニュートンはあえて「裸足のような感覚」「地面をしっかり捉える走り」を追求。
小規模ながら、独立系ブランドとしてコアな支持を集めてきました。
また、環境配慮の面でも注目されています。再生素材の使用や分解を促すEcoPure素材など、サステナブルな取り組みにも力を入れています。
“反発力の秘密”はAction/Reactionテクノロジーにあり
ニュートンの最大の特徴が、「Action/Reaction（アクション・リアクション）」と呼ばれる独自構造です。
これは物理学者アイザック・ニュートンの第三法則――「作用があれば反作用がある」――をもとに開発された仕組みです。
一般的なランニングシューズは、クッションで衝撃を吸収しながらかかとから着地します。
一方でニュートンは、前足部に複数のラグ（突起）を設け、このラグが地面に押し込まれて反発する力を利用して推進力に変えます。
つまり、着地の瞬間にラグが沈み、その反発で“ポンッ”と前へ押し出される。
この感覚が「トランポリンのよう」と表現される理由です。
足のエネルギーをロスなく前進に変換する――それがニュートンの核にある技術です。
フォアフット重視の設計とゼロドロップ構造
ニュートンのシューズは、ヒール（かかと）と前足部の高低差が非常に少ない「ゼロドロップ」設計が特徴です。
これにより、自然とミッドフット～フォアフット着地を促す形になっています。
つまり、従来のヒールストライク（かかと着地）ではなく、足の前方で地面を捉える走り方にシフトできるということ。
この構造は、足裏やふくらはぎの筋肉をより積極的に使うため、フォーム改善や身体感覚の向上にもつながります。
ただし、最初は少し違和感を覚える人も多いようです。
特にヒール着地に慣れているランナーは、ふくらはぎが張ったり、足裏に刺激を感じることもあります。
慣らし期間を設けながら、少しずつ走行距離を増やすのがコツです。
進化するミッドソール素材と環境への配慮
近年のニュートンは、テクノロジーと環境性能の両立にも注力しています。
・NRG+フォーム：軽量で高反発なEVA系素材を採用し、蹴り出しのエネルギー効率をアップ。
・Hytrelフォームストロベル：ミッドソール上部に搭載され、踏み込み時の弾力を強化。
・EcoPure素材：分解促進添加剤を使用し、使用後の環境負荷を軽減。
このように、パフォーマンスだけでなくサステナブルな観点でも注目を集めています。
履き心地は以前よりも柔らかくなり、クッション性も改善されているため、初心者でも挑戦しやすくなりました。
人気モデルをざっくり紹介
ニュートンのラインナップは、用途に応じて大きく分かれます。
それぞれのモデルがどんなランナーに向いているかを、簡単にまとめます。
- Gravity+
推進力とスピードを求める中上級者向け。テンポ走やレース用に最適。 - Fate
オールラウンドなトレーニングモデル。初めてニュートンを履く人にもおすすめ。 - Motion
安定性を重視したスタビリティタイプ。内側のサポートがしっかりしています。 - Distance+
軽量でレスポンス重視。スピードトレーニングやインターバルにも対応。 - Isaac
クッション性を重視したモデルで、ロングランにも使いやすい。 - Boco AT
トレイルラン専用モデル。グリップと安定感を強化。
それぞれ「ラグの高さ」「反発の強さ」「安定性」のバランスが異なります。
初めての方は、FateやIsaacなど、比較的マイルドなラグ構造のモデルから試すのがおすすめです。
どんな人に向いているのか？
ニュートンのシューズは、次のようなランナーに特に向いています。
- フォアフットやミッドフット着地を意識して走りたい人
- クッションに頼らず、地面を捉える感覚を重視したい人
- 軽やかな反発と推進力を求めるスピードランナー
- フォーム改善や足本来の動きを取り戻したい人
一方で、ヒールストライク中心の走り方のまま履くと、十分に性能を引き出せない可能性もあります。
走法を少しずつ調整しながら使うことで、ニュートンの魅力を最大限に体感できるでしょう。
注意点と上手な取り入れ方
ニュートンの構造を活かすためには、いくつかのポイントがあります。
- 慣らし期間を設ける
いきなり長距離を走るとふくらはぎや足底を痛めることがあります。短距離から少しずつ慣れていきましょう。 - フォームを意識する
体幹を保ち、腰の位置を高く保つことで前足着地がスムーズになります。 - サイズ選びに注意
モデルによっては少しタイトに感じることもあるため、ハーフサイズ上を選ぶランナーも多いようです。 - 路面状況に気をつける
ラグ構造が路面を強く捉えるため、濡れたアスファルトや滑りやすい地面では注意が必要です。
他ブランドとの違い
ニュートンのシューズは、ナイキやアディダスなどの厚底系とはまったく違うアプローチを取っています。
厚底シューズがフォームを“助ける”のに対し、ニュートンは“鍛える”という方向性。
つまり、クッションで衝撃を逃がすのではなく、自分の脚の力と地面の反力を使って走る感覚です。
この独特のフィーリングがクセになるというランナーも多く、マラソンやトライアスロンの上級者にも愛用者がいます。
ニュートンのランニングシューズで感じる新しい走り
一度ニュートンを履いて走ってみると、足の使い方が変わるのを実感します。
「地面を押す」というより「地面に押し出される」感覚。
軽やかで、テンポよく足が前に出る――そんな推進力が魅力です。
ただし、最初から長時間走るよりも、まずは短距離やジョグから始めるのが安心です。
足の筋肉が順応してくると、ラグ構造による反発がしっかり推進力に変わっていきます。
慣れてくると、これまでのシューズとはまったく違う“スムーズな転がり感”を得られるはずです。
まとめ：ニュートンのランニングシューズで自然な走りを取り戻そう
ニュートンのランニングシューズは、単なるスポーツギアではなく「走り方そのものを変えるシューズ」です。
Action/Reaction構造による反発力、フォアフット設計、環境に配慮した素材――そのすべてが「自然なランニング」を支えています。
もしあなたが、「もっと地面を感じたい」「効率的に走りたい」「走りを変えたい」と思っているなら、ニュートンは試す価値のある一足です。
最初は戸惑っても、慣れてくるほどにその独特な反発がクセになる。
次のランでは、ぜひニュートンのシューズで新しい走りの世界を体感してみてください。
