アディダスを代表するスピード系シリーズ「アディゼロ」。
マラソン大会やロードレースのテレビ中継でも、その名前を耳にしたことがある人は多いでしょう。
軽量・高反発を武器に、世界のトップランナーたちが記録更新に挑むために履くシューズ。
この記事では、アディゼロランニングシューズの歴代モデルをたどりながら、その進化の軌跡と人気シリーズの特徴をわかりやすく紹介していきます。
アディゼロとは?──「速さ」に特化したアディダスの象徴
アディゼロ(adizero)は、アディダスが“速く走る”ことをテーマに開発したパフォーマンスラインです。
2000年代後半に登場して以来、レース用ランニングシューズの代名詞的存在になりました。
シリーズ名の由来は、「adidas」+「zero(ゼロ)」=“無駄を削ぎ落とした速さ”。
とにかく軽く、反発力が高く、推進力を最大化する設計思想が根底にあります。
初期の頃からトップアスリートの協力で開発され、世界記録やメジャーレースでの勝利に貢献してきたことでも知られています。
2008年、長距離の伝説的ランナー、ハイレ・ゲブレシラシエ選手が「アディゼロ アディオス」を履いてベルリンマラソンで世界記録を樹立。
この瞬間から“記録を破るための靴”として、アディゼロの名前が世界に広まりました。
軽量化と反発性の革新──進化の核となる技術
アディゼロの進化を語るうえで欠かせないのが、「軽量化」と「反発性」です。
シリーズ全体を通して、常にこの2つのバランスを追求してきました。
まず軽量化。
アディゼロの最上位モデルでは、27cmで200gを下回るモデルも登場しています。
2023年に話題となった「アディゼロ アディオス プロEvo1」では、わずか138gという驚異的な軽さを実現。
長距離レース後半の脚の持久力に直結する軽さを追求しつつ、耐久性も確保しています。
そして反発性。
アディダス独自の「Lightstrike Pro」フォームを採用することで、クッション性と反発力の両立を実現しました。
さらに中底には「Energyrods(エナジーロッド)」と呼ばれるカーボン混合ロッド構造を配置。
足の骨格を模した設計で、推進力を自然に引き出す仕組みです。
全長プレートではなく複数のロッドで支えることで、足の動きを妨げず、走りがよりスムーズになります。
アディゼロ アディオスシリーズ──世界記録を狙う頂点モデル
アディゼロの中でも最も象徴的なのが「アディゼロ アディオス」シリーズ。
マラソンや長距離レースにおける“トップアスリートのための武器”として開発されています。
2020年に登場した「アディゼロ アディオス プロ」は、その名の通り“プロ仕様”の仕上がり。
反発性の高いLightstrike ProフォームとEnergyrods構造の組み合わせが、地面を蹴るたびに強力な推進力を生み出します。
続く「アディゼロ アディオス プロ2」「アディゼロ アディオス プロ3」では安定性と耐久性を改善。
走行中のブレを抑えつつ、より効率的なエネルギーリターンを実現しています。
2023年に発表された「アディゼロ アディオス プロEvo1」は、レース仕様の到達点とも言えるモデル。
超軽量設計と厚底構造を融合し、まさに“世界最速”を目指すためのシューズです。
ただし一般ランナーには扱いが難しい一面もあり、上級者や記録狙いのランナーに向いた仕上がりとなっています。
アディゼロ 匠戦(Takumi Sen)──10km〜ハーフマラソンに最適な快速モデル
「アディゼロ 匠戦 11」は、日本人開発チームが手がけたスピードモデル。
短〜中距離のレースで“速く走る”ための設計が光るシリーズです。
最新の「アディゼロ 匠戦 11」では、上位モデルと同じLightstrike ProフォームとEnergyrods 2.0を搭載。
軽量かつ高反発で、テンポの速いランニングに向いています。
特に10kmやハーフマラソンでは抜群のレスポンスを発揮し、足さばきの良さを求めるランナーに人気です。
「アディゼロ アディオス プロがフルマラソンのための刀なら、アディゼロ 匠戦 11は10km勝負の短刀」とも評されるほど、鋭い走り心地が特徴。
反発感がありつつ、地面をつかむような接地感が残る点もこのシリーズならではです。
アディゼロ ボストン──スピード練習にも使える万能型
「アディゼロ ボストン 12」シリーズは、レースモデルの技術を日常のトレーニングに落とし込んだ“万能型”です。
スピード練習、ビルドアップ走、レースのサブ用など幅広い用途で使えるのが魅力。
最新の「アディゼロ ボストン 12」では、上位機種と同じLightstrike Proフォームを一部に採用し、さらに新素材「Lightstrike 2.0」で耐久性を確保。
エナジーロッド2.0構造も取り入れ、練習用ながら反発力をしっかり感じられる仕様になっています。
「レースシューズをそのまま練習に使うのはもったいないけど、感覚は近づけたい」
そんな中上級ランナーのニーズにぴったりのポジションです。
アディゼロらしい“速さのDNA”を感じながら、日常ランにも使いやすい仕上がりが支持を集めています。
アディゼロ SL──軽さと履きやすさを両立したエントリーモデル
アディゼロ SLシリーズの中でもっとも親しみやすいのが「アディゼロ SL」。
日常のジョギングや通勤ランにも使える軽量シューズとして人気を集めています。
「Lightstrike Pro」フォームを一部使用しながら、価格と耐久性のバランスを重視。
走り出しの軽快さ、自然なクッション感、そして扱いやすさがポイントです。
レース用モデルのように極端な厚底ではなく、安定感があるため初心者にもおすすめ。
「アディゼロを試してみたい」「レース用の練習にも使いたい」というランナーにとって理想的な入門モデルです。
アディゼロが築いた進化の軌跡──技術と哲学の融合
アディゼロシリーズの進化を時系列で振り返ると、常に“軽く、速く、より自然に走る”というテーマが貫かれています。
- 2008年:アディゼロ アディオスが登場。世界記録を更新し、シリーズの名を世界に知らしめる。
- 2010年代:フォーム素材の進化により、クッション性と反発性が飛躍。Boost素材などが話題に。
- 2020年代初頭:カーボンロッド搭載の「アディゼロ アディオス プロ」シリーズが登場。スーパ―シューズ戦国時代へ突入。
- 現在:「アディゼロ アディオス プロEvo1」や「アディゼロ 匠戦 11」など、軽量化と推進力の両立を極めた最新モデルへ。
時代ごとに求められる性能は変わっても、「速さを科学する」というアディゼロの哲学は一貫しています。
トップアスリートだけでなく、市民ランナーにとってもその恩恵を感じられるシリーズへと成熟してきました。
人気シリーズ比較──どれを選ぶか迷ったら?
アディゼロの魅力は、用途やレベルに合わせて選べる豊富なラインナップにあります。
ここで簡単に整理してみましょう。
- フルマラソンで自己ベストを狙う上級者:アディゼロ アディオス プロシリーズ
- ハーフマラソンや10kmでスピードを出したい中上級者:アディゼロ 匠戦 11シリーズ
- スピード練習や長めのジョグに使いたい人:アディゼロ ボストン 12シリーズ
- 日常ランや軽めのトレーニング中心の人:アディゼロ SLシリーズ
同じアディゼロでも、どの距離・どの目的に合わせるかで履き心地や性能が大きく異なります。
自分の走り方や大会目標に合わせて選ぶのが、アディゼロを最大限に楽しむコツです。
まとめ|アディゼロランニングシューズ歴代モデルが描く“速さ”の物語
アディゼロランニングシューズは、誕生以来「速く走る」という一点に情熱を注ぎ続けてきました。
アディゼロ アディオス、アディゼロ 匠戦 11、アディゼロ ボストン 12、アディゼロ SL──それぞれのモデルが異なるランナーの“速さ”を支えています。
もしあなたが次のシューズを探しているなら、ぜひ一度アディゼロを履いてみてください。
軽く、しなやかで、走るたびに前へ進む感覚。
歴代モデルが積み重ねてきた技術の結晶が、その一歩ごとに感じられるはずです。
アディゼロランニングシューズの進化は、これからも止まりません。
次に登場するモデルが、どんな「速さ」を見せてくれるのか――楽しみに待ちましょう。


