「下駄って履き心地が悪い」「鼻緒が痛くて歩けない」と感じたことはありませんか？
夏祭りや浴衣の季節になると履く機会も増えますが、実際に履いてみると“思ったより痛い”という声をよく聞きます。
けれど実は、正しい選び方や履き方を知れば、下駄はとても快適に履ける履物でもあるんです。
ここでは、なぜ痛くなるのか、どうすれば快適に歩けるのか、そして今注目の「履き心地の良い木下駄」まで、わかりやすく解説します。
下駄の履き心地が悪いと感じる理由
まずは、多くの人が「下駄＝痛い」と感じてしまう原因を見ていきましょう。
代表的なのは次の3つです。
- 台（木の部分）が硬いから
下駄は木で作られているため、スニーカーのようなクッション性がありません。足裏に直接硬さが伝わり、長時間歩くと疲れを感じやすくなります。 - 鼻緒（はなお）が擦れるから
足の指の間に挟まる鼻緒は、慣れないと擦れて痛みを感じやすい部分。特に新品の下駄は鼻緒がまだ硬く、足の皮膚に摩擦が生じます。 - サイズや履き方が合っていないから
靴の感覚で“かかとをすっぽり乗せる”履き方をしてしまうと、鼻緒が足を強く締めつけ、痛みの原因になります。
つまり、履き心地が悪いのは「下駄が悪い」わけではなく、“履く側の慣れや知識”による部分が大きいのです。
実はメリットも多い！下駄の良い履き心地とは
痛いイメージが先行しがちな下駄ですが、実は健康面や歩行姿勢の観点からも注目されています。
- 足指をしっかり使える
鼻緒により足指で自然に下駄を掴むような動作が生まれ、足指の筋肉が鍛えられます。
“浮き指”や“ペタ足”と呼ばれる状態の改善にも役立つといわれています。 - 姿勢が整う
下駄は前重心で歩く構造のため、自然と背筋が伸び、姿勢が良くなる効果も期待できます。 - 通気性がよく、素足でも快適
木の台が汗を吸収し、蒸れにくいのも特徴。夏場でも足裏がベタつかず、さらりとした履き心地を保てます。
つまり、「正しく選んで、正しく履く」ことで、下駄の履き心地はぐっと快適になるのです。
痛くならない下駄の選び方
下駄選びのポイントは、“台・鼻緒・サイズ”の3つに集約されます。
1. 台の形と素材に注目
台にはいくつか種類があります。初心者におすすめなのは、「右近（うこん）」型。歯が低く、安定感があり、履きやすい形です。
素材は、桐（きり）や杉（すぎ）など軽く柔らかい木が人気。足裏への衝撃を和らげてくれます。
また、裏面にゴムソールが貼られた下駄は、滑りにくく歩きやすいため、普段使いにも最適です。
2. 鼻緒の太さと素材をチェック
鼻緒は太めで柔らかい素材が痛くなりにくいです。布製でクッション入りのタイプなら、足の甲や指の間にかかる圧がやわらぎます。
新品の鼻緒が硬いときは、履く前に少し揉んで柔らかくしておくのも効果的です。
3. サイズ選びのコツ
下駄は、かかとが1〜2cmほど出るサイズが基本です。
台の上に足をすっぽり乗せると、鼻緒がきつくなり、痛みの原因になります。
少しかかとを出すことで、足指を使った自然な歩き方がしやすくなります。
痛くならない履き方と歩き方
どんなに良い下駄でも、履き方が間違っていれば痛くなってしまいます。
快適に履くためのコツを紹介します。
1. 足を奥まで入れすぎない
鼻緒を足指の付け根で軽く挟むくらいがちょうどいいです。
深く履くと指の間が擦れて痛くなります。
少し“つっかける”感覚で履くのがポイントです。
2. 歩くときは「前重心」で
靴のようにかかとから着地するのではなく、前重心で小股気味に歩くのがコツ。
足を“置く”ように歩くと、鼻緒に余計な力がかからず、自然に体重移動ができます。
3. 慣らしながら履く
新品の下駄をいきなり長時間履くと、どんな人でも痛みが出やすいもの。
最初は短時間の外出や室内で慣らしていくと、足と鼻緒が馴染んで快適になります。
鼻緒ずれを防ぐちょっとした工夫
「鼻緒が擦れて痛い」という人は、ちょっとした工夫でずいぶん快適になります。
- 履く前に鼻緒を手で揉んで柔らかくする
- 足袋や薄手の靴下を併用する
- 鼻緒にワセリンなどを少量塗って滑りを良くする
また、長時間履く予定があるときは、足指の間に貼る絆創膏を用意しておくと安心です。
おすすめの木下駄ブランドとモデル
履き心地の良い下駄は、職人技や素材へのこだわりから生まれます。
ここでは、歩きやすさと快適さで人気の高い木下駄を紹介します。
● MOTONO（本野はきもの工業）
大分県・日田杉を使った軽量な木下駄。
底にゴムソールを貼り、滑りにくくクッション性にも優れています。普段着や浴衣のどちらにも合うデザインです。
● tamaki
一足ずつ手作業で作られる、現代的なデザインの木下駄。
足裏にフィットするよう手彫りの窪みが施され、鼻緒にもクッションが入っています。長時間歩いても疲れにくいと評判です。
● you-bi
「歩いても痛くないサンダル感覚の下駄」として話題のシリーズ。
鼻緒が幅広で柔らかく、台には足裏にぴったり合う窪み加工。素足でも快適な履き心地です。
● 桐の白木下駄
軽くて通気性の良い桐素材は、夏の素足履きに最適。
白木仕上げのモデルは木のぬくもりが感じられ、浴衣との相性も抜群です。
どのモデルも「歩きやすさ」と「足へのやさしさ」を重視しており、初心者にもおすすめです。
長時間履いても疲れにくいコツ
下駄で長く歩くためには、次の3つを意識しましょう。
- 姿勢を意識して歩く
背筋を伸ばし、頭の位置をぶらさず、体の中心に軸を感じながら歩くと安定します。 - 足指を意識して使う
鼻緒を軽く掴むように歩くことで、足全体をバランスよく使えます。 - 休憩とケアを取り入れる
長時間歩いた後は、足の甲や足裏を軽くマッサージして血流を促すと疲労が残りにくいです。
下駄の履き心地を楽しむために
「下駄の履き心地は悪い」と感じるのは、ほんの最初のうちだけ。
選び方と履き方のポイントを押さえれば、木の香りや足裏への心地よい刺激、素足の開放感を楽しむことができます。
昔ながらの履物でありながら、現代の生活にも取り入れやすい木下駄。
浴衣だけでなく、普段のワンマイルウェアにも合わせてみると、意外な快適さに驚くはずです。
下駄 履き 心地 ― まとめ
下駄の履き心地は、決して悪いものではありません。
痛くならないためのコツは、
「足を奥まで入れない」「前重心で歩く」「柔らかい鼻緒を選ぶ」。
さらに、軽い素材やゴム底付きの木下駄を選べば、快適に歩ける一足になります。
自分の足に合った下駄を選び、季節を感じながら“和の履き心地”を楽しんでみてください。
