スニーカー選びで「履き心地」を重視する人にとって、アシックスの「EX89」は気になる存在ですよね。見た目はバスケットボールシューズのようにごつめでクラシックな印象ですが、実際の履き心地はどうなのでしょうか。
今回は、実際に多くのユーザーが語る使用感や素材構造の特徴をもとに、「EX89の履き心地」を詳しくレビューしていきます。
EX89とは?アシックスのルーツを感じる一足
まず、EX89というモデルについて簡単に整理しておきましょう。
EX89は、1989年に登場したバスケットボールシューズ「GEL-EXTREME」を現代風に再構築したスニーカーです。当時のデザインをそのまま残しつつ、素材やクッション性をアップデート。アシックスらしい安定感と機能性を、ライフスタイル用途にも落とし込んだ復刻モデルといえます。
アッパーは天然皮革と人工皮革のコンビで、しっかりとした作り。ヒールには最新のクッションフォーム「FF BLAST」を搭載し、足への衝撃をやわらげてくれます。
デザイン面でも、80〜90年代のレトロバッシュらしいボリューム感と、アシックスのストライプラインが映えるクラシックなスタイルが特徴です。
履き心地の印象:最初は硬め、馴染むと快適
EX89を実際に履いた人の多くが口を揃えるのは、「最初は少し硬め」という感想です。
アッパーに厚めのレザーが使われているため、履き始めは足の甲やつま先まわりに少し圧を感じることがあります。これは革の厚みとホールド力の強さによるものです。
ただし、何日か履いていくうちに革が足に馴染み、徐々に柔らかくフィットしていくとの声も多く見られます。
特に踵部分はしっかりしたカップ構造になっており、歩行中に足がブレにくく安定感があります。歩き続けても靴の中で足が動きすぎないので、長時間の着用でも疲れにくいと感じる人もいます。
「新品のうちは硬いけれど、数回履けば足に合ってくる」――そんな「育てるスニーカー」という印象を持つ人が多いモデルです。
クッション性と安定感:FF BLASTが生むやわらかな沈み込み
EX89の履き心地を支えているのが、アシックスの独自クッション素材「FF BLAST」。
ランニングシューズにも採用されているフォームで、弾力性と軽量性に優れており、歩行時の衝撃をしっかり吸収してくれます。
実際に履いてみると、コート系スニーカーとは思えないほどの柔らかい足当たりを感じる人も多いようです。
特に踵にかかる負担が少なく、「ヒール着地時のショックをやわらげてくれる」「一日中歩いても足裏が痛くならなかった」といった声も。
一方で、ソール構造がカップタイプになっているため、ランニング用シューズほどの反発性や沈み込みを期待すると少し物足りないと感じる人もいます。
とはいえ、バスケットシューズの見た目を保ちながら、ここまでクッション性を確保しているのはアシックスならではの強みといえるでしょう。
グリップと安定感:濡れた路面でも滑りにくい信頼感
履き心地の良さには、アウトソールの作りも大きく関係しています。
EX89は、1980年代らしいラジアルパターンをベースにしたソールを採用しており、グリップ力に優れています。
実際に「濡れたアスファルトでも滑りにくい」「階段の上り下りでも安定感がある」といったレビューも。
アスファルトやタイルなど、日常的に歩くシーンを想定して設計されており、バスケットシューズの遺伝子を感じさせながらも街履きに最適化されています。
さらに、ソールの屈曲性も程よく、足の動きに自然に追従するため、歩くたびに「ギシギシ感」や「突っ張り」を感じにくいのもポイントです。
安定感があるのに動きやすい――このバランスが、EX89の履き心地を高めている要素のひとつといえます。
サイズ感:やや細めの作りに注意
EX89のサイズ感は、やや細め。特に足幅が広い人や甲高の人は、ハーフサイズ上げを検討した方が快適に履けるという意見もあります。
アシックスはもともと日本人の足型に合わせた設計が多いブランドですが、このモデルは海外向け仕様もベースにしているため、少しタイトな印象を受けることがあります。
「ナイキ ダンクよりややゆとりがある」「ニューバランス 550よりは細い」といった比較レビューもあり、ブランドごとに感覚が異なるのも事実です。
初めてEX89を購入する場合は、普段履いているスニーカーと同じサイズ、もしくは0.5cm大きめを目安にすると安心です。
なお、インソールは取り外し不可の仕様。好みの中敷きを使いたい場合は、この点も考慮して選ぶと良いでしょう。
重さと歩きやすさ:安定重視の設計
EX89は片足あたり約480g前後(サイズにより異なる)と、軽量モデルに比べるとやや重め。
ただし、この重量感がかえって安定性を高めており、「足が地面に吸いつくように感じる」「重心が安定して歩きやすい」と感じる人もいます。
軽さを最優先するスニーカーとは異なり、EX89は「しっかり地面を掴む感覚」「重心の安定」を重視した作り。
長時間の通勤や立ち仕事にも向いており、柔らかすぎる靴が苦手な人にはむしろ好まれるタイプです。
「柔らかく沈む感覚」よりも「安定して支える感覚」に重きを置いた設計――これがEX89の履き心地の特徴といえるでしょう。
実際のユーザーの声
いくつかの口コミを参考に、リアルな意見をまとめてみました。
- 「革が硬くて最初は痛いと思ったけど、2〜3回履いたら馴染んで一気に快適になった」
- 「重いかなと思ったけど、その分クッションがしっかりしていて歩きやすい」
- 「ナイキ ダンクより履き心地が良く、長時間歩いても疲れにくい」
- 「甲が高い人は少し窮屈かもしれない。ハーフサイズ上げたらちょうど良かった」
- 「アウトソールのグリップが強く、雨の日でも安心して履ける」
好みや足の形によって感じ方は違いますが、「硬めだけど安定している」「履くほど良くなる」という共通点が多く見られます。
どんな人におすすめ?
EX89は、クラシックな見た目と安定感のある履き心地を両立させたスニーカー。
そのため、次のような人におすすめです。
- レトロなデザインが好きで、しっかりした作りのスニーカーを探している
- クッション性よりも安定感やホールド感を重視したい
- 一日中歩いても疲れにくい靴が欲しい
- 雨の日でも滑りにくいスニーカーを選びたい
- ナイキ ダンクやニューバランス 550のコート系モデルより、もう少し日本人の足に合う形を求めている
逆に、「軽さ」や「柔らかい足あたり」を最優先する人にとっては、少し重く感じる可能性があります。
ただし、履き込むほどに馴染んでいく革の質感や、重厚感のあるフォルムは、スニーカー好きの間で高く評価されています。
EX89の履き心地まとめ
最後に、EX89の履き心地を総括します。
- 最初は硬めだが、馴染むと柔らかく快適
- FF BLASTのクッションで足裏への衝撃をやわらげる
- グリップ力が高く、安定感がある
- やや細めの作りなのでサイズ選びは注意
- 重量感があり、軽さより安定を重視した設計
一言でいえば、「クラシックな見た目と現代的な履き心地が両立した一足」。
日常での使用はもちろん、ファッションとしても存在感を放つスニーカーです。
EX89は単なる復刻ではなく、「アシックスが誇る履き心地の技術」をレトロスタイルに落とし込んだ完成度の高いモデルといえるでしょう。
アシックスのEX89は、履くほどに味わいが増すスニーカー。最初の硬ささえ乗り越えれば、きっとあなたの足に馴染む「頼れる一足」になります。
履き心地とデザイン、どちらも妥協したくない人にこそ試してほしいモデルです。


