油で床がテカテカ、ちょっと踏み出しただけでツルッ。そんな経験がある人、多いんじゃないでしょうか。
整備工場や厨房、食品加工場、建設現場など、油や水で滑りやすい環境では「耐油・耐滑」性能を備えた安全靴が命綱です。今回は、耐油と耐滑の違いや選び方、そして人気モデルまで、現場で本当に役立つ“滑らず長持ちする安全靴”を紹介します。
耐油・耐滑性能とは?まずは違いを知ろう
一見似ている「耐油」と「耐滑」。実はこの2つ、まったく別の性能です。
耐油性とは、靴底が油で劣化しにくいこと。
自動車整備や機械加工の現場では、床にエンジンオイルや切削油がこぼれることがあります。通常のゴム底では、油に触れると素材がふやけたり割れたりして寿命が短くなるんです。そこで使われるのが、ニトリルゴムやポリウレタン(PU)などの耐油底素材。これにより靴底が長持ちし、ひび割れや剥がれを防ぎます。
一方で、耐滑性は「滑りにくさ」。
油や水が付いた床でもしっかりグリップするように、靴底の凹凸や溝の形、ゴムの硬さを工夫して設計されています。たとえば厨房や工場、傾斜のある床などでは、この耐滑性能が事故防止のカギになります。
つまり、耐油=長持ち、耐滑=安全性。
どちらも欠かせない性能ですが、用途によって重視するポイントが変わってきます。
なぜ「耐油・耐滑」両方が必要なのか
実際の現場では、油だけ・水だけでは済みません。
油と水が混ざって薄い膜を作り、想像以上に滑りやすくなるケースが多いのです。
たとえば自動車整備工場。足元に切削油、そこに水滴、さらに金属粉が混ざれば、床はまるでスケートリンクのよう。
このような環境では「耐油+耐滑」両方が備わっていないと、転倒やケガのリスクが一気に高まります。
また、耐油底は油によるゴムの劣化を防ぐため、結果的にグリップ力の低下も抑えられます。
つまり、両方の機能を持つ安全靴は「滑らない+長く使える」理想の組み合わせなんです。
現場別に見るおすすめの選び方
整備・製造・工場系の現場
油汚れや切削液が多いなら「耐油底」必須。
ソールにはニトリルゴムやPUを使ったモデルを選びましょう。
さらに、油膜上での滑りを防ぐために耐滑性も兼ね備えたタイプが安心です。
靴底に細かい溝や波型パターンがあるものが理想。
飲食店・食品加工・清掃業
濡れた床やタイル、油+水の混ざる床が多い環境では「超耐滑ソール」タイプを。
滑りにくいラバーソールに加え、軽量で通気性のあるスニーカー型が人気です。
キッチンシューズやコックシューズにも耐油・耐滑モデルがあります。
建設・物流・屋外作業
雨や泥、傾斜床では「耐滑性能」と「クッション性」のバランスが重要。
滑り止めパターンの深いソールや、泥詰まりしにくい形状を選ぶと長時間作業でも安定します。
軽量化されたプロスニーカータイプが人気です。
安全靴選びでチェックすべきポイント
- 規格表示を確認する
JIS(日本工業規格)やJSAA(日本保安用品協会)の認証マークがあるかどうか。
これがあると、基本的な安全性能が保証されています。 - 靴底の素材とパターン
耐油底はニトリルゴム、耐滑はグリップ重視のラバーソールが主流。
溝が深く、方向性のあるパターンが滑りにくさの決め手です。 - 軽さと履き心地
長時間立ち仕事の人は、軽量設計やクッション性のあるモデルを。
通気性が悪いとムレて不快になるので、メッシュ素材やインソールの通気孔もチェック。 - サイズとフィット感
大きすぎると靴の中で足が滑り、耐滑性能が発揮できません。
幅(ワイズ)展開が豊富なメーカーを選び、試し履きも重要です。 - メンテナンス性
使用後は油や水を拭き取る、ソールの溝を掃除する。
これだけで滑りにくさを長く保てます。
摩耗が進んだら早めに買い替えましょう。
人気ブランド・おすすめモデル紹介
ここでは、耐油・耐滑機能を備えた人気モデルをピックアップ。
価格・機能・デザインのバランスがよく、現場でも定評のある製品たちです。
ミドリ安全 H-711N 超耐滑軽量作業靴
軽さと滑りにくさを両立した定番モデル。特殊ラバーソールが油や水にも強く、長時間作業でも疲れにくい構造。厨房・工場どちらにも対応。
ジーベック プロスニーカー 85155(耐油・耐滑)
デザイン性と機能性のバランスが良いスニーカータイプ。ニトリルゴム底で耐油性に優れ、グリップパターンが多方向に入っていて安定感抜群。
Simon SH18 革製安全靴(耐油・耐滑)
重作業現場向け。厚手の本革とJIS規格の先芯入りで高い耐久性。油にも滑りにも強いソールで、溶接・整備・製造業に最適。
アイトス セーフティシューズ AZ-51649(耐油・耐滑・帯電防止)
軽量なのに多機能。静電気を逃がしながら滑りにくく、油にも強い万能モデル。作業着に合わせやすいデザインも人気。
DCM 耐油耐滑ワークスニーカー
コスパ重視派におすすめ。3,000円台で耐油・耐滑を両立。軽量スニーカータイプで、倉庫や物流などの軽作業に最適。
長持ちさせるためのメンテナンス術
どんなに良い安全靴でも、放っておけば性能は落ちます。
油汚れをそのままにすると、ソールのグリップ力が低下し、滑りやすくなることも。
使用後はブラシや布で軽く汚れを落とし、乾燥させておきましょう。
また、靴底の溝に砂や金属片が詰まると耐滑性能が下がるため、定期的にチェックすることが大切です。
ソールがすり減ったり、硬化してきたら交換のサイン。
最近では、ソールに“スリップサイン”がついたモデルもあり、摩耗の限界がひと目でわかります。
安全靴は「壊れてから買い替える」ではなく、「滑りそうになったら買い替える」が鉄則です。
コスパの考え方:高機能モデルは高いが長持ちする
耐油・耐滑の両方を備えた安全靴は、安価なモデルより少し高め。
でも、耐久性が高く交換頻度が減るため、長期的に見るとコストパフォーマンスは優れています。
安さだけで選ぶと、ソールが早くすり減って滑りやすくなることも。
“転倒しないための保険”として、信頼できるブランドを選ぶのが結果的にお得です。
耐油・耐滑性能で滑らず長持ちする安全靴を選ぼう
「耐油」「耐滑」、どちらか一方だけでは現場を守りきれない場面がたくさんあります。
油に強く、滑りにも強い靴こそ、日々の仕事を支えるパートナー。
自分の現場環境をよく知り、JISやJSAAなどの規格表示、靴底素材、フィット感までしっかり確認することが大切です。
滑らず、劣化せず、快適に履ける安全靴を選ぶことが、結果的に“仕事のパフォーマンスを上げる”一番の近道。
あなたの足元から、今日も安全で快適な一日を支えてくれる一足を見つけてください。


