「ニューバランスって、日本人の足にも合うの?」
スニーカー好きなら一度は気になったことがあるかもしれません。アメリカ発のブランドというイメージが強いニューバランスですが、実はそのフィット感には“日本人の足型”を意識した工夫が詰まっています。この記事では、足型やサイズ感、木型(ラスト)の違いなどを通して、「日本人向け」という視点からニューバランスを掘り下げていきます。
ニューバランスのサイズ展開とワイズ(幅)の考え方
ニューバランスの最大の特徴のひとつが、サイズ展開の細かさです。
他のスニーカーブランドが「長さ(cm)」だけでサイズを選ぶのに対し、ニューバランスは「ワイズ(幅)」でも選べます。つまり、足の長さだけでなく“横幅”や“甲の高さ”に合わせて調整が可能です。
メンズやユニセックスでは、D(細め)・2E(標準)・4E(幅広)・6E(超幅広)などをラインナップ。レディースではB(細め)・D(標準)・2E(幅広)・4E(超幅広)という構成です。
この「ワイズサイジング」こそが、足幅の広い人が多い日本人にとって非常にありがたい仕組み。海外ブランドの靴で「つま先が痛い」「横幅がキツい」と感じた経験がある人ほど、その違いを実感できます。
ニューバランスの公式サイトでも「正しいFIT」を重視しており、足長・足囲・アーチの高さなどを測定して最適なサイズを選ぶことを推奨しています。単に“履ける”靴ではなく、“自分の足にフィットする”靴を提供するという思想が貫かれています。
日本人の足型とニューバランスの相性
日本人の足型は、世界的に見ると“やや幅広・甲高”が多いとされています。
平均的な欧米人の足型がスリムで甲が低い傾向にあるのに対し、日本人は横幅が広く、甲が高い人が多い。つまり、同じサイズでも“幅の狭い欧米モデル”は窮屈に感じることが少なくありません。
その点、ニューバランスは複数のワイズを揃えており、2Eや4Eといった幅広設計を選べば、日本人の足にも自然とフィットします。実際に「Dワイズだと少しきつい」「2Eにしたらぴったりだった」という口コミも多く見られます。
また、ニューバランスの靴はアッパー(靴の上部)素材にも柔軟性があり、履き慣れるほど足に馴染んでくる構造です。日本の湿度や気温に合わせた素材選びも行われており、「日本人の足に合う」と感じる要素が随所に組み込まれています。
木型(ラスト)によるフィット感の違い
ニューバランスの履き心地を語る上で欠かせないのが“ラスト(木型)”です。
靴の内側の形を決めるラストによって、つま先の広さや甲の高さ、かかとのフィット感が変わります。ニューバランスには代表的な木型として「SL-1」「SL-2」「PL-1」などがあり、それぞれ特徴が異なります。
- SL-1(細め設計)
全体的にスリムで、欧米人の足型に近いフィット感。足幅が狭い人や、スッキリとしたシルエットを求める人に向いています。代表モデル:996、991、993、1500など。 - SL-2(やや幅広設計)
つま先にゆとりがあり、日本人に合いやすいと評される木型。代表モデル:574、576、1300、1400など。 - PL-1(パフォーマンスフィット)
より細めで、ランニングモデルに多いラスト。スピードや安定性を重視する設計です。
このように、モデルによってラストが異なるため、「同じニューバランスでも履き心地が違う」と感じるのは自然なことです。
特に日本人にはSL-2のような“ややゆったりめ”の木型が好まれる傾向があり、幅広・甲高の人には最適といえるでしょう。
日本人に多い“サイズの選び方”のポイント
ニューバランスを選ぶとき、最初に悩むのがサイズ感です。
「普段のサイズでいいのか」「ワンサイズ上げたほうがいいのか」など、実際に履いてみないと分からないという声も少なくありません。
口コミやレビューを総合すると、以下の傾向が見られます。
- 足幅が広い人は 0.5~1.0cmアップ がおすすめ
- 標準的な足型の人は いつものサイズ+0.5cm 程度で快適
- 細身のモデル(SL-1など)は、幅がきつく感じる場合がある
- ゆったり木型(SL-2)は、普段通りのサイズで問題ない場合が多い
また、午後や夕方など足がむくむ時間帯にサイズを測ると、実際の履き心地に近い結果が出やすいといわれています。
履き始めは少しタイトに感じても、数日履くうちにアッパーが柔らかくなり、自然に馴染んでいくケースも多いです。
実店舗の3Dスキャンで「自分の足型」を知る
ニューバランスの直営店では、「3Dスキャン計測サービス」が導入されています。
このサービスを利用すると、足長・足幅・アーチ高・甲の高さなどを数値化でき、自分の足型を客観的に把握できます。
「自分は幅広だと思っていたけれど、実は標準だった」など、意外な発見があることも。
このデータをもとにスタッフが最適なモデルやサイズを提案してくれるため、初めてニューバランスを買う人には非常におすすめです。
ネット通販でもサイズチャートを参考にできますが、やはり一度実店舗で測定しておくと安心です。
モデル別に見たフィット感の特徴
人気モデルをいくつかピックアップして、サイズ感の傾向を簡単に紹介します。
- 996シリーズ
細めのSL-1ラストを使用。ややタイトな履き心地で、幅広の人は0.5~1cmアップが安心。 - 574シリーズ
ゆとりのあるSL-2ラスト。日本人の足に合いやすく、普段のサイズでも快適に履ける。 - 327シリーズ
細身かつスタイリッシュな設計。幅広・甲高の人はハーフサイズアップを検討。 - 2002Rや1906R
PL-1ラストを採用したパフォーマンス寄りモデル。全体的にスリムな作りで、足幅のある人はサイズアップが無難。
同じニューバランスでも木型が違うことで、履き心地が大きく変わることがわかります。
デザインだけで選ぶのではなく、木型の違いを意識すると失敗が減ります。
ニューバランスが「日本人向け」といわれる理由
「ニューバランス=日本人向け」と言われる理由は、単にワイズ展開があるからではありません。
最大のポイントは、“自分に合う靴を選べる自由度が高い” ということ。
日本人の足型は個人差が大きく、幅広・甲高・偏平足など多様です。
ニューバランスはそうした個性に対応できるよう、木型・サイズ・ワイズを細かく設定し、さらに足型測定サービスを整備しています。
この“選択の幅の広さ”こそ、日本人の多様な足型にフィットしやすい理由です。
また、日本国内のニューバランス製品は、アジア市場のニーズを踏まえたモデル展開が多く、海外版よりも柔らかめの履き心地や、足入れのゆとりがある設計になっているケースもあります。
つまり、「日本人専用に作られている」というよりも、「日本人にも合いやすいよう配慮されている」と考えるのが正確です。
まとめ:ニューバランスは日本人の足に寄り添うブランド
ここまで見てきたように、ニューバランスは「日本人の足に合わせて作られている」とまでは言い切れないものの、足幅や甲の高さに対応できる設計・サイズ展開を備えています。
木型やワイズ、モデルごとの違いを理解して選べば、多くの人が快適に履けるブランドです。
「ニューバランスは日本人向けに作られている?」という問いに対する答えは――
“はい、日本人の足にもきちんと寄り添う設計になっている”。
足型の多様性を尊重し、正しいサイズを選ぶための仕組みを整えている。
それが、ニューバランスが長く愛され続ける理由のひとつと言えるでしょう。


