スニーカー選びで「なんだかサイズが合わない」「履くと少し窮屈」「長時間歩くと足先が痛い」──そんな経験はありませんか?
実はその原因のひとつが「捨て寸(すてすん)」です。
この記事では、ニューバランスを例に「捨て寸とは何か」「どのくらいが理想なのか」「どうやって測るのか」を、初心者でもわかりやすく解説します。
捨て寸ってそもそも何?なぜ必要なの?
「捨て寸」とは、靴の中で足の指先からつま先部分までの“余裕の長さ”のこと。
簡単に言えば、靴の中で足が動ける「ゆとり」のスペースです。
この余裕がないと、歩くたびに足の指が靴先にぶつかって痛みが出たり、長時間履くと疲れやすくなります。逆に余裕がありすぎると、靴の中で足が前後に動き、かかとが浮いてしまうことも。
つまり「捨て寸」は、靴の快適さを決める非常に重要なポイント。
適切な捨て寸があることで、足が自然に動けて、負担が減り、靴自体も長持ちします。
ニューバランスの靴における捨て寸の特徴
ニューバランスのスニーカーは、他ブランドに比べても履き心地の良さで知られています。
その理由のひとつが「木型(ラスト)」と「捨て寸の設計」にあります。
ニューバランスは、足の形状に合わせた複数のラスト(SL-1、SL-2など)を使い分けています。
- SL-1:やや細身でスマートな設計。ニューバランス996、ニューバランス993、1500などに採用。
- SL-2:幅広でゆったりした設計。ニューバランス574、ニューバランス1300、ニューバランス1400などに採用。
細身のSL-1モデルでは、捨て寸を少し多め(1.5〜2.0cm)に取ると快適。
一方、幅広設計のSL-2では、標準的な1.0〜1.5cmでちょうど良い場合が多いです。
モデルによっても捨て寸の感覚は違います。
たとえば「ニューバランス996」は捨て寸約2cmが目安とされ、「ニューバランス574」は少し広めでマイサイズでも余裕を感じるという声が多いです。
理想的な捨て寸の目安はどれくらい?
一般的にスニーカーの理想的な捨て寸は「1.0〜2.0cm」と言われています。
ただし、足の形や用途によっても最適な長さは変わります。
- 日常使い・街歩き用:1.0〜1.5cm
- ランニング・ウォーキングなど運動用:1.5〜2.0cm
- 子ども靴や成長期:1.5〜2.0cm(成長分を含める)
この“1〜2cm”というのが、歩いたときに足が前に動いても指先が当たらず、かつブレすぎない黄金バランスです。
また、靴下の厚みや季節によっても感じ方は変わるため、冬に厚手の靴下を履くなら少し余裕を持たせるなど、状況に応じて調整すると安心です。
足の長さと幅を正しく測る方法
捨て寸を考える前に、自分の「足の実寸」を正しく知ることが大切です。
ここを曖昧にしたままだと、どんな靴を選んでもサイズ迷子になります。
測定の手順
- A4の紙とペンを用意
壁に紙を当て、かかとを壁につけて立ちます。 - 足の形をなぞる
ペンを垂直に持ち、足の外周をなぞります。 - 足長を測る
かかとから最も長い指(親指または人差し指)までの長さを定規で測定。 - 足幅も確認
親指の付け根と小指の付け根の一番広い部分を測る。
左右の足で微妙にサイズが違う場合は、大きい方を基準にします。
この「足長+1〜2cm」が、靴選びにおける“靴内長”の目安です。
ニューバランスのサイズ選びで失敗しないコツ
ニューバランスの靴は「同じサイズ表記でもモデルによって履き心地が違う」というのが特徴です。
その理由は、木型やウィズ(幅の展開)が異なるから。
ウィズ(幅)を知る
ニューバランスは他ブランドに比べて幅展開が細かく、以下のような選び方ができます。
- D:標準幅
- 2E:やや幅広(日本人の平均的足型)
- 4E:かなり幅広
足幅が広いのに標準幅を無理に選ぶと、捨て寸が足りていても横方向が窮屈になります。
逆に細身の人がワイド幅を選ぶと、足が前後に動いてしまい、かかとが浮くことも。
つまり、捨て寸とウィズはセットで考えるのが正解です。
試着時にチェックしたい3つのポイント
靴を履いて立ったとき、「なんとなく大丈夫そう」ではなく、以下の3点をチェックしましょう。
- かかとがぴったりフィットしているか
かかとに隙間があると、靴の中で足が動きやすくなります。 - つま先に1〜2cmの余裕があるか
立った状態で指先が靴先に当たらないかを確認。 - 歩いたときの安定感
前後に滑ったり、指先が突っ張ったりしないかを確認。
インソールを取り外せる靴なら、実際にインソールの上に足を置いて、足先にどのくらい余裕があるか目視で確認するのもおすすめです。
捨て寸が合っていないとどうなる?
捨て寸が合っていないと、靴本来の性能を活かせません。
たとえば──
- 短すぎる(小さい靴):指先が圧迫され、タコやマメの原因に。
- 長すぎる(大きい靴):足が前に滑り、かかとが擦れる・靴ずれになる。
さらに、足先の負担は姿勢や歩行にも影響します。
小さい靴を無理して履くと、自然と足の指を縮める癖がつき、外反母趾のリスクも上がると言われています。
捨て寸が適正なら、指先が自然に伸び、足裏全体で体重を支えることができるため、疲れにくく歩きやすいです。
モデル別のサイズ感をざっくり整理
実際に人気モデルの傾向を見てみると、ニューバランスはシリーズごとに履き心地が微妙に違います。
- ニューバランス574シリーズ:ゆとりのあるSL-2木型。普段通りかハーフサイズ下げる人も。
- ニューバランス996シリーズ:細身のSL-1木型。ややタイトめで、捨て寸を2cmほど取るのが理想。
- ニューバランス990・ニューバランス993シリーズ:ランニング寄りの設計。少し余裕を持たせて選ぶと疲れにくい。
- ニューバランス2002Rシリーズ:ボリューム感のあるデザイン。標準〜ややゆったりめ。
同じ「27cm」でも、ニューバランス574とニューバランス996では体感の余裕がまったく違います。
初めて買うモデルは、必ず試着またはレビューをチェックして、実際の捨て寸感を確認するのがポイントです。
オンライン購入時の注意点
店舗で試せない場合は、以下のポイントを押さえておくと安心です。
- 足長を実測し、「足長+1〜2cm」で靴の内寸を推定。
- モデルごとのレビューを確認(例:「ニューバランス996は細めなので+0.5cm推奨」など)。
- 履く靴下の厚さを考慮してサイズを選ぶ。
- 返品・交換が可能なショップを選ぶ。
ニューバランス公式サイトでは、3Dスキャンによる足形測定サービスも提供しています。
これを利用すれば、自分の足型データから最適なサイズ提案を受けることもできます。
捨て寸を意識すると、履き心地が変わる
適正な捨て寸を取るだけで、靴の印象は大きく変わります。
たとえば同じモデルでも、
「少し大きめを選んだら足が安定した」「いつものサイズにしたら指先が当たった」
そんな違いは“捨て寸のわずかな差”によるものです。
足の形や歩き方は人それぞれ。
だからこそ、数字よりも「履いたときの感覚」を信じることも大切です。
少し歩いてみて、「自然に足が動く」「締め付け感がない」──この感覚が得られたら、それがあなたにとっての正解の捨て寸です。
まとめ:ニューバランスの捨て寸を意識して、自分にぴったりの1足を
ニューバランスのスニーカーは、モデルや木型によってサイズ感が微妙に違います。
その違いを理解するための鍵が「捨て寸」です。
- 捨て寸とは、足先に残された余裕のこと。
- 理想は1.0〜2.0cm程度。
- 自分の足長を測り、足型・用途・靴の設計に合わせて選ぶ。
- 捨て寸が合えば、長時間歩いても疲れにくく、靴ずれも防げる。
たった1〜2cmの違いが、快適さを大きく変えます。
あなたの足に本当に合うニューバランスを見つけるために、次に選ぶときはぜひ“捨て寸”を意識してみてください。


