ニューバランスHANZOとは?日本人ランナーのために生まれたスピードモデル
ニューバランスHANZOの「HANZO(ハンゾー)」シリーズは、日本人ランナーの走り方と足型に合わせて開発された本格派のレーシングラインです。名前の由来は“忍者・半蔵”からきており、スピードと静けさ、そして精密な動きを象徴しています。アメリカブランドであるニューバランスが、日本のランナーのためだけに設計したという点で、世界的にも珍しい存在です。
このシリーズの特徴は、軽量で地面との一体感を重視した“薄底構造”。厚底カーボンが主流になった今でも、HANZOは「自分の脚で走る感覚」を重視するランナーから根強い人気を集めています。短距離からマラソンまで、モデルによって目的やレベルが異なるため、自分の走り方に合った一足を選ぶことが重要です。
ニューバランスHANZOシリーズの開発コンセプトと特徴
ニューバランスHANZOシリーズが他のニューバランス製ランニングシューズと異なるのは、「日本人が速く走るための構造」に徹底的にこだわっている点です。開発には、国内のトップアスリートやコーチが関わり、トラックでの加速やアスファルト上での安定性など、日本のレース環境を前提に設計されています。
軽量かつ反応の良いミッドソール
多くのモデルに採用されている「REVlite(レブライト)」は、従来のEVA素材より約30%軽量。それでいて、必要な反発力とクッション性を両立しています。また、一部モデルでは「Rapid Rebound(ラピッドリバウンド)」フォームを使用し、蹴り出し時のエネルギーリターンを高めています。
地面をつかむダイナミックなアウトソール
HANZOを履いたときに感じる最大の特徴は“地面を捉える感覚”です。これは「Dynaride(ダイナライド)」と呼ばれるラバー突起構造によるもので、スリップを防ぎつつ俊敏な反応を実現します。特にスピード練習や短距離レースで効果を発揮し、コーナリングでも安定感が高いと評判です。
通気性とフィット感を両立するアッパー
アッパーには「FantomFit(ファントムフィット)」やエンジニアードメッシュを採用。無縫製で軽量に仕上げながら、足の甲をしっかり包み込む構造になっています。夏場でも蒸れにくく、素足感覚で走れる点も魅力です。
ニューバランスHANZOシリーズのラインナップ比較
ニューバランスHANZOシリーズには複数のモデルが存在し、アルファベットの違いで用途が分かれています。それぞれの特徴を理解することで、自分に最適なモデルを見つけることができます。
HANZO S:スピード特化のトップモデル
シリーズの中でも最軽量で、レース仕様に近いのが「HANZO S」。トラックスパイクのような反応性と、路面を蹴り返すダイレクトな感覚が特徴です。重量は約180g台(メンズ27cm)と非常に軽く、5km~ハーフマラソンなどのスピード勝負に最適。
一方で、クッション量が少ないため長距離走やリカバリーランには不向き。脚力とフォームが安定している中~上級者向けのモデルです。
HANZO R:バランス型のレーシングモデル
HANZO Sの性能を引き継ぎつつ、クッション性をやや高めたのが「HANZO R」。フルマラソンや長距離レースでも使える耐久性と安定性を持っています。軽さと反発のバランスがよく、スピード練習から大会本番まで幅広く対応できる万能型です。サブ3〜サブ3.5ランナーの愛用者も多いモデルです。
HANZO C:チャレンジランナー向け
「C」は“Challenge”の略。サブ4や初フルマラソンを目指すランナー向けに、安定感とクッション性を強化したモデルです。HANZOらしい軽快さを保ちながら、着地のブレを抑え、長距離でも疲れにくい仕様。初心者がスピードシューズを体験する入門モデルとしても人気です。
HANZO U:軽量トレーナー
HANZO Uは、スピード練習にも対応できる“トレーニング兼レーシング”モデル。Cモデルよりさらに軽く、テンポ走やインターバル練習などスピード系トレーニングに最適です。反発力も十分で、サブ4〜サブ4.5ランナーにフィットする性能を備えています。
HANZO T:日常練習・ロング走向け
トレーニングモデルである「HANZO T」は、長距離練習を重ねるランナーに向いた設計です。クッション性と安定性を高め、疲労の蓄積を抑えます。HANZOシリーズらしい“軽快な履き心地”を保ちながらも、日常のジョグや距離走に使える耐久性を持っています。
実際の履き心地レビュー
ニューバランスHANZOシリーズは「薄底なのに走りやすい」と評価されることが多く、地面との一体感を好むランナーに人気があります。レビューの傾向を整理すると、以下のような特徴が見られます。
- 軽量性:HANZO Sでは約180g前後と非常に軽く、シューズを履いている感覚が少ない。
- 接地感:4mmドロップの設計により、自然な前傾姿勢を取りやすく、地面をつかむような走りが可能。
- 反発性:ミッドソールの反発が強く、スピード走行時に足がスムーズに回転する。
- 通気性:夏場でも蒸れにくく、素足感覚でのランニングを実現。
- フィット感:足全体を包み込むタイトな作りで、ホールド感が高い。
ただし、足幅が広い人には窮屈に感じることもあり、サイズを0.5cm大きめに選ぶという声もあります。また、薄底ゆえにクッション性を求める人にはやや物足りないと感じる場合もあります。
ニューバランスHANZOと他シリーズとの違い
ニューバランスには「FuelCell」や「Fresh Foam」など、用途の異なるシリーズが展開されています。ニューバランスHANZOを選ぶ最大の理由は、厚底時代の中で“地面を感じながら速く走れる”という独自のポジションにあります。
- FuelCellシリーズ:反発性が高く厚底構造。ロング走やマラソンに向く。
- Fresh Foamシリーズ:柔らかいクッション性が特徴で、リカバリーや日常ランに最適。
- ニューバランスHANZOシリーズ:薄底・軽量・低ドロップで、スピード練習やレース本番に特化。
このように、ニューバランスHANZOは“速さを求める日本人ランナーのための薄底系モデル”として、他シリーズとは明確に役割が異なります。
モデル選びのポイント
自分に合ったニューバランスHANZOを選ぶためには、目的と走力を明確にすることが大切です。
特に、サブ4を目指すランナーにはHANZO Cが人気。軽さと安定性のバランスがよく、レース本番にも練習にも使える万能タイプです。スピードを求める中級者以上のランナーはHANZO SやHANZO Rで“薄底の走り”を磨くとよいでしょう。
長所と注意点
ニューバランスHANZOシリーズの魅力は、軽さと反応性、そして日本人の走りに合った設計です。一方で、薄底ならではの注意点もあります。
長所
- 地面を感じるリアルな走行感
- 驚くほどの軽量性
- スピード走に強い反発力
- 通気性の良いメッシュアッパー
注意点
- クッション量が少なく脚に負担がかかる場合がある
- 足幅が狭めでフィットしない人もいる
- 耐久性は高くないため練習用とレース用の使い分けが必要
レース本番で最高のパフォーマンスを発揮するために、トレーニングでは別のシューズを使い、ニューバランスHANZOは“決戦用”として温存するのがおすすめです。
まとめ:ニューバランスHANZOで走る快感を体感しよう
ニューバランスHANZOシリーズは、厚底時代にあっても「軽さと地面との一体感」を求めるランナーに愛される特別な存在です。
HANZO S・HANZO R・HANZO C・HANZO U・HANZO Tと豊富なバリエーションがあり、初心者から上級者まで、自分の走力に合った一足を選べるのも魅力。軽やかに地面を蹴り、風を切って走る感覚は、他のシューズでは味わえません。
もし「速く走りたい」「フォームを磨きたい」と感じているなら、ニューバランスHANZOシリーズはその感覚を呼び覚ます最高のパートナーになるはずです。
地面を掴むように走る快感——それこそが、ニューバランスHANZOの真骨頂です。


