バスケットボールの歴史を語る上で、スコッティ・ピッペンの存在はあまりにも巨大です。マイケル・ジョーダンの影に隠れがちですが、「史上最も過小評価されている選手」とすら言われる彼の足元を彩ったバッシュたちには、今なお色褪せない魅力が詰まっています。
「どのモデルが実際に着用されたんだろう?」
「今から買うなら、どれが狙い目?」
「ただのスニーカーとして履くのはアリ?」
そんな疑問を解決しながら、ピッペンの足跡を辿る一足を見つけていきましょう。
ピッペンが履いた伝説のモデルを振り返る
彼のキャリアには、シグネチャーモデルだけでは語れない名作がいくつもあります。まずは絶対に外せない歴史的な一足から見ていきましょう。
Nike Air More Uptempo(モアテン)|ピッペンの代名詞
「ピッペンといえば?」と聞かれて、スニーカーヘッズが真っ先に思い浮かべるのがこのNike Air More Uptempoです。
1996年のアトランタ五輪でアメリカ代表として着用し、シカゴ・ブルズでのNBAファイナルでもこのバッシュを履いて闘いました。サイドに大胆に配置された「A」「I」「R」の文字は、もはやストリートのアイコンです。当時、エアバッグを見せるのではなく「文字にして見せる」という逆転の発想が衝撃的でした。
現在も復刻が繰り返されており、人気カラー「Olympic」や「Triple White」は真っ先に売り切れることも。ただ、ひとつ覚悟してほしいのはその重さ。27.0cmで片足約530gというのは、現代のスニーカーと比べるとかなりズッシリきます。半日歩き回ると足が疲れる、という声も少なくありません。コーディネートで履くなら、そこだけは頭に入れておいてください。
Nike Air Maestro 2|MVPを獲った隠れた名作
1994年のNBAオールスターゲームでピッペンがMVPを受賞した際に履いていたのが、Nike Air Maestro 2です。
ジョーダンが一時引退していた時期の主役として、彼の評価を決定づけた試合を支えた一足。ミッドカットの安定感あるフォルムに、シュータン部分の独特なストラップがデザイン的なアクセントになっています。
2018年には「Art of a Champion」コレクションで復刻されましたが、ヴィンテージ感のあるフォルムのため、現代の基準で言うとミッドソールがかなり柔らかく、サイドへの切り返しにはあまり向きません。実戦で使うというより、ファッションとして履きこなしたい一足です。
Nike Air Flight ’89|すべてはここから始まった
ピッペンがナイキと契約して間もなく、初めて渡されたのがNike Air Flight 89だと言われています。
このモデルで特に有名なのは、エアジョーダン4とまったく同じソールユニットを使っていることです。シルエットはAJ4よりも少しスッキリしていて、派手すぎず、でも確かな存在感を持っています。当時のチームカラーであるブルズの配色はもちろん、トリプルブラックなどコーディネートしやすい復刻カラーも出ているので、普段履きとしての汎用性はかなり高いと言えます。
シグネチャーモデルを深掘りする
いよいよ、ピッペンのためのシグネチャーラインを見ていきましょう。
Nike Air Pippen 1|初のシグネチャーにして完成形
1996-97シーズン、ついにピッペンの名前を冠したNike Air Pippenが登場します。
特徴的なのは、アッパー全体を覆うウェーブ状のライン。これが「ピップ・ウェーブ」と呼ばれる意匠で、彼のスムーズでありながら鋭い動きを表現していると言われました。市販モデルにはフルレングスのエアマックスが搭載されていますが、実はピッペン本人はズームエア入りのカスタムモデルを履いていたんです。ここにも彼のこだわりが見えますね。
近年ではロニー・ファイグ率いるKITHとのコラボレーションでも復刻され、シックなカラーリングで新たなファンを獲得しました。ただし注意したいのはサイズ感。このシリーズは全体的に幅が狭く作られているため、普段のサイズより0.5cm、場合によっては1.0cm上げたほうがストレスなく履けます。購入前に試着できるなら、必ず確認してください。
Nike Air Pippen 2|クラシックカーがデザインソース
セカンドシグネチャーとなるNike Air Pippen 2は、後にレブロン・ジェームズのシグネチャーも手掛けるアーロン・クーパーがデザインを担当しました。
モチーフとなったのは、なんとクラシックカー。ヒール部分のテールランプのようなパーツや、ボディラインを思わせる流れるようなアッパーの曲線がとにかく美しい。好きな人はとことん好きなモデルで、海外のスニーカーフォーラムでも「最も過小評価されている90年代バッシュ」として名前が挙がることが多いです。
今だからこそ履きたい、おすすめの復刻モデル
ここまで見てきたモデルの中で、2024年現在も比較的手に入れやすく、かつファッションとして取り入れやすいものをピックアップします。
普段履きの主役に|Nike Air More Uptempo
最初に挙げたNike Air More Uptempoは、やはり外せません。
実勢価格はカラーにもよりますが17,000円〜33,000円程度。ボリューム感が強いので、コーディネートは2つの方向性がハマります。
- 細身のパンツで引き算する:スキニーやテーパードパンツで足首をすっきり見せ、スニーカーを主役に。
- ワイドパンツやカーゴパンツで遊ぶ:あえてルーズにまとめて、90年代らしさ全開にする。
前者はカジュアルすぎず大人っぽく履けますし、後者は最近のトレンドにドンピシャです。
レア度重視なら|Nike Air Maestro 2
人と被りたくない、でもストーリーのある一足を探している。
そんな人に刺さるのがNike Air Maestro 2です。日本では流通量が少ないので、見つけたらラッキー。ヴィンテージ風のアイテムとも好相性で、クラシックなバスケットボールカルチャーを感じさせる着こなしに仕上がります。
スコッティ・ピッペン バッシュに込められた「らしさ」
ここまで様々なモデルを紹介してきましたが、共通しているのは「過剰な装飾に頼らず、パフォーマンスとスタイルを両立する」というピッペン自身の哲学です。
ジョーダンのように派手なアピールはしない。でも、気づいたら誰よりも仕事をしている。彼のバッシュにはそんな誠実さと、クレバーな美学が刻まれています。だからこそ、今の時代に履いても全く古びない。むしろ、ストリートの喧騒の中で静かに輝く一足になるでしょう。
ぜひ、あなたの足元にもピッペンの歴史を刻んでみてください。履けばきっと、バスケットボールがもっと好きになるはずです。


