世界で一番売れたスニーカーとしてギネス認定もされているアディダスの名作、スタンスミス。シンプルで洗練されたデザインは、老若男女問わず愛されていますよね。
でも、いざ購入しようとネット検索をしたり店舗を回ったりすると、ある疑問にぶつかるはずです。
「見た目は同じなのに、なんで値段がこんなに違うの?」
「公式ショップとABCマートで売っているものは別物なの?」
実は、スタンスミスには大きく分けて「オリジナルス(公式・本家)」の流れを組むモデルと、ABCマートなどの量販店向けに作られた「廉価版(普及版)」が存在します。これを知らずに安さだけで選んでしまうと、「思っていた質感と違う!」と後悔してしまうかもしれません。
今回は、スタンスミスのオリジナルとABCマート版の違いを徹底解説し、あなたが今買うべき一足を見極めるためのポイントをまとめました。
なぜ同じ見た目で価格差があるのか?
スタンスミスという名称でありながら、価格が数千円から1万円近くも異なる理由は、主に「生産ライン」と「ターゲット層」の違いにあります。
アディダスがブランドの象徴として展開するプレミアムなモデルと、より多くの人が手に取りやすい価格設定に抑えた量販店モデル。この二つは、コストをかける場所が全く異なります。
かつては「天然皮革を使っているのが本家」「合成皮革なのが廉価版」という分かりやすい図式がありましたが、近年の環境意識の高まりによって、その境界線はより複雑になっています。まずは、外見や素材にどのような差が出るのかを具体的に見ていきましょう。
素材の質感と経年変化の違い
最も大きな違いは、アッパー(靴の表面)に使われている素材です。
オリジナルに近い上位モデルでは、かつては天然皮革(本革)が贅沢に使われていました。本革の魅力は、履き込むほどに自分の足の形に馴染み、独特のシワ感や風合いが出てくる「エイジング」を楽しめる点にあります。
一方で、ABCマートなどで多く見かける廉価モデルは、コストを抑えるために合成皮革や、表面を強くコーティングしたガラスレザー調の素材が使われることが一般的です。
合成皮革のメリットは、汚れに強く、雨の日でも比較的気兼ねなく履ける点にあります。手入れが簡単なので、スニーカーを道具としてガシガシ使い倒したい方には向いています。しかし、本革のような柔らかさや、数年履き込んだ時の「味」を求める方には、少し物足りなく感じられるかもしれません。
シュータン(ベロ)の厚みが見た目の印象を変える
スタンスミスを履きこなす上で、意外と重要なのが「シュータン(足の甲に当たるパーツ)」の形状です。
オリジナル版の多くは、シュータンが非常に薄い切りっぱなしのような構造になっています。これにより、足首周りがスッキリと見え、スラックスや細身のパンツと合わせた時に「大人っぽい、ドレスシューズのような雰囲気」を醸し出してくれます。
対して、量販店向けのモデルは、シュータンの内部にクッション材が入っており、ふっくらと厚みがあるのが特徴です。これは足当たりを良くし、初めてスタンスミスを履く人でも靴擦れしにくいように配慮された設計です。
ただし、この厚みのせいで足元にボリュームが出てしまうため、スタイリッシュさを最優先したいファッショニスタからは、薄いシュータンのモデルが圧倒的に支持されています。
ヒールパッチとロゴの細かなディテール
マニアックな見分け方としてよく知られているのが、かかと部分の「ヒールパッチ」と、サイドのロゴデザインです。
これまでのオリジナル版には、ヒールにある三つ葉のトレフォイルロゴの横に「®(レジスターマーク)」が入っていることが多く、これが本家の証とされてきました。また、サイドにゴールドの印字で「STAN SMITH」と刻印されているモデルも、オリジナルラインに多い仕様です。
ABCマート版などの廉価モデルは、ロゴがシンプルに型押しされているだけだったり、プリントの質感がやや簡素だったりします。パッと見では分かりませんが、並べて比較すると、オリジナル版の方が細部までエッジが効いており、高級感があることに気づくはずです。
また、ソールの色味にも違いがあります。オリジナル版はヴィンテージ感を演出するために、少し生成りがかった「オフホワイト」を採用することが多いのに対し、量販店モデルは清潔感のある「真っ白」なソールが一般的です。
2021年の大きな転換点「サステナブル化」
ここで、現在のスタンスミス選びで最も注意すべきポイントをお伝えします。
実は2021年以降、アディダスはブランドの戦略として、スタンスミスの主要ラインにおいて「天然皮革の使用を廃止」しました。現在は、リサイクル素材を50%以上使用した「PRIMEGREEN(プライムグリーン)」という高機能リサイクル素材(合皮)が主流となっています。
つまり、今adidas Stan Smithを普通に購入すると、公式ショップのものであっても「本革ではない」可能性が高いのです。
「じゃあ、もうあの柔らかい本革のスタンスミスは手に入らないの?」とがっかりした方もいるかもしれません。しかし、安心してください。本革を求めるファンのために、特別なモデルが用意されています。
今、本物志向の人が選ぶべき「スタンスミス LUX」
現在、かつてのオリジナル版を超えるクオリティとして注目を集めているのが、「スタンスミス LUX(リュクス)」というモデルです。
このLUXは、アッパーだけでなくライニング(靴の内側)まで、全面にプレミアムな天然皮革を使用しています。サステナブル化が進む中で、あえて「長く大切に履き続けること」を価値としたハイエンドな一足です。
厚みのあるレザー、サイドのゴールドロゴ、そして細身で美しいシルエット。これこそが、往年のファンが求めていた「スタンスミス オリジナル」の精神を継承したモデルと言えるでしょう。
価格は2万円弱と高価ですが、安価なモデルを短期間で履き潰すよりも、良い革のモデルをケアしながら5年、10年と愛用する方が、結果的に満足度は高くなります。
どちらを選ぶのが正解か?
結局のところ、どちらが良いかはあなたのライフスタイル次第です。
もし、あなたが「雨の日も気にせず履きたい」「仕事や通学で毎日使うから、コスパ良く買い替えたい」と考えているなら、ABCマート等で扱われている1万円前後のモデルや、リサイクル素材の定番モデルが最適です。汚れも落ちやすく、真っ白な状態を保ちやすいからです。
一方で、「ジャケットスタイルにも合わせたい」「革の質感を楽しみながら、自分だけの1足に育てたい」というこだわり派なら、少し奮発してでも「LUX」を選ぶべきです。
スタンスミスは、選び方一つで「便利なスニーカー」にもなれば「一生モノの相棒」にもなります。
スタンスミスのオリジナルとABCマート版の違いは?見分け方と失敗しない選び方
最後におさらいをしましょう。
スタンスミスのオリジナル(上位モデル)とABCマート版(廉価版)の主な違いは、素材の質、シュータンの厚み、そして細部のロゴデザインに集約されます。
- オリジナル(LUX等): 薄いシュータン、天然皮革の質感、ヴィンテージ風のソール。
- ABCマート版(通常モデル): 厚いシュータン、手入れの楽な合皮素材、クリーンな真っ白。
どちらもadidasの誇る素晴らしいシューズであることに変わりはありません。しかし、自分が何を重視するのかを明確にすれば、どちらを買うべきかは自然と見えてくるはずです。
次に靴を履き替えるときは、ぜひこの記事を参考に、足元を彩る最高の一足を選んでみてくださいね。



