世界で一番売れたスニーカーとしてギネス認定もされているアディダスの名作、スタンスミス。シンプルでクリーンなデザインは、どんなファッションにも馴染む万能選手ですよね。
しかし、いざスタンスミスを買おうとすると「あれ、モデルによって質感が全然違う?」と戸惑うことはありませんか?実はスタンスミスのアッパー素材は、ここ数年で劇的な変化を遂げているんです。
かつての定番だった天然皮革から、地球環境に配慮したサステナブルな合皮素材への切り替え。そして、こだわり派のために復活した本革モデル。今回は、スタンスミスのアッパー素材にまつわる疑問をスッキリ解決していきます。
スタンスミスのアッパーが激変した2021年の転換点
まず知っておきたいのが、2021年にアディダスが行った大きな宣言です。アディダスは「2024年までにすべての製品でバージンポリエステル(新しく作られるプラスチック原料)の使用を廃止する」という目標を掲げました。
その象徴として、スタンスミスのメインラインのアッパー素材が、天然皮革からリサイクル素材を50%以上使用した「PRIMEGREEN(プライムグリーン)」へと一斉に切り替わったのです。
これにより、私たちがお店で見かけるスタンスミスの多くは、現在「ビーガンレザー(合成皮革)」が主流となっています。本革特有の質感を求めるファンからは驚きの声が上がりましたが、これも時代の流れと言えるでしょう。
合成皮革(PRIMEGREEN)のメリットとデメリット
現在の標準モデルに採用されている合成皮革アッパーには、現代ならではの良さがあります。
まず最大のメリットは「汚れにくさとケアのしやすさ」です。天然皮革に比べて水分を弾きやすく、ちょっとした泥跳ね程度なら湿った布でサッと拭き取るだけで綺麗になります。雨の日でも比較的気兼ねなく履けるのは、デイリーユースにおいて大きな強みですよね。
また、見た目の白さが非常に均一で、新品時のクリーンな印象が長く続くのも特徴です。
一方で、デメリットもあります。合皮は天然皮革のように「自分の足の形に伸びて馴染む」という性質がほとんどありません。そのため、最初に履いた時のフィット感がそのまま続くことになります。また、数年経つと「加水分解」という化学変化によって、表面がポロポロと剥がれてしまう寿命があることも理解しておかなければなりません。
本革モデル「LUX(リュクス)」の復活と魅力
「やっぱりスタンスミスは本革じゃないと」という層に向けて、アディダスはプレミアムな選択肢を用意してくれました。それがスタンスミス LUXです。
このモデルのアッパーには、非常に柔らかくキメの細かい天然皮革が贅沢に使用されています。合皮モデルとの決定的な違いは、その「奥行きのある光沢」と「エイジング(経年変化)」にあります。
本革のアッパーは、履き込むほどに自分の足の形に変形し、唯一無二のフィット感を生み出します。また、シワの入り方も自然で、使い込むほどにヴィンテージのような味わい深い表情に育っていくのが醍醐味です。
価格は標準モデルより高価ですが、適切なお手入れをすれば10年以上履き続けることも可能です。まさに「一生モノ」として育てたい人のためのスタンスミスと言えます。
見た目だけじゃない!素材を見分けるチェックポイント
手元にあるスタンスミスが本革か合皮か、あるいは購入予定のモデルがどちらなのかを見分けるには、いくつかのポイントがあります。
もっとも確実なのは、シュータン(ベロ)の裏側やシューズ内部にあるタグの表記を確認することです。「Upper: Leather」とあれば天然皮革、「Synthetics」や「PRIMEGREEN」のロゴがあれば合成皮革です。
視覚的なポイントとしては、紐を通す穴(アイレット)の断面に注目してみてください。断面が層になっていて、革特有の繊維が見えれば本革です。一方、断面がパキッと均一な色で塗られている、あるいはビニールのような質感であれば合皮である可能性が高いでしょう。
また、2021年以降のモデルでインソールに地球儀のようなマークが入っているものは、サステナブルなリサイクル素材(合皮)の証です。
素材別!アッパーの寿命を延ばすお手入れ術
アッパーの素材が違えば、正しいメンテナンス方法も異なります。素材に合わないケアをすると、逆に劣化を早めてしまうので注意しましょう。
合成皮革(PRIMEGREEN)の場合は、とにかく「乾燥」がキーワードです。汚れが気になったら中性洗剤を薄めた液で拭き取り、風通しの良い日陰でしっかり乾かしてください。合皮に靴クリームを塗っても成分が浸透しないため、基本的には不要です。むしろ、クリームが表面に残ってベタつきや汚れの原因になることもあります。
天然皮革(LUX等)の場合は、定期的な「保湿」が欠かせません。数ヶ月に一度はレザークリームを薄く塗り込み、革の柔軟性を保ちましょう。乾燥してカサカサになると、歩く時の屈折部分から革が割れてしまいます。
どちらの素材にも共通して言えるのは、新品のうちに防水スプレーをかけておくこと。これが最強の防汚対策になります。
どちらを選ぶべき?ライフスタイルに合わせた選び方
「結局、どっちを買えばいいの?」と迷うなら、自分のライフスタイルを振り返ってみてください。
毎日忙しくて靴の手入れに時間をかけたくない、あるいは雨の日でもガンガン履き回したいという方には、現行の合成皮革モデルが最適です。手頃な価格で、常に真っ白で清潔感のある足元を演出できます。
対して、一つのものを長く愛着を持って使い続けたい、ファッションにこだわりがあって上質な質感を重視したいという方には、間違いなくスタンスミス LUXをおすすめします。履き込むほどに自分の足の一部になっていく感覚は、本革でしか味わえません。
スタンスミスは、その誕生から50年以上経った今も、時代に合わせて進化を続けています。素材の特性を知ることで、あなたにとって最高のパートナーが見つかるはずです。
スタンスミスのアッパー素材の違いは?本革・合皮の見分け方や寿命、お手入れを解説
ここまでスタンスミスのアッパーについて詳しく見てきました。素材が変わっても、あの完成されたシルエットとアイコンであるスタンスミス氏の肖像は変わりません。
合成皮革モデルの軽やかさとメンテナンスの容易さを選ぶか、天然皮革モデルの重厚感と育てる楽しみを選ぶか。どちらもスタンスミスの正当な進化の形です。
アッパー素材の違いを正しく理解し、適切なケアを施してあげることで、お気に入りの一足をより長く、より美しく楽しむことができます。あなたの足元を彩る最高のスタンスミスを選んで、軽やかな一歩を踏み出してみませんか。


