世界で一番売れたスニーカーとしてギネス認定もされているアディダスの名作、スタンスミス。そのシンプルで完成されたデザインは、どんなファッションにも馴染む万能アイテムですよね。
しかし、いざ履こうと思ったときにふと手が止まるのが「靴紐の通し方」ではないでしょうか。「一番上の穴(アイレット)が余っているけれど、ここもしっかり通すべき?」「おしゃれな人はあえて通さないって聞くけど、だらしなく見えないかな?」そんな疑問を持つ方は少なくありません。
結論から言うと、スタンスミスの靴紐を一番上まで通さない履き方は、ファッションの現場では「あえてのこだわり」として非常に人気があります。なぜ一番上を通さないのか、それによってどんなメリットがあるのか、スタンスミス愛好家たちのリアルな視点から紐解いていきましょう。
なぜスタンスミスは一番上の穴をあけるのか?
スタンスミスには片側に7個、合計14個の紐穴があります。新品の状態では紐が通っていないことも多いですが、実は一番上の穴をあけておくことには、このモデル特有の明確な理由があるんです。
最大の理由は「シュータン(ベロ)に描かれたスタンスミス氏の肖像画を隠さないため」です。スタンスミスの象徴ともいえるあのグリーンの顔写真ロゴ。一番上の穴まで紐を通し、そこでギュッとリボン結びをしてしまうと、ちょうどスタンスミス氏の顔が紐や結び目で隠れてしまいます。
「スタンスミスを履いている」というアイデンティティを強調したいファンにとって、あのロゴが見えるか見えないかは死活問題。あえて一つ手前の穴で紐を終えることで、シュータンがスッキリと立ち上がり、スタンスミス氏がこちらを向いてくれるというわけです。
「一番上を通さない」ことで生まれる3つのメリット
実用面でも、一番上の穴をあけることには多くのメリットがあります。
まず1つ目は「着脱のしやすさ」です。
スタンスミスはレザー素材で作られているため、キャンバス地のスニーカーに比べてホールド力が強く、脱ぎ履きに少し力が必要です。一番上をあけておけば、履き口に程よいゆとりが生まれ、靴べらを使わなくてもスルッと足を入れられるようになります。忙しい朝や、座敷での飲み会など、靴を脱ぎ履きするシーンが多い日本の生活スタイルには非常に適したカスタマイズと言えるでしょう。
2つ目は「足首周りの抜け感」です。
ファッションにおいて「首・手首・足首」の3点は、視線が集まりやすいポイント。一番上までキッチリ締めるとスポーティーで硬い印象になりますが、一段あけることで足首周りに「遊び」が生まれます。これが、昨今のトレンドである「こなれ感」や「リラックス感」に直結するのです。
3つ目は「ボトムスとの干渉を防ぐ」ことです。
アンクル丈のパンツやロールアップしたデニムを履く際、靴紐の結び目が一番上にあると、パンツの裾が結び目に乗っかってしまい、シルエットが崩れることがあります。一段下げて結ぶことで、パンツの裾が綺麗に落ち、足元がよりスマートに見えるようになります。
あえて「一番上まで通す」のが正解なパターン
もちろん、すべてのケースで「通さないのが正解」というわけではありません。スタイルや目的によっては、一番上までしっかり通すべきシーンもあります。
例えば、ビジネスシーンやジャケパンスタイルでスタンスミスを履く場合です。この時は「清潔感」と「カッチリ感」が重要視されるため、紐は最後まで通して整然と見せるのがマナーに叶っています。紐を一番上まで通し、さらに少し強めに締めることで、スタンスミス特有の細身でシャープなフォルムが強調され、革靴に近い凛とした表情を見せてくれます。
また、長時間歩く旅行やウォーキングの際も、一番上まで通すことをおすすめします。足首が固定されることで、靴の中で足が遊ぶ「ヒールリフト(かかとの浮き)」を防ぐことができ、疲労軽減に繋がります。自分の足が少し細めだと感じる方も、一番上まで通してホールド感を高めたほうが歩きやすさは向上するでしょう。
紐の通し方で印象を変えるテクニック
通す穴の数だけでなく、紐の「通し方(編み方)」自体でも印象はガラリと変わります。スタンスミスに合わせたい代表的な2つのスタイルを紹介します。
一つ目は「オーバーラップ(上から下へ通す)」です。
これは左右の紐が交互に重なり合う、最も一般的な通し方。スポーティーで活動的な印象を与え、緩みにくいのが特徴です。カジュアルなデニムやチノパンに合わせるなら、この通し方で一番上をあけるのが王道スタイルです。
二つ目は「パラレル(並行に通す)」です。
表側に紐がクロスせず、横一文字に並んで見える通し方です。見た目が非常にスッキリと上品になるため、スラックスやセットアップに合わせる際に最適です。パラレルで一番上まで通すと、まるでドレスシューズのような洗練された雰囲気になります。
また、紐自体の素材を変えるのも手です。標準的な平紐から、伸びる靴紐に交換すれば、一番上まで通して見た目の美しさをキープしつつ、スリッポンのように楽に脱ぎ履きができるという、まさに「いいとこ取り」の状態を作れます。
紐の長さとサイズ選びの注意点
一番上の穴をあけるかどうかで、適切な紐の長さも変わってきます。
スタンスミスの標準的な紐の長さは、サイズにもよりますがおおよそ120cmから140cm程度です。
もし一番上の穴をあけて履くのであれば、120cm程度の紐がベストです。これより長いと、結んだ後のループが大きくなりすぎてしまい、地面に擦れたり、だらしない印象を与えたりすることがあります。逆に一番上までしっかり通して結びたい場合は、140cmあると余裕を持って綺麗なリボン結びが作れるでしょう。
また、購入時のサイズ選びも重要です。スタンスミスはやや幅が狭いつくりをしています。紐をギュッと締めて「細身のシルエット」を楽しみたいのであれば、ハーフサイズ(0.5cm)アップで購入し、紐を強めに絞るという履き方もスニーカー好きの間では一般的です。
自分らしいスタイルでスタンスミスを楽しもう
結局のところ、スタンスミスの靴紐を一番上まで通すか通さないかに、絶対的なルールはありません。しかし、その選択一つで「歩きやすさ重視の実用派」なのか、「ロゴや抜け感を大切にするファッション派」なのか、あなたのこだわりが足元に現れます。
もし今まで「なんとなく全部の穴を通していた」という方がいれば、一度一番上の紐を抜いてみてください。鏡の前に立ったとき、いつもより少しだけ軽やかで、こなれた自分に気づくはずです。
スタンスミスは、履く人の数だけスタイルがある自由なスニーカーです。季節やその日のコーディネートに合わせて、紐を通す位置を細かく調整してみるのも、この名作を楽しむ醍醐味と言えるでしょう。
スタンスミスの靴紐は一番上を通さないのが正解?まとめ
今回解説した通り、スタンスミスの靴紐を一番上まで通さないスタイルは、単なる手抜きではなく「ロゴの視認性を高める」「足元に抜け感を作る」「着脱をスムーズにする」といった、計算されたおしゃれのテクニックです。
もちろん、フォーマルな場面や歩行距離が長い日は一番上まで通して安定感を出すなど、シーンに合わせた使い分けができるようになれば、あなたも立派なスタンスミス使い。
まずは自分の持っているスタンスミスの紐を一度解いて、自分にとってベストな位置、ベストな締め心地を探してみてください。そのひと手間で、お気に入りの一足がもっと愛着のあるパートナーに変わるはずです。
今回ご紹介したポイントを参考に、ぜひあなたらしい「スタンスミスの靴紐は一番上を通さない」スタイルを完成させて、毎日のファッションを楽しんでくださいね。


