スニーカー好きなら一度は耳にする「ニューバランス」。でも実際のところ、ニューバランスはどこの会社なのか、どんな歴史を持つブランドなのかを詳しく知っている人は意外と少ないかもしれません。この記事では、創業の地から企業の成り立ち、ブランドの特徴や人気の理由までをわかりやすく紹介します。
ニューバランスはどこの会社？創業地と会社概要
ニューバランスはアメリカ・マサチューセッツ州ボストンで誕生したブランドです。1906年にウィリアム・J・ライリーという人物が「New Balance Arch Support Company」を設立したのが始まりとされています。当時の主力商品はスニーカーではなく、足のアーチを支えるための矯正用インソールでした。
社名の「New Balance（新しいバランス）」は、履く人に新しいバランス感覚をもたらしたいという創業者の想いから付けられたといわれています。ライリーは鶏の三本の指のバランスを観察してインソールを開発したという逸話も残っており、ブランドの根底には常に“足の健康を支える”という思想が流れています。
現在の本社は創業当時と同じくボストンにあり、社名は「New Balance Athletics, Inc.」。アメリカの老舗ブランドでありながら、世界各地に製造・販売拠点を持つグローバル企業として成長しました。
矯正靴メーカーからランニングシューズブランドへ
ニューバランスが最初に作っていたのは、偏平足などの足のトラブルを抱える人のための矯正靴やアーチサポートでした。医療的な観点から“足を整える”ことを目的にしていたため、機能性やフィット感に非常にこだわっていたのです。
その技術が生かされたのが1960年代。ニューバランスはランニングシューズの製造をスタートします。足の長さだけでなく、足幅（ウイズ）に応じたサイズ展開を導入した世界初のランニングシューズ「トラックスター」は、当時のランナーから大きな支持を得ました。
この“足に合わせる”という考え方こそが、今でもニューバランスの象徴です。単に履ける靴ではなく、“自分の足にぴったり合う靴”を提供することをブランドの使命としてきました。
現代のニューバランスを支える2つの国：アメリカとイギリス
ニューバランスの大きな特徴のひとつが、自社工場をアメリカとイギリスに持っていることです。
他のスニーカーブランドがほとんどの製造をアジアに移すなかで、ニューバランスは創業国アメリカのメイン州やマサチューセッツ州、そしてイギリスのフリンビー工場での生産を今も続けています。
この「Made in USA」「Made in UK」ラインは、クラフトマンシップと高品質を象徴する存在。職人による手作業の工程が多く、素材や縫製にも徹底したこだわりがあります。そのため価格は高めですが、長く履ける耐久性と安定した履き心地が魅力です。
もちろん、コストを抑えたアジア生産モデルも存在します。こちらは軽量でカジュアルなデザインが多く、普段履きや通勤・通学用として人気を集めています。製造国が違っても「足に寄り添う」という理念は共通しています。
ニューバランスの成長を支えた転機と歴史的モデル
1972年、経営者のジェームス・S・デービスがニューバランスを買収したことで、ブランドの第二章が始まります。当時わずか6人の従業員しかいなかった小さな会社を、世界的ブランドへと成長させた立役者です。
この時代に誕生したのが、ニューバランスの歴史を代表する「990」シリーズ。1982年に登場した初代990は、当時としては破格の100ドルという価格でしたが、「これまでにない履き心地」として話題を呼びました。
その後も990v2、990v3、990v4、990v6と進化を重ね、ニューバランスの象徴的存在となっています。
また、ライフスタイル寄りの「574」、ファッション性の高い「996」、最新テクノロジーを搭載した「2002R」「9060」など、時代に合わせて多様なモデルが誕生しています。どのモデルにも共通するのは、足を科学的にサポートする設計思想と、長く愛用できる確かな品質です。
ニューバランスジャパンの存在と日本での人気
日本での展開は1988年に始まりました。株式会社ニューバランスジャパンが設立され、国内での販売やマーケティングを本格化。以降、日本人の足型に合わせたモデル展開や限定カラーが多く登場しています。
日本人は欧米人に比べて足幅が広い傾向がありますが、ニューバランスはウイズ（D、2E、4Eなど）のバリエーションが豊富なため、フィットしやすいという声が多いのも特徴です。「長時間歩いても疲れにくい」「通勤にも使える」など、機能性を重視する層に根強い人気を誇ります。
さらに日本では、セレクトショップやファッションブランドとのコラボレーションも盛んです。アトモス、ユナイテッドアローズ、ビームスなどとの別注モデルは毎回話題になり、スニーカー好きの間でコレクターズアイテムとして扱われることもあります。
ブランドの哲学：「履く人に新しいバランスを」
ニューバランスという名前には「履く人に新しいバランス感覚を提供する」という意味が込められています。これは単なるスローガンではなく、創業から100年以上経った今も変わらないブランドの根幹です。
ランニングシューズの分野では安定性とクッション性を両立させ、ファッションの世界ではクラシックで上品なデザインを追求。どちらの領域でも「人の足を思いやる靴づくり」を続けてきました。
その結果、アスリートからビジネスパーソン、学生やファッション愛好家まで、あらゆる世代に支持されるブランドへと成長しています。
ニューバランスが愛され続ける理由
- 圧倒的な履き心地
フィット感と安定感を両立する設計は、長時間履いても疲れにくいと評判です。 - 豊富なサイズとウイズ展開
細身から幅広まで、自分の足に合う一足を見つけやすい。 - クラフトマンシップへのこだわり
アメリカ・イギリス製モデルでは職人の手作業が息づき、素材にも妥協がありません。 - ファッションとの親和性
シンプルで洗練されたデザインは、どんなコーディネートにも馴染みます。 - 歴史と信頼性
1906年の創業以来、一貫して「足を第一に考える」姿勢を貫いています。
これらの要素が融合することで、ニューバランスは“履き心地の良いスニーカー”という枠を超え、文化的価値を持つブランドとして世界中で愛され続けています。
まとめ：ニューバランスはどこの会社？その答えと魅力
改めてまとめると、ニューバランスはアメリカ・ボストンで生まれた老舗ブランドです。
足のアーチサポートから始まり、ランニングシューズ、そしてライフスタイルスニーカーへと進化してきました。
本社はアメリカにありますが、日本法人をはじめ世界中で展開し、製造拠点もアメリカ・イギリス・アジアと幅広いのが特徴です。
創業から100年以上経った今も、「履く人に新しいバランスを」という原点の想いは変わりません。
どのモデルにも、科学的な設計と職人の技が息づいています。
流行に左右されず、誠実に“足と向き合う”姿勢こそが、ニューバランスが世界中で支持される最大の理由といえるでしょう。
ニューバランスはどこの会社か――その答えは、アメリカ・ボストン発の歴史あるブランド。
しかし、ただのアメリカ企業ではなく、今や世界中の人々の「日常に寄り添う靴」をつくり続ける存在です。
その背景を知ることで、あなたが次に選ぶニューバランスの一足が、きっと少し特別に感じられるはずです。
