「新しい革靴を履いて出かけた初日、足が痛すぎて歩けなくなった……」
「ネットで買った革靴が、ガバガバでかかとが浮いてしまう」
そんな経験はありませんか?実は、多くの方が陥る罠があります。それは「スニーカーと同じ感覚で革靴を選んでしまうこと」です。
革靴は、スニーカーとは設計思想からして全くの別物。正しい知識を持たずに選ぶと、せっかくの高価な買い物も苦行の道具に変わってしまいます。この記事では、革靴のサイズ選びで絶対に失敗しないためのコツを、プロの視点から分かりやすく紐解いていきます。
なぜスニーカーと同じサイズだと失敗するのか
まずは、一番大切で意外と知られていない事実からお伝えします。革靴の「26cm」とスニーカーの「26cm」は、中身の大きさが全く違います。
多くのスニーカー、例えばadidas スニーカーやNIKE スニーカーなどの場合、表記されているサイズは「靴そのものの内寸」であることが多いです。つまり、26cmの足の人が履くために、少し余裕を持って作られた「26cmの器」というイメージです。
一方で、日本のJIS規格に基づいた革靴のサイズ表記は「想定される足の実寸」を指します。26cmと書かれた革靴は「足の実寸が26cmの人が履いたときに、つま先に適切な余裕(捨て寸)ができるように設計された靴」なのです。
この違いを知らずに、普段のスニーカーが27cmだからと革靴も27cmを選んでしまうと、指が2本入るほどブカブカな靴を履くことになってしまいます。一般的に、革靴はスニーカーよりも0.5cmから1.5cmほど小さな表記サイズを選ぶのがジャストフィットへの近道です。
自分の「本当の足の形」を知ることから始めよう
サイズ選びの基本は、自分の足を「数字」で把握することです。多くの人は自分の足の長さを知っていても、「幅」や「甲の高さ」までは把握していません。
足長(そくちょう)の測り方
まずは基本の長さです。かかとの一番後ろから、最も長い指の先までの直線距離を測ります。
- 家族や友人に手伝ってもらい、壁にかかとをつけて真っ直ぐ立った状態で測るのが最も正確です。
- 自分一人で前屈みになって測ると、体重の乗り方が変わり、数値がズレてしまうので注意してください。
足囲(そくい)と足幅(あしはば)
次に重要なのが「ワイズ(ウィズ)」と呼ばれる横幅のサイズです。親指の付け根と小指の付け根、それぞれの骨が一番張り出している部分をメジャーでぐるりと一周させます。
- これが「足囲」です。この数値をもとに、E、2E、3Eといった幅の規格が決まります。
- 日本人は伝統的に「甲高幅広」と言われてきましたが、最近は欧米化により細身の足の方も増えています。「自分は幅広だから3Eじゃないとダメだ」という思い込みを一度捨てることが、運命の一足に出会うコツです。
試着時に絶対にチェックすべき「5つの黄金ポイント」
お店で試着した瞬間は良くても、歩き出すと痛くなる。そんな悲劇を防ぐためのチェックリストです。
つま先の「捨て寸」
革靴には、歩く時に足が前後に動くための「遊び」が必要です。これを捨て寸と呼びます。
- 靴を履いて一番奥まで足を寄せたとき、つま先に1.0cmから1.5cm程度の余裕があるのが理想です。
- 捨て寸がないと、歩くたびに指先が靴の先端に激突し、爪を傷める原因になります。
ボールジョイントのフィット感
足の横幅が一番広い部分(親指と小指の付け根のライン)をボールジョイントと呼びます。
- ここが靴の最も幅が広い部分とピタリと一致しているかを確認してください。
- 横幅に適度な圧迫感があり、かつ骨が痛くない状態がベストです。
くるぶしが当たっていないか
意外と見落としがちなのが、履き口の高さです。
- 外くるぶしの骨が、靴の縁(トップライン)に当たっていませんか?
- 当たっている状態で長時間歩くと、皮が剥けて激痛に繋がります。日本人はくるぶしの位置が低い方が多いため、特に海外ブランドの靴を試す際は注意が必要です。
土踏まずのアーチ
靴の土踏まず部分が、自分の足のアーチに沿っているかを確認します。
- ここに隙間がありすぎると、足裏全体で体重を支えられず、疲れやすくなります。
- 逆に盛り上がりすぎていると、突き上げられるような痛みを感じることになります。
かかとのホールド感
紐をしっかり結んで数歩歩いてみてください。
- かかとがパカパカと浮いてしまうのは、サイズが大きすぎるか、かかとの形状が合っていません。
- 革靴において、かかとのホールドは歩行の安定感に直結します。ここが緩いと靴擦れの温床になります。
革の「伸び」と「沈み込み」を計算に入れる
革靴選びがスニーカーより難しい最大の理由は、履いているうちに靴の形が変化するからです。
特に「グッドイヤーウェルト製法」などの高級紳士靴に多い製法では、中底に敷き詰められたコルクが自分の足の形に合わせて沈み込んでいきます。
- 購入時に「少しきついかな?」と感じるくらいが、数ヶ月後には最高のジャストサイズに化けることが多いのです。
- 逆に、買った瞬間に「快適で柔らかい」と感じる靴は、数ヶ月後には革が伸びてコルクが沈み、ガバガバになってしまうリスクがあります。
ただし、痛みを感じるほどのキツさは禁物です。革は横には伸びますが、縦(長さ)には伸びません。指先が当たっている場合は、どれだけ履き込んでも改善されることはありません。
通販で購入する際の失敗しないテクニック
昨今はオンラインで靴を買う機会も増えています。店舗で試着できない状況で失敗を防ぐには、いくつかのテクニックがあります。
返品・交換無料のサービスを活用する
一番の対策は、サイズ交換が前提のサービスを利用することです。
- REGAL 革靴などの定番品であれば、サイズ感のレビューも豊富です。
- 迷ったら、今の実測サイズとその前後0.5cmの計3サイズを注文し、自宅でじっくり履き比べるのが最も賢い方法です。
ブランドごとの「木型(ラスト)」の癖を知る
同じ25cmでも、ブランドやモデルによって形は全く異なります。
- リーガルは全体的に大きめの作り。
- スコッチグレインは日本人の足に合わせた標準的な作り。
- ヨーロッパブランドは幅が細めで甲が低いものが多い。といった傾向を事前に調べておくと、大外れを回避できます。
メンテナンスと調整で「完璧な一足」に育てる
もし、買った後に少しサイズが合わないと感じても、諦めるのはまだ早いです。微調整の方法はいくつかあります。
インソール(中敷き)での調整
靴が少し大きい場合は、インソール 革靴用を活用しましょう。
- 全体に敷くタイプだけでなく、つま先だけ、かかとだけの部分用パッドも効果的です。
- わずかな隙間を埋めるだけで、歩きやすさは劇的に向上します。
厚手の靴下で調整
ビジネスソックスは薄手のものが多いですが、わずかな緩みであれば、少し厚手の靴下を履くことで解決することもあります。逆に、キツすぎる場合は薄手のソックスを選びましょう。
最後に:最高の歩行体験のために
革靴は、単なる履物ではなく、あなたを支えるパートナーです。正しく選ばれた革靴は、姿勢を正し、歩く姿を美しく見せ、何よりあなたの足を疲れから守ってくれます。
「少し面倒だな」と感じるかもしれませんが、一度自分の正しいサイズと選び方のコツを身につけてしまえば、一生モノのスキルになります。これから新しい一足を探しに行く際は、ぜひ今回ご紹介したチェックポイントを思い出してみてください。
革靴のサイズ選びで失敗しないコツ!スニーカーとの違いや正しい測り方を徹底解説。この知識を武器に、あなたの足にぴったりの、極上の一足を見つけてくださいね。


