「お気に入りの革靴を久しぶりに出したら、表面が真っ白に……」
「なんだか靴箱から酸っぱいような、カビ臭いニオイが漂ってくる」
そんな経験はありませんか?せっかく手に入れた大切な相棒がカビに侵されているのを見るのは、本当にショックなものです。でも、安心してください。
革靴のカビや臭いは、正しい知識と手順さえあれば、自宅でしっかり落とすことができます。この記事では、カビの除去方法から、頑固なニオイの消し方、そして二度とカビを生やさないためのプロ直伝の保管術まで、徹底的に解説していきます。
なぜ革靴にカビが生え、嫌な臭いが発生するのか?
そもそも、なぜ革靴はこんなにもカビの被害に遭いやすいのでしょうか。その理由は、革という素材の特性と、日本の気候にあります。
カビが繁殖する条件は「湿度」「温度」「栄養」の3つが揃ったときです。
- 湿度: 60〜70%以上で活発になります。
- 温度: 20〜30℃前後、人間が快適と感じる気温はカビにとっても楽園です。
- 栄養: 革そのものに含まれるタンパク質、お手入れに使った古い油分、そして履いたときに付着した汗や泥汚れ。
つまり、一日中履いて汗をたっぷり吸った靴を、湿気の溜まりやすい下駄箱にそのまま閉じ込める行為は、いわば「カビの養殖」をしているようなものなのです。
カビは根を張ると同時に、有機物を分解して特有のガスを発します。これが、あの鼻を突く「カビ臭さ」の正体です。
準備するもの:カビ取りの三種の神器
作業を始める前に、まずは道具を揃えましょう。カビの胞子を部屋に散らさないよう、準備が何より大切です。
まず、絶対に用意してほしいのが使い捨てマスクとビニール手袋です。カビの胞子を吸い込むとアレルギーの原因になりますし、手についた胞子が他の場所に移動するのを防ぐためです。
そして、カビを退治するためのメインアイテムは、以下のいずれかを選んでください。
- モゥブレィ モールドクリーナー(推奨): 革専用に開発された除菌・防カビミスト。革を傷めにくく、カビの核を壊す力が強いです。
- 消毒用エタノール: 家にあるもので代用したい場合に。ただし、革によっては色が抜けたり硬くなったりすることがあるので、必ず目立たない場所で試してから使いましょう。
あとは、カビを拭き取るための「使い捨ての布」です。着古したTシャツを小さく切ったものや、キッチンペーパーが最適です。拭き取った後の布にはカビの胞子がびっしりついているので、洗って再利用しようとせず、すぐにゴミ袋へ封じ込めて捨ててください。
自宅でできる!革靴のカビと臭いを除去する5ステップ
それでは、実際のお掃除手順を説明します。必ず「屋外」または「換気の良いベランダ」で行ってくださいね。
ステップ1:屋外で表面のカビを払い落とす
まずは馬毛ブラシなどの靴ブラシを使って、表面に見えるカビを払い落とします。このとき、室内で行うと胞子が舞って家具や他の靴に付着するため、絶対に外で作業しましょう。
ステップ2:除菌剤で「面」を意識して拭き取る
布にモゥブレィ モールドクリーナーやエタノールを染み込ませ、カビを拭き取っていきます。
ここで重要なコツがあります。それは「常に布の新しい面を使うこと」です。同じ面で何度もこすると、せっかく取ったカビを他の場所に塗り広げることになってしまいます。一拭きごとに布の面を変えるイメージで、丁寧に拭き上げてください。
ステップ3:靴の内側を徹底除菌する
実は表面よりも大切なのが、足が触れる「内側」です。臭いの元となる雑菌やカビの根は、中敷きや奥の方に潜んでいます。
靴の中に直接除菌スプレーを吹きかけ、届く範囲でしっかりと布で拭き取ります。届かない奥の方は、スプレーを多めに吹きかけて浸透させるだけでも効果があります。
ステップ4:陰干しで数日間しっかり乾燥
拭き取りが終わったら、風通しの良い「日陰」で2〜3日干してください。
「日光消毒した方がいいのでは?」と思うかもしれませんが、本革は直射日光に弱く、急激に乾燥するとひび割れ(クラック)の原因になります。必ず日陰を選びましょう。
このとき、靴用除湿剤を併用すると、芯までしっかり乾かすことができます。
ステップ5:仕上げの栄養補給(必須!)
カビ取り剤やアルコールで拭いた後の革は、油分が抜けてカサカサの状態です。そのまま放置すると革が劣化してしまいます。
乾燥が終わったら、靴クリームを塗って栄養を補給し、最後にしっかりとブラッシングして磨き上げてください。これで、見た目も清潔感も元通りになります。
その臭い、諦めないで!頑固な「酸っぱい臭い」の消し方
カビの見た目は消えても、染み付いた「酸っぱい臭い」が取れないことがあります。これは、汗に含まれる成分を雑菌が分解して作った「イソ吉草酸」などが原因です。
そんなときは、以下の方法を試してみてください。
重曹を使った消臭パック
重曹をお茶パックや古くなった靴下に入れ、それを靴の中に入れて一晩放置します。重曹は弱アルカリ性なので、酸性の臭い成分を中和してくれる効果があります。革に直接重曹が触れると変色のリスクがあるため、必ずパックに入れて使いましょう。
プロの丸洗いを検討する
もし、どうしても臭いが取れない場合は、家庭での対処の限界かもしれません。プロの靴クリーニング店では、「オゾン水」などを使った丸洗いが可能です。
革靴用石鹸(サドルソープ)を使って自分で丸洗いする方法もありますが、乾燥の工程で型崩れしやすいため、自信がない方はプロに任せるのが賢明です。数千円の投資で、新品のような清潔感が戻ってくるなら決して高くはありません。
【プロ直伝】もう悩まない!革靴のカビ再発防止術
カビを除去できたら、次は「二度と生やさない環境」を作ることがゴールです。日常のちょっとした習慣で、革靴の寿命は劇的に延びます。
1. 「1日履いたら2日休ませる」を徹底する
1日履いた革靴の中は、驚くほど湿度が高い状態です。この水分が完全に抜けるまでには、約48時間かかると言われています。
毎日同じ靴を履き続けるのは、カビにとって絶好の環境を提供しているのと同じ。最低でも3足の靴をローテーションさせ、中2日は休ませるようにしましょう。
2. 脱いだらすぐに下駄箱へ入れない
帰宅してすぐ、靴を閉め切った下駄箱に入れるのはNGです。少なくとも数時間は玄関に出しておき、中の湿気を逃がしてから収納しましょう。
3. 木製のシューキーパーを活用する
木製シューキーパー(レッドシダー)は、型崩れを防ぐだけでなく、木そのものが湿気を吸い、消臭効果も発揮してくれます。プラスチック製よりも少し高価ですが、カビ対策としては非常に優秀な投資です。
4. 下駄箱に「空気の通り道」を作る
下駄箱の中に靴をぎゅうぎゅうに詰め込んでいませんか?空気が滞留すると湿気が逃げ場を失います。
定期的に下駄箱の扉を開けて換気をする、あるいは下駄箱用除湿剤を下段に設置する(湿気は下に溜まるため)といった工夫をしましょう。
革靴のカビと臭いを根こそぎ除去!自宅でできる簡単対策とプロ直伝の再発防止術のまとめ
いかがでしたでしょうか。革靴にカビが生えてしまうと、もう履けないと諦めてしまいがちですが、正しい手順でケアをすれば、また愛着を持って履き続けることができます。
今回のポイントを振り返ります。
- 作業は必ず「屋外」で行い、胞子を吸わないようマスク・手袋を着用する。
- モゥブレィ モールドクリーナーなどの専用品を使い、布の新しい面で拭き取る。
- 除菌後は数日間しっかり陰干しし、最後にクリームで保湿する。
- 再発防止には、ローテーションと木製シューキーパーが最強の武器になる。
カビは一度発生すると厄介ですが、裏を返せば「今の保管環境を見直して」という靴からのサインでもあります。この機会にメンテナンスの習慣を取り入れて、お気に入りの一足を末永く大切にしてあげてください。
もし「自分ではもうどうしようもない……」と思ったら、手遅れになる前にプロのクリーニングへ相談してみてくださいね。あなたの足元が、いつも清潔で心地よいものであることを願っています。


