「憧れの高級靴があるけれど、定価ではとても手が出ない……」
「ヴィンテージ特有の、あの肉厚で上質な革質を楽しんでみたい」
そんな風に考えたとき、有力な選択肢になるのが「中古の革靴」です。最近ではフリマアプリの普及や中古靴専門店の増加により、かつては高嶺の花だった名作靴を驚くような価格で手に入れられるようになりました。
しかし、中古靴には特有の「罠」があるのも事実。選び方を間違えると、すぐに革が裂けてしまったり、他人の足型が馴染みすぎていて自分の足に合わなかったりと、安物買いの銭失いになりかねません。
今回は、中古の革靴を賢く手に入れ、自分だけの一足に育てるための完全ガイドをお届けします。
なぜ今、中古の革靴が熱いのか?そのメリットと魅力
そもそも、なぜ中古の革靴がこれほどまでに支持されているのでしょうか。最大の理由は「コストパフォーマンス」です。
現在、世界的な原材料費の高騰により、英国や米国の老舗ブランドの靴は軒並み値上がりしています。かつて10万円前後だったモデルが、今や15万円から20万円という価格設定になることも珍しくありません。
一方で中古市場に目を向ければ、REGAL(リーガル)やScotch Grain(スコッチグレイン)といった国産の良質な靴から、Edward Green(エドワードグリーン)のような最高級靴まで、状態の良いものが定価の3割から5割程度で見つかることがあります。
また、革質の変化も大きなポイントです。30年以上前のヴィンテージシューズなどは、現在では入手困難なほど高品質な革が使われていることがあり、現行品以上の光沢や耐久性を備えていることも少なくありません。
購入前に必ず確認!中古革靴選びのチェックリスト
中古靴をオンラインや店舗で購入する際、見た目の綺麗さだけで選ぶのは禁物です。長く愛用するために、プロも注目する以下のポイントを必ず確認しましょう。
1. クラック(ひび割れ)がないか
最も重要なのが、アッパー(甲革)の状態です。特に歩行時に曲がる「履きジワ」の部分を注視してください。乾燥によって革の繊維が断裂し、深いひび割れ(クラック)が入っているものは避けましょう。表面の薄いシワならケアで改善しますが、深いクラックは修理が不可能で、そこから破れが広がってしまいます。
2. インソールの沈み込みと足型
革靴は履き込むことで、持ち主の足型に合わせて中底(インソール)が沈み込みます。これが中古靴の難しいところです。前の持ち主の足癖が強すぎて、極端に一方向に沈み込んでいるものは、自分の足に馴染ませるのが難しく、足の痛みの原因になります。インソールを指で触ってみて、極端な凹凸がないか確かめましょう。
3. ウェルトとソールの残り
グッドイヤーウェルト製法の靴であれば、ソールを丸ごと交換する「オールソール」が可能です。しかし、本体と底を繋ぐ「ウェルト」というパーツが削れすぎていると、修理費用が高額になったり、最悪の場合は修理不能と判断されたりします。また、つま先やかかとの減り具合から、過去にどのようなメンテナンスを受けてきたかを推測することができます。
4. ライニング(内張り)のダメージ
外側が綺麗でも、靴の中身がボロボロというケースは多いものです。特にかかとが当たる「すべり」と呼ばれる部分や、小指が当たる部分に穴が開いていないか確認してください。かかとの破れは修理可能ですが、靴全体の寿命を判断する重要な指標になります。
衛生面の不安を解消する「リセット」の儀式
「中古靴は水虫や臭いが気になる」という方も多いはず。しかし、正しい手順でケアを行えば、衛生面のリスクは最小限に抑えられます。
まずは、強力な除菌効果のあるM.MOWBRAY モールドクリーナーなどを使用して、内側を徹底的に拭き上げましょう。さらに、靴専用の石鹸であるサドルソープを使って、丸洗いを行うのも有効です。
丸洗いをすることで、前の持ち主が蓄積させた古いクリームや汗の塩分を洗い流し、革の状態をニュートラルに戻すことができます。乾燥後はデリケートクリームでしっかり加湿すれば、驚くほど清潔でしなやかな状態に蘇ります。
自分で行うのが不安な場合は、靴修理専門店が提供しているクリーニングサービスを利用するのも一つの手です。プロの手によって除菌・消臭が行われ、見違えるような仕上がりになります。
狙い目はこれ!失敗しにくいおすすめブランド
中古市場で流通量が多く、品質が安定しているブランドを知っておくと、探しやすくなります。
国産の安心感:リーガルとスコッチグレイン
REGAL(リーガル)は日本で最も流通しているブランドの一つ。造りが非常に堅牢で、中古でも状態の良い個体が見つかりやすいのが特徴です。また、Scotch Grain(スコッチグレイン)は良質なインポートレザーを使用しているモデルが多く、中古価格に対しての革質が非常に高いのが魅力です。
憧れの海外ブランド:チャーチとチーニー
英国靴の聖地、ノーザンプトンの老舗であるChurch's(チャーチ)は、中古市場でも絶大な人気を誇ります。特に「プラダ買収前」の旧モデルはヴィンテージ愛好家の間で高値で取引されています。より手の届きやすい価格帯ではJoseph Cheaney(ジョセフ チーニー)もおすすめです。
コードバンの魅力:オールデン
Alden(オールデン)のコードバンモデルは、中古でも価格が落ちにくいことで知られています。しかし、履き込まれたコードバン特有の「うねるようなシワ」は、中古でしか味わえない色気があります。リセールバリュー(再販価値)も高いため、資産価値として選ぶ人も多いブランドです。
購入場所の使い分け!実店舗 vs フリマアプリ
中古靴をどこで買うべきかは、何を優先するかによって変わります。
実店舗(中古靴専門店など)
- メリット:試着ができる、プロが検品・ケア済み、偽物のリスクがない。
- デメリット:フリマアプリよりも価格設定が高め。
フリマアプリ(メルカリ、ヤフオクなど)
- メリット:とにかく安い、時としてとんでもない掘り出し物が出る。
- デメリット:サイズ選びが難しい、写真でダメージを見極める目が必要、返品が困難。
初心者のうちは、多少高くても実店舗で試着して選ぶことを強くおすすめします。革靴のサイズ感はブランドやラスト(木型)によって千差万別だからです。
長く愛用するためのアフターケア
手に入れた中古靴を一生モノにするためには、その後のケアが欠かせません。
まずは、自分の足に合った木製シューキーパーを必ず用意しましょう。中古靴は前の持ち主のシワが定着していますが、シューキーパーを入れることでシワを伸ばし、反りを戻すことができます。
また、古いクリームが層になっている場合は、強力なクリーナーで一度すっぴんの状態に戻してから、Saphir Noir(サフィールノワール) クレム1925などの上質な靴クリームで栄養を補給してください。これだけで、くたびれていた中古靴に美しい光沢が戻ります。
革靴を中古で楽しむ!自分だけの一足を育てる喜び
中古の革靴を選ぶことは、単なる節約術ではありません。かつて誰かが大切に履いていた靴を引き継ぎ、メンテナンスを重ねて自分の足に馴染ませていくプロセスには、新品にはないロマンがあります。
良質な革靴は、適切な修理を施せば10年、20年と履き続けることができます。前の持ち主が刻んだ歴史に、自分の歩みを重ねていく。そんな楽しみ方ができるのも、革靴という文化の素晴らしいところです。
今回ご紹介したチェックポイントを参考に、ぜひあなたにとっての「運命の一足」を中古市場で見つけ出してください。丁寧に手入れをされた革靴は、きっとあなたの足元を誇らしく彩ってくれるはずです。
中古革靴の選び方完全ガイド!失敗しないチェックポイントとおすすめブランドを解説を最後までお読みいただきありがとうございました。あなたの靴選びが、より豊かなものになることを願っています。


