「仕事にスニーカーを履いていきたいけれど、周囲の目が気になる……」
「スーツにスニーカーを合わせたら、なんだか子供っぽくなってしまった」
働き方の多様化が進み、ビジネスファッションのカジュアル化も加速しています。かつては「スーツには革靴」が絶対のルールでしたが、今では大手企業や行政機関でもスニーカー通勤を推奨する動きが広がっています。
しかし、いざ実践しようとすると「本当にマナー違反にならないか?」という不安がつきまとうものです。実は、スーツ×スニーカーの着こなしには、守るべき「暗黙の了解」が存在します。
この記事では、ビジネスシーンで失敗しないスニーカーの選び方や、失礼にならないための注意点を徹底的に解説します。マナーを正しく理解して、快適でスマートなビジネスライフを手に入れましょう。
スーツにスニーカーを合わせるのが一般的になった背景
かつてビジネスの場では、相手への敬意を示すために最もフォーマルな装い(スーツに紐付きの革靴)が求められてきました。しかし、近年その常識は大きく変化しています。
きっかけの一つは、スポーツ庁が推奨した「FUN+WALK PROJECT」です。国民の健康増進を目的として、歩きやすい服装での通勤を推奨するこのプロジェクトにより、「スニーカー通勤」という言葉が市民権を得るようになりました。
さらに、IT企業の台頭やリモートワークの普及により、ビジネスウェアに対する考え方が「形式」よりも「機能性」や「生産性」を重視する方向へシフトしています。動きやすく、疲れにくいスニーカーは、現代のビジネスパーソンにとって理にかなった選択肢と言えるでしょう。
その着こなし、大丈夫?マナー違反にならないための境界線
ビジネスシーンでスニーカーが許容されるようになったとはいえ、「どんなスニーカーでも良い」わけではありません。一歩間違えると「だらしない」「常識がない」という評価を受けてしまいます。
まずは、自分の職場や訪問先がスニーカーを許容する環境かどうかを見極めることが重要です。
業界や職種による許容度の違い
IT業界やクリエイティブ関連の職場、あるいは私服勤務が許可されているオフィスカジュアルな環境であれば、スニーカーは全く問題ありません。むしろ、トレンドを取り入れた清潔感のあるスタイルは好印象を与えることもあります。
一方で、金融、証券、公務員、士業といった保守的な業界では、依然として革靴がスタンダードです。また、営業職であっても、初めて訪問する取引先や、謝罪の場面、冠婚葬祭に関連するシーンでは、スニーカーは避けるのが賢明です。
「相手が自分をどう見るか」という視点を常に持ち、迷ったときは周囲の先輩や上司の足元をチェックすることから始めましょう。
「運動靴」と「ビジネススニーカー」を混同しない
最も多い失敗が、休日に履いているランニングシューズや、カラフルなハイテクスニーカーをそのままスーツに合わせてしまうパターンです。
ビジネスにおけるスニーカーは、あくまで「革靴の代わり」としての役割が求められます。派手なロゴや蛍光色、メッシュ素材が目立つものは、ビジネスの品格を損なうため避けるべきです。
ビジネスシーンで正しいスニーカーを選ぶ3つの基準
スーツに馴染み、仕事相手に安心感を与えるスニーカー選びには、明確な基準があります。以下の3つのポイントを意識するだけで、失敗の確率はぐっと下がります。
1. 素材は「レザー」が鉄則
ビジネススニーカーの最優先事項は「素材」です。キャンバス地(布製)はカジュアルすぎてしまい、学生のような印象を与えてしまいます。
大人のビジネススタイルには、本革(スムースレザー)や高品質な合成皮革を選びましょう。レザー特有の光沢感がスーツの生地と調和し、遠目には革靴を履いているかのような落ち着いた雰囲気を作り出してくれます。
少し柔らかい印象を与えたい場合は、スエード素材もおすすめです。季節感が出て、上品な足元を演出できます。
2. デザインは「シンプル・ローカット・細身」
デザインは引き算で考えましょう。
- フォルム: ボリュームのある厚底タイプや、つま先が丸すぎるものは避け、足のラインに沿ったスリムなシルエットを選びます。
- カット: くるぶしが見えるローカット一択です。ハイカットはスポーティーすぎる上、スーツの裾がもたついてだらしなく見えてしまいます。
- ロゴ: ブランドロゴはできるだけ控えめなものを。同系色の刺繍や型押し程度のデザインが理想的です。
3. 色は「ブラック」「ホワイト」「ネイビー」の3色
色は、コーディネートを左右する重要な要素です。
- ブラック: 最も汎用性が高く、初心者でも安心です。ソールまで黒いオールブラックのモデルを選べば、ぱっと見は革靴に見えるため、少し硬めの会議でも違和感がありません。adidas スタンスミス ブラックのような定番モデルは、その代表例です。
- ホワイト: 清潔感と軽やかさを演出できます。ネイビーやグレーのスーツと相性が良く、春夏シーズンには特におすすめです。
- ネイビー・グレー: スーツの色と同系色でまとめることで、足元が浮かず、全体に統一感が生まれます。
スニーカーを「ダサく」見せないための着こなし術
せっかく良いスニーカーを選んでも、スーツとのバランスが悪いと台無しです。おしゃれでデキる男に見せるためのポイントは「サイズ感」にあります。
パンツの「裾の長さ」がすべてを決める
スーツにスニーカーを合わせる際、最もやってはいけないのが「長すぎる裾」です。
革靴を履くときのように裾が靴の甲に乗って「クッション(たわみ)」ができてしまうと、一気に野暮ったくなります。スニーカーの場合は、裾が靴に触れるか触れないか程度の「ノークッション」から「ハーフクッション」に調整しましょう。
足首周りをスッキリさせることで、スニーカーの持つ軽快さが活き、洗練された印象になります。
スーツ自体のシルエットも見直す
昔ながらのダボッとしたシルエットのスーツにスニーカーを合わせると、単に「靴を履き替えるのを忘れた人」に見えてしまいます。
スニーカーを合わせるなら、パンツは裾に向かって細くなる「テーパードシルエット」が理想です。最近主流のストレッチ素材を使ったセットアップなどは、スニーカーとの親和性が非常に高いアイテムと言えます。
意外と見落としがちなメンテナンスとケアの注意点
スニーカー通勤において、マナー違反と見なされる最大の原因は「汚れ」です。革靴を磨くのがマナーであるように、スニーカーも常に清潔に保たなければなりません。
汚れは「即」落とす
特に白スニーカーの場合、つま先の黒ずみやソールの汚れは非常に目立ちます。どんなに高級なスニーカーでも、汚れていれば「だらしない人」というレッテルを貼られてしまいます。
帰宅後に軽く拭く、あるいはJASON MARKKのような専用のクリーナーで定期的に手入れをする習慣をつけましょう。
ソールの減りに注意する
スニーカーのソールは革靴に比べて柔らかく、摩耗しやすいのが特徴です。かかとが斜めに激しく削れた靴は、姿勢が悪く見え、清潔感を著しく損ないます。ソールの寿命は靴の寿命と考え、早めに買い替えるのが大人のマナーです。
迷ったらこれ!ビジネスで使える定番スニーカー3選
「具体的に何を買えばいいかわからない」という方のために、ビジネスシーンで外さない定番モデルをご紹介します。
アディダス:スタンスミス
世界で最も売れたスニーカーとして有名なスタンスミス。そのミニマルなデザインは、スーツスタイルのためにあると言っても過言ではありません。特にオールホワイトや、ロゴまで黒いモデルは、ビジネスマンの強い味方です。
コンバース:オールスター クップ
定番のオールスターをベースに、ディテールをドレッシーに仕上げたオールスター クップ。ハトメ(紐を通す穴)をなくしたり、高級感のあるレザーを使用したりと、スニーカーの歩きやすさと革靴のルックスを両立しています。
ニューバランス:990シリーズやレザースニーカー
履き心地を最優先するならニューバランスです。ハイテクな印象が強いブランドですが、ニューバランス 996 レザーなどの細身のレザーモデルを選べば、スーツにも驚くほど馴染みます。その卓越したクッション性は、外回りの多い営業職の方にとって最高の武器になるはずです。
まとめ:スーツにスニーカーはマナー違反?ビジネスシーンでの正しい選び方と注意点
最後に、今回ご紹介した内容を振り返りましょう。
ビジネスシーンでスニーカーを取り入れることは、現代において決してマナー違反ではありません。ただし、それは「周囲への配慮」と「清潔感」を維持していることが前提です。
- 素材はレザー、色はモノトーン、形は細身のローカットを選ぶ。
- パンツの裾を短めに設定し、スッキリした足元を演出する。
- 汚れやソールの減りを放置せず、常にメンテナンスを怠らない。
このポイントさえ守れば、スニーカーはあなたのビジネススタイルをよりアクティブに、そして現代的にアップデートしてくれる強力なアイテムになります。
足元が軽くなれば、フットワークも軽くなり、仕事へのモチベーションも高まるはず。ぜひ、マナーを守った「正しいスニーカー選び」で、一歩先を行くビジネススタイルを楽しんでください。
「スーツにスニーカーはマナー違反?」という疑問を自信に変えて、明日からの通勤をより快適なものにしていきましょう。


