ニューバランスのスニーカーの中でも“通”に愛される存在が「ニューバランスM998」。一見クラシックな見た目ながら、実はニューバランスの歴史を語るうえで欠かせない重要なモデルです。この記事では、その履き心地・デザインの魅力を深掘りしつつ、人気の990シリーズとの違いも詳しく紹介します。
M998とは？90年代に誕生した完成度の高いモデル
ニューバランスM998は1993年に登場した、ニューバランスの「99Xシリーズ」の一員です。初代990の系譜を継ぐ形で開発され、ブランドの技術と美学が融合したモデルとして知られています。
当時のキャッチコピーは「990点中990点を目指す靴」。その言葉の通り、ニューバランスM998も高品質な素材と機能を追求した結果生まれたハイエンドモデルです。
最大の特徴は、ニューバランスとして初めて「ABZORB（アブゾーブ）」をミッドソールに搭載した点。これにより、衝撃吸収と反発性の両立が実現されました。1990年代初頭という時代において、この技術は非常に革新的でした。
また、「Made in USA」シリーズとして生産されることが多く、アッパーのピッグスキンスエードやメッシュ素材は上質で丈夫。クラフトマンシップが息づくつくりが、今もファンを魅了し続けています。
履き心地の特徴：安定感と程よいクッションのバランス
ニューバランスM998の履き心地は一言でいえば「安心感とバランス」。柔らかすぎず、固すぎず、長時間履いても疲れにくいという声が多いです。
ABZORB素材によって衝撃をしっかり吸収しつつ、地面を踏みしめる感覚も残るため、ウォーキングや通勤など日常使いにぴったり。最新の軽量クッションモデルのような“ふわふわ感”はありませんが、その分、足裏の安定感と剛性感が感じられます。
実際に愛用者の間では、「1日中歩いても足が痛くなりにくい」「立ち仕事でも疲れが少ない」といった声が多く、クラシックランニングシューズらしい実用性の高さが支持されています。
ただし、990シリーズと比べると、ニューバランスM998はやや前傾姿勢に感じるという意見もあります。これはソール構造の影響で、つま先側がやや高く設計されているため。結果として、自然に前へ踏み出すような感覚が生まれます。
フィット感とサイズ選びのポイント
ニューバランスM998は標準的なワイズ（D幅）で作られており、990シリーズのように幅広の展開が少ない点には注意が必要です。
全体的にやや細めのシルエットで、特に甲が高い方や幅広の足型の方は窮屈に感じることがあります。日本人の足型に合わせるなら、ハーフサイズアップを検討するのもおすすめです。
また、履きはじめは少し硬さを感じる場合がありますが、ピッグスキンスエードが柔らかく馴染むため、履き込むほどにフィット感が増していきます。この“育てる感覚”こそ、ニューバランスM998の醍醐味といえるでしょう。
デザインの魅力：クラシック×モダンの絶妙なバランス
ニューバランスM998のデザインは、まさに「クラシックランニングシューズの完成形」と呼ぶにふさわしいもの。
90年代当時のランニングシルエットをそのまま引き継ぎながら、現代のファッションにも溶け込む普遍的なルックスが特徴です。グレーを中心にしたカラーパレットは、ニューバランスらしい落ち着きと上品さを演出します。
また、厚めのミッドソールが生み出すボリューム感も、コーディネートのアクセントになります。シンプルなデニムやチノパンにはもちろん、スラックスなどのきれいめスタイルにもマッチ。大人のカジュアルコーデを格上げしてくれる一足です。
さらに、ニューバランスM998はコラボレーションモデルも数多く存在します。
「Concepts」「J.Crew」などとの別注モデルは、ファッション性の高さと希少性で人気を集めています。特に“C-Note”カラーは名作として語り継がれる存在です。
990シリーズとの違いを徹底比較
ニューバランスM998とよく比較されるのが、ニューバランスの看板モデル「990シリーズ」。両者の違いを理解すると、自分に合った一足を選びやすくなります。
1. ミッドソール構造
ニューバランスM998は「ABZORB」を初採用したモデルで、やや硬めで反発のある履き心地。一方、990シリーズは「ENCAP」構造をベースに世代ごとに進化しており、特に最新の990v6では柔らかく弾むようなクッション感が得られます。
つまり、ニューバランスM998は「安定感重視」、990シリーズは「快適性・柔軟性重視」と言えるでしょう。
2. フィット感の違い
990シリーズはワイズ展開が豊富で、細身から幅広まで多様な足型に対応しています。ニューバランスM998は基本的に標準幅（D）のみで、フィット感はややタイト。そのため、足幅が広い方は990シリーズの方が快適に感じる場合もあります。
3. デザインの印象
990シリーズはよりオーセンティックで安定したシルエット。
一方、ニューバランスM998はヒールがやや高く、つま先に向かって傾斜があるため、わずかにスポーティでシャープな印象を与えます。街履きファッションの観点では、ニューバランスM998のほうが「レトロモダン」な雰囲気を楽しめます。
4. ファッション的価値
990シリーズは定番としての地位を確立しており、常に安定した人気を誇ります。
対してニューバランスM998は、コラボや限定カラーを中心にファッション性が高く、コレクターズアイテムとしても注目されています。
M998を選ぶメリットと注意点
メリット
- 高級感のある素材とつくり
- 長時間歩いても疲れにくい安定した履き心地
- クラシックで洗練されたデザイン
- コーディネートを選ばず使いやすい
- 限定モデルのコレクション性
注意点
- ワイズが狭めで、幅広の方には合わない場合がある
- 現行モデルに比べるとやや重め
- Made in USAモデルは価格が高め
これらを踏まえると、ニューバランスM998は“見た目と履き心地のバランスを重視する人”や“上質なスニーカーを長く履きたい人”に最適なモデルです。
コーディネートのポイント
ニューバランスM998はそのシルエットと素材感から、どんなスタイルにも溶け込みます。
特におすすめは以下のような組み合わせです。
- デニム＋白T＋グレーのニューバランスM998：王道でありながら洗練されたカジュアル
- チノパン＋ジャケット＋ネイビーニューバランスM998：大人の休日コーデ
- スラックス＋モノトーンコーデ＋ブラックニューバランスM998：上品で都会的
色数を抑えて“足元を主役”にすることで、ニューバランスM998の存在感がより際立ちます。
990シリーズとの使い分け方
もし990シリーズも気になっているなら、以下の基準で選ぶと良いでしょう。
- 快適さ重視・最新クッションを求める → 990シリーズ
- クラシックな見た目と程よい硬さを求める → ニューバランスM998
どちらもニューバランスらしさが詰まった名作ですが、方向性が微妙に異なります。
990シリーズは「今の技術で作られた最高のスニーカー」、ニューバランスM998は「当時の技術で完成された最高のスニーカー」と言えるでしょう。
ニューバランスM998の魅力を再確認して
ニューバランスM998は、クラシックな見た目と確かな履き心地を両立した名作です。
派手さはないものの、履くほどに味が出て、自分だけの一足へと育っていく魅力があります。
また、990シリーズとの比較を通じて見ると、ニューバランスM998がどれほど完成された構造を持っているかがよくわかります。90年代に誕生しながら、今も色褪せない理由は、そのデザインと機能の“バランスの良さ”にあります。
もしあなたが「流行に左右されないスニーカー」を探しているなら、ニューバランスM998はまさにその理想形。履くだけでニューバランスの哲学を感じられる、永遠のスタンダードです。
ニューバランスM998で感じる至高の履き心地と990シリーズとの違い
最後にもう一度。ニューバランスM998は、990シリーズと並び立つブランドの象徴的存在です。
重厚感のあるデザイン、安定した履き心地、上質な素材。どれを取っても完成度が高く、長く愛用できる一足です。
スニーカーとしての実用性はもちろん、ファッションアイテムとしても価値あるモデル。
クラシックでありながら、今なお新鮮な輝きを放つニューバランスM998を、ぜひ一度手に取ってみてください。
