スニーカー好きの人なら一度は耳にしたことがある「Gravis（グラビス）」。90年代から2000年代のスケートシーンを象徴するブランドでありながら、ファッションとしても高く評価されてきました。この記事では、そんなグラビススニーカーの誕生背景から人気モデル、そして再始動に至るまでの流れをじっくりと掘り下げていきます。
Gravisスニーカーの誕生とコンセプト
Gravis（グラビス）は、1998年にスノーボードブランド「Burton（バートン）」から誕生しました。
もともとスノーボード後に履ける「アフタースノーシューズ」として開発され、アクティブな動きの後でも足を快適に保つことを目的としていたんです。
このコンセプトは当時とても斬新でした。スノーボード、サーフィン、スケートボードといった“ボードカルチャー”を横断するライフスタイルを提案し、スポーツとファッションを自然につなげる存在として注目を浴びました。
その履き心地の良さと洗練されたデザイン性は、アスリートだけでなくストリートシーンの若者にも受け入れられ、瞬く間に人気ブランドとして成長していきます。
スケート文化との深い結びつき
グラビスが一躍注目を集めたのは、2000年代に入ってから。スケートラインを立ち上げ、世界中のスケーターたちをサポートし始めた時期です。
中でも象徴的なのが、伝説的スケーター「ディラン・リーダー（Dylan Rieder）」の存在。彼が手がけたモデルは、スケートシューズとは思えないほど洗練されたデザインで、多くのファッションファンからも熱烈に支持されました。スケートシューズでありながら、どこか上品さを感じさせるフォルム。まさに“カルチャーとスタイルの融合”を体現していたのです。
また、アート・サーリ（Arto Saari）やジェイク・ジョンソン（Jake Johnson）など、当時のトップライダーたちが次々とGravisチームに参加。彼らの存在がブランドの信頼と文化的価値を押し上げていきました。
ファッションブランドとしての進化
グラビスはスケートブランドとしての枠を超え、ライフスタイル全体を提案する方向へと進化していきます。
シューズだけでなく、バッグやアパレルも展開し、「ボードスポーツの延長線にある日常」をテーマにしたコレクションを次々と発表しました。
この時期のGravisは、ストリートブランドと比べても一線を画す存在。無駄を削ぎ落としたミニマルなデザインと機能的な履き心地を両立し、ストリートファッションにも自然に馴染むスタイルを確立していきました。
特に2000年代後半は、東京やロサンゼルスなどの都市カルチャーとの親和性が高く、スケーターだけでなく音楽、アート、ファッションといったシーンでも存在感を発揮。まさに“文化としてのスニーカー”を語る上で欠かせないブランドへと成長していきます。
一度の活動停止、そして再始動
順調に思えたGravisの歴史にも、一度の転機が訪れます。
2016年、スケートラインの終了が発表され、ファンの間には驚きと惜しむ声が広がりました。ブランドとしての方向性や市場環境の変化もあり、一時は姿を消した形になったのです。
しかし2023年、約7年ぶりにGravisは再び動き出します。
その再始動を告げたのは、ブランド初期の代表作である「FILTER（フィルター）」の復刻。往年のファンにとっては待望のニュースであり、再び“あの時代の空気”を感じさせるような展開に多くの注目が集まりました。
さらに、日本ではABC-MARTがライセンスを取得し、文化的背景を重視したリブランディングを進行。
東京・渋谷ではローンチイベントやスケートムービーのプレミア上映も行われ、再びカルチャーの中心に戻りつつあります。
Gravisスニーカーの特徴と魅力
グラビススニーカーの魅力を語るうえで欠かせないのが、その「快適性」と「デザイン性」の両立です。
まず履き心地の面では、スノーボードブランド由来ならではのクッション性と安定感。
アクティブな動きの後でも疲れにくく、柔らかく包み込むような感覚が特徴です。
そしてデザイン面では、シンプルで上品なルックス。
ストリートに合うのはもちろん、カジュアルにもきれいめにも使える万能さがあります。
他のスケートブランドが「攻めた」印象を打ち出す中で、Gravisはどこか落ち着いた“余白”を感じさせるデザインが多いのです。
人気モデルを一挙紹介
ここでは、グラビススニーカーの中でも特に人気・評価の高いモデルをいくつか紹介します。
● FILTER（フィルター）
ブランド初期の名作であり、再始動の象徴的モデル。
クラシックなフォルムに現代的な素材を組み合わせたバランスの良さが魅力です。復刻版ではワックスキャンバスなどの素材を採用し、スケートにもタウンユースにも対応。
● CUE（キュー）
スリッポンタイプの軽量モデルで、ミニマルなデザインが人気。
CIAOPANIC限定カラーなども登場し、ファッションブランドとの親和性の高さを示しています。
● TARMAC（ターマック）
ローカットの定番モデル。キャンバスやスエード素材を使い分け、シンプルながら存在感があります。
日常使いにも向いており、初めてGravisを試す人にもおすすめです。
● RIVAL（ライバル）
スエードを使ったクラシックモデルで、スケートとカジュアルを両立。
タフな作りながら履き心地が軽く、長時間の使用でも疲れにくいのが特徴です。
● KONA（コナ）
ブランドのライフスタイルラインを象徴するモデル。
柔らかい印象のフォルムで、街でもアウトドアでも違和感なく履ける万能スニーカーとして人気です。
どのモデルにも共通しているのは、「機能性をデザインで包み込む」美学。
Gravisは履き心地とファッション性を同時に求める人にぴったりのブランドです。
グラビスの復活が意味するもの
Gravisの再始動は、単なる“復刻ブーム”ではありません。
それは、90年代から2000年代にかけてのスケートカルチャーが持っていた「個性」や「自由さ」を、現代の感覚で再解釈する試みでもあります。
今の若い世代にとっては新鮮で、当時を知る世代にとっては懐かしい。
その両方の層に響くブランドだからこそ、再び注目を集めているのです。
また、SNSを通じて再評価の流れも加速。
Gravisのロゴやクラシックなシルエットがストリートファッションの中で“ヴィンテージライクな新鮮さ”を放ち、再びトレンドの中心に浮上しつつあります。
グラビススニーカーの魅力を再発見しよう
スノーボード文化から生まれ、スケートシーンで花開き、ファッションとして成熟していったGravis。
その歩みは、単なるスニーカーブランドの歴史ではなく、ストリートカルチャーそのものの変遷を映しています。
「FILTER」や「TARMAC」など、今あらためて見ても古びないデザイン。
履き心地とスタイルを両立したGravisスニーカーは、今の時代にこそもう一度注目すべき存在です。
これからの展開にも期待しながら、自分に合った一足を探してみてください。
きっと“カルチャーを履く感覚”が味わえるはずです。
