街を歩いていると、スニーカーの側面に並ぶ「3本線」をよく見かけますよね。あの3本線を見れば、誰もが「アディダス」とすぐに分かるほど、世界中で認知されているデザインです。
でも実際、この3本線にはどんな意味があるのでしょうか?いつ、どのように誕生したのでしょうか?
この記事では、アディダスの3本線の起源から、デザインに込められた意味、そしてファッションとしての広がりまでを詳しく解説していきます。
アディダスと3本線の出会い:始まりは機能性から
3本線の歴史は、アディダスの創業者 アドルフ・“アディ”・ダスラー(Adolf “Adi” Dassler) の発想から始まりました。
1949年、彼がドイツで「adidas」を立ち上げたとき、最初に考えたのは“アスリートがより良いパフォーマンスを発揮できる靴”を作ること。そのために、靴の構造を工夫しようとしたのです。
当時のスポーツシューズは革素材が主流で、長時間使うと中足部が伸びてフィット感が弱くなるという欠点がありました。そこでアディは、靴の側面に3本の補強バンドを縫い付けることで、靴の安定性を高めることに成功します。
この補強バンドこそが、のちにアディダスの象徴となる「スリーストライプス(Three Stripes)」の原点でした。
つまり最初の3本線は、単なる装飾ではなく“機能的な補強”だったのです。アディダスがスポーツブランドとして成長した理由も、この「デザインに意味を持たせる姿勢」にありました。
実は別ブランドのデザインだった?カルフからの譲渡エピソード
アディダスの3本線がすべて自社発案というわけではありません。実は1950年代初頭、アディダスは フィンランドのスポーツブランド「カルフ(Karhu)」 から3本線の権利を買い取ったとされています。
取引の対価は、当時の通貨で1600ユーロ相当と2本のウイスキーだったという逸話が残っています。
カルフもまたスポーツシューズのブランドで、彼らが使っていた3本線デザインをアディダスが譲り受けたことで、今日の「アディダス=3本線」のイメージが定着していったのです。
このエピソードは、アディダスの3本線が“偶然から生まれたブランドアイコン”であることを示しています。
3本線に込められた意味:ブランド哲学を象徴するデザイン
現在のアディダスが語る3本線の意味には、単なる見た目以上の深いメッセージがあります。
この3本線は「ブランドの理念」そのものを表しており、次のような意味を持つとされています。
- 挑戦と成長の象徴
斜めに描かれた3本線は山のような形をしており、「高みを目指す」「挑戦する」というメッセージが込められています。 - パフォーマンスと信頼性の証
スポーツブランドとして、常に機能性と品質を追求する姿勢を表すサイン。アスリートが安心して使える製品であることを示しています。 - 世界中で共有されるブランドアイデンティティ
どの国の人でも、この3本線を見ればアディダスを思い浮かべる。それほどまでに認知された「世界共通の視覚言語」といえるでしょう。
アディダスはこの3本線を世界中で商標登録し、類似デザインに対しても法的に保護を行っています。ブランドの象徴がここまで大切に守られているのは、それが“単なる模様”ではなく“企業の魂”だからです。
ロゴの進化と3本線の融合:時代ごとに形を変える象徴
アディダスは時代とともにロゴを進化させてきましたが、どのデザインにも共通して3本線の要素が存在します。
ブランドの象徴を変えずに、表現方法をアップデートしていくのがアディダスらしさです。
代表的なロゴには次の3種類があります。
- スリーストライプス(Three Stripes)
最も基本的な3本線の形。シューズやジャージなど幅広いアイテムに使用され、アディダスの原点とも言えるデザインです。 - トレフォイル(Trefoil)ロゴ
1972年に登場した三つ葉型のロゴ。三つ葉は月桂樹の冠をモチーフにしており、勝利や多様性、伝統を象徴しています。現在は「adidas Originals」ラインで使用されています。 - パフォーマンスロゴ(Mountain Logo)
3本線を山の形に配置したロゴ。スポーツシーンでの挑戦や前進をイメージし、アスリート向け製品に多く使われています。
このように、ロゴの形が変わっても“3本線”という軸は一貫しており、ブランドの根幹をなす視覚的シンボルとして受け継がれています。
ストリートカルチャーとの融合:3本線が広げたファッションの世界
アディダスの3本線はスポーツを超え、ファッションやカルチャーの象徴にもなりました。
特に1980年代のアメリカでは、ヒップホップグループ「RUN-D.M.C.」がステージで履いた アディダス・スーパースター が大ブームを巻き起こします。
彼らが歌った楽曲「My Adidas」は、ストリートファッションにおけるアディダスの地位を不動のものにしました。
その後、アディダスは音楽やアート、ストリート文化と積極的に関わりながら、多様なコラボレーションを展開していきます。
特に日本のデザイナー 山本耀司(Yohji Yamamoto) とのコラボライン Y-3 は、モードとスポーツを融合させたスタイルとして高く評価されています。
ここでも3本線は、洗練されたデザイン要素として存在感を放っています。
また、スニーカーヘッズと呼ばれるスニーカー愛好家たちの間でも、3本線は“ストリートの象徴”として特別な意味を持ち続けています。
クラシックな スタンスミス 、キャンパス などの定番モデルは、何十年経っても人気が衰えることがありません。
現代のアディダスと3本線:未来に続くデザイン哲学
現在、アディダスの3本線は靴だけでなく、アパレル・アクセサリー・スポーツウェアなど幅広いジャンルで活用されています。
そして、ただのブランドロゴではなく、「持続可能性」「テクノロジー」「スタイル」を融合したシンボルとして再定義されています。
例えば、リサイクル素材を使用した adidas by Stella McCartney や、3Dプリントソールを採用した 4DFWD など、最先端の製品にも3本線は欠かせません。
どんなに技術やデザインが進化しても、アディダスが守り続けるのは“人々に信頼される象徴”というブランドの核なのです。
3本線は、創業当時の補強バンドという実用的な始まりから、今では「世界中が認識するデザイン言語」へと昇華しました。
その意味では、アディダスのスニーカーに刻まれた3本線は、単なるデザインではなく「ブランドの歴史そのもの」といえるでしょう。
スニーカーの3本線はどこのブランド?その答えはアディダスの歴史にあり
改めて言うまでもなく、スニーカーの3本線は アディダスの象徴 です。
しかし、その3本線が生まれた背景には「補強」「挑戦」「信頼」という確かなストーリーがあります。
そしてこのシンプルな線が、70年以上にわたって世界中のアスリートやファッショニスタを魅了し続けてきました。
これからも3本線は、時代の変化に合わせて姿を変えながらも、“アディダスらしさ”を象徴する存在であり続けるでしょう。
スニーカーを選ぶとき、ぜひその3本線に込められた物語を思い出してみてください。


