WTAPS(ダブルタップス)というブランドを知っている人なら、そのスニーカーが放つ無骨でありながら上品な存在感に一度は惹かれたことがあるはず。
ストリートの中でも一線を画すその世界観は、ただのファッションアイテムを超えて「カルチャー」を体現している。今回は、そんなWTAPSのスニーカー最新作と、これまでの代表的なコラボモデルをまとめて紹介していく。
WTAPSとは?──ミリタリーを軸にした日本発ストリートブランド
WTAPS(ダブルタップス)は、1996年にデザイナー西山徹(Tetsu Nishiyama)によって設立された日本のブランドだ。
もともとミリタリーウェアに深い造詣を持ち、機能性や耐久性を重視したデザインが特徴。ブランド名の「WTAPS(ダブルタップス)」は、軍事用語に由来しており、“狙った目標を確実に仕留める”という意味が込められている。
この哲学はスニーカーにも反映されている。過剰な装飾を削ぎ落とし、必要な機能を美しく構築する。そのバランスが、WTAPSのスニーカーを唯一無二の存在にしている。
WTAPS × New Balance ABZORB 2010──機能性と静謐なデザインの融合
2025年のWTAPSスニーカー最新作として最も注目されているのが「WTAPS × New Balance ABZORB 2010」だ。
New Balanceの人気モデル「2010」をベースに、WTAPSの美学が融合したこの一足は、アッパーにダイヤモンドニットメッシュとヌバックを組み合わせた重厚な質感が特徴的。
オリーブドラブを基調に、差し色でネオンイエローを配した配色は、WTAPSらしいミリタリー×モダンの象徴ともいえる。無骨さの中に都会的な洗練が漂い、どんなコーディネートにも溶け込む。
ABZORBクッションによる履き心地は軽快で、ストリートはもちろん、デイリーユースにも最適。限定店舗での抽選販売だったため、発売直後からスニーカーヘッズの間で話題沸騰となった。
OTW by Vans × OAMC × WTAPS──異文化が交差するトリプルコラボ
WTAPSの最新スニーカーの中で、もうひとつ見逃せないのが「OTW by Vans × OAMC × WTAPS」のトリプルコラボレーションだ。
Vansの最上級ライン「OTW by Vans」を舞台に、OAMC(オーエーエムシー)とWTAPSが組んだこのプロジェクトは、スケートカルチャーとミリタリーの融合をテーマに掲げている。
Sk8-Hi GL Lug
Vansの代表モデル「Sk8-Hi」をベースにした「Sk8-Hi GL Lug」は、厚手のキャンバス地とラグソールを採用。グリップ力を高めながらも、WTAPSらしい重厚感を演出する。カラー展開はブラック、ダックカモ、デザートカモの3種類。
特にカモ柄モデルはWTAPSのアイデンティティを象徴する仕上がりで、ストリートでもひときわ存在感を放つ。
Seylynn Lug
もうひとつのモデル「Seylynn Lug」はローカットタイプで、スエード素材を使用。こちらもラグソールを搭載しており、実用性とデザイン性を両立している。
「Milano」と「Tokyo」と刻まれたアグレット(靴紐の先端)など、細部にまでこだわりが感じられる。無骨でありながら、どこか上品さを漂わせる仕上がりだ。
WTAPS × New Balance 990v6 Made in USA──長年続く信頼のコラボレーション
WTAPSとNew Balanceの関係は短期的なものではなく、長い時間をかけて築かれてきた。
たとえば2023年に登場した「WTAPS × New Balance 990v6 Made in USA」は、990シリーズの最新形をベースに、グレーを基調とした落ち着いたトーンで仕上げられた。WTAPSらしい素材使いとカラーリングが見事に融合し、即完売となったのも頷ける。
このようにWTAPSは、New Balanceのクラシックなシルエットに機能美を加えることで、ブランドの世界観を自然に拡張してきた。
単なる「コラボスニーカー」ではなく、両ブランドの哲学が融合した結果としての作品。それがWTAPS × New Balance 990v6 Made in USAシリーズの真価だ。
WTAPSのスニーカーに共通するデザイン哲学
WTAPSのスニーカーを語る上で欠かせないのが、「実用性の美学」という考え方。
無駄を削ぎ落としながらも、細部には確固たる意志が宿る。たとえばステッチの太さ、素材の質感、ソールの高さと形状――すべてが“機能的であること”を基準に設計されている。
また、WTAPSはコラボ相手のブランド文化を深く理解し、その上で自らの哲学を落とし込む。
Vansとのプロジェクトではスケートボードの精神を尊重しつつ、ミリタリーの耐久性を融合。
New Balanceとの協業ではランニングシューズの性能を損なわず、WTAPS特有の静かな強さを表現している。
結果として、どのコラボモデルも“WTAPSらしさ”を一目で感じ取れる仕上がりになるのだ。
コレクターズアイテムとしての価値と人気
WTAPSのスニーカーは、その希少性の高さからコレクターズアイテムとしての価値も高い。
限定店舗での抽選販売や短期間でのリリースが多く、発売直後には二次市場でプレミア価格が付くことも珍しくない。
それでも人気が衰えないのは、単なる“限定モノ”ではなく、ブランドの一貫した信念と完成度が支持されているからだ。
ストリートファッションの中でもWTAPSは特別な立ち位置を築いており、年齢や国境を超えて多くのファンに愛されている。
その背景には、西山徹の「洋服は日常の道具である」という信念がある。
スニーカーもまた“使うための道具”として作られており、その思想が多くの人に共感を呼んでいる。
まとめ:WTAPSのスニーカーは時代を超えるプロダクト
WTAPSのスニーカーは、ただ流行を追うだけのファッションアイテムではない。
それは「機能美」「耐久性」「文化性」を兼ね備えたプロダクトであり、履く人の生き方を映し出す道具でもある。
2025年の「WTAPS × New Balance ABZORB 2010」や「OTW by Vans × OAMC × WTAPS」は、その哲学をさらに進化させた象徴的なモデルだ。
どちらもミリタリーテイストとストリートカルチャーが絶妙に融合しており、今後のスニーカートレンドにも大きな影響を与えるだろう。
WTAPS スニーカーは、履く人の価値観を静かに表現する一足。
流行を超えて、長く付き合える“本物のスニーカー”を探しているなら、ぜひその世界観を体感してみてほしい。


