スエードスニーカーは、上品な質感と柔らかな風合いが魅力ですが、その分お手入れには少しコツがいります。間違った方法でケアしてしまうと、せっかくの起毛が寝てしまったり、シミや色ムラが残ってしまうことも。今回は、スエードスニーカーを長持ちさせるための「正しい手入れ方法」と「防水ケアのコツ」を、初心者にもわかりやすく解説します。
スエードスニーカーとは?素材の特徴を理解しよう
まずはスエードという素材の特性を知ることが大切です。スエードとは、牛や羊などの革の裏面を細かく起毛させた素材のこと。しっとりした質感とマットな見た目が特徴で、上品でありながらカジュアルにも使える万能素材です。
ただし、スエードは水分や汚れに弱いという弱点があります。毛足の間にホコリや泥が入り込みやすく、濡れると毛が寝てしまい、色ムラやシミが残りやすいのです。
しかし、定期的に正しいケアを行えば、風合いを保ちながら長く愛用できます。ポイントは「乾いた状態でのブラッシング」と「防水スプレーによる保護」です。
日常ケアの基本はブラッシング
スエードスニーカーのお手入れの基本は、なんといってもブラッシングです。ブラシを使うことで、表面のホコリや汚れを落とし、毛並みを整えることができます。
1. ブラシの種類を選ぶ
スエード用のブラシには主に3種類あります。
それぞれ役割が異なるため、用途に応じて使い分けると理想的です。普段は馬毛ブラシ、汚れが目立つときはナイロンブラシやクレープブラシを使うのがおすすめです。
2. ブラッシングのタイミング
履いた後の「乾いた状態」で行うのが鉄則です。濡れたままブラシをかけると、汚れが奥に押し込まれて逆効果になるため注意しましょう。外出後や収納前に、軽くブラシをかけるだけでもスニーカーの寿命がぐっと延びます。
3. ブラッシングのコツ
ブラシをかける方向は一定にせず、毛を起こすようにいろんな方向から軽く動かします。力を入れすぎず、スナップを効かせて優しく。全体がふんわりとした質感に戻ればOKです。
汚れやシミができたときの対処法
日常のブラッシングだけでは落ちない汚れやシミがついてしまったときは、専用のクリーナーやスエードイレーザーを使ってケアします。
軽い汚れは「スエードイレーザー」で
スエード専用の消しゴムを使って、汚れ部分を優しくこすります。力を入れすぎると繊維を傷めるので、軽いタッチで少しずつ。消しゴムで汚れを浮かせた後は、ブラシで毛並みを整えましょう。
頑固な汚れには「泡クリーナー」
しみついた汚れには、スエード専用の泡クリーナーを使います。布やスポンジに泡を取り、汚れ部分を軽くたたくように拭き取ります。決してスニーカー全体を濡らさないことがポイントです。汚れが浮いたら、乾いたタオルで水分を吸い取り、自然乾燥させます。
泥汚れがついたときは
泥がついたままの状態で拭き取ろうとすると、繊維に汚れが染み込んでしまいます。まずは完全に乾燥させてから、ブラッシングで泥を落とします。それでも落ちない場合は、泡クリーナーを使いましょう。
スエードスニーカーを長持ちさせる乾燥と保管のコツ
スエードは水分に弱いため、乾燥の仕方を間違えると型崩れや色落ちの原因になります。
1. 濡れたときは自然乾燥
雨に濡れてしまったり、洗浄後に湿った場合は、新聞紙やタオルを中に詰めて形を整え、風通しの良い日陰で自然乾燥させます。ドライヤーやヒーターで急激に乾かすと、革が縮んだり硬化するので避けましょう。
2. 乾燥後は毛並みを復元
乾燥が終わったら、再度ブラッシングして毛並みを整えます。濡れた状態で寝てしまった毛を起こすことで、スエード特有のふんわりした質感が戻ります。
3. 長期保管時は湿気対策を
保管時は、乾燥剤を入れたり、シューキーパーや新聞紙を詰めて形を保ちます。風通しの悪い場所や湿気の多いクローゼットはカビの原因になるため避け、通気性のよい布袋などに入れて保管しましょう。
防水スプレーでスエードを守る
スエードスニーカーを長持ちさせるうえで、防水スプレーは欠かせません。水や汚れの侵入を防ぎ、日常のダメージを軽減してくれます。
1. スプレーは「スエード専用」を選ぶ
一般的な革用スプレーではなく、「スエード・ヌバック専用」と明記されたものを選びましょう。起毛素材の風合いを損なわず、通気性を保ちながら撥水効果を与えるタイプが理想です。
2. 使用手順
スニーカー全体が乾いていることを確認し、20〜30cmほど離して均一にスプレーします。表面が軽く湿る程度で十分です。ムラを防ぐため、一度にたくさんかけず、数回に分けて薄く塗布するのがコツです。
スプレー後は、自然乾燥でしっかり乾かしてからブラッシングを行い、毛並みを整えます。これでスエードが水を弾きやすくなり、汚れも付きにくくなります。
3. タイミングと頻度
新品のスエードスニーカーは、購入後すぐに防水スプレーをかけておくのがおすすめです。その後も、数回履いたら再度スプレーをかけ直すことで、効果を持続できます。特に雨の日の前日などにケアしておくと安心です。
やってはいけないNGケア
スエードスニーカーを傷める原因になる間違ったお手入れも多くあります。以下の点には注意しましょう。
- 丸洗いNG:水に浸すと繊維が固まり、質感が失われます。
- 濡れたまま放置NG:シミやカビの原因になります。
- 熱乾燥NG:革が縮み、色ムラが発生することがあります。
- 普通の革用クリームNG:スエードの通気性を妨げ、ベタつきや色変化を引き起こします。
スエードスニーカーの魅力を長く楽しむために
スエードスニーカーは少しデリケートな素材ですが、正しいケアを続ければ何年も愛用できるアイテムです。ブラッシングで日常の汚れを防ぎ、定期的な防水スプレーでトラブルを予防する。それだけで、色あせやシミを防ぎ、常にきれいな状態をキープできます。
お気に入りのスエードスニーカーを履くたびに「手入れしてよかった」と感じられるように、今日からぜひ習慣にしてみてください。定期的なケアは見た目だけでなく、靴への愛着も深めてくれます。
スエードスニーカー 手入れのまとめ
スエードスニーカーの手入れは、「ブラッシング」「汚れ落とし」「乾燥」「防水ケア」の4ステップが基本です。特別な技術は不要で、日々の少しの習慣が長持ちの秘訣になります。水に弱いという弱点も、正しい防水ケアをしておけば怖くありません。
お気に入りの一足を大切に育てながら、自分だけの風合いを楽しみましょう。


