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アシックスの廣田氏とは?経歴・役職・経営方針から見るリーダー像を徹底解説

アシックスという名前を聞いて、真っ先に思い浮かぶのは「日本が誇るスポーツブランド」。そのブランドを近年、再び世界の舞台で輝かせた人物が「廣田康人(ひろた・やすひと)」氏です。
この記事では、廣田氏の経歴、経営手腕、そして彼が描くアシックスの未来像を、できるだけ分かりやすく紹介します。


廣田康人氏のプロフィールと歩み

廣田氏は1956年生まれ、愛知県出身。早稲田大学政治経済学部を卒業後、1980年に三菱商事へ入社しました。
商社マンとして約38年間にわたり、広報・総務・法務といったコーポレート部門を中心にキャリアを築き、最終的には常務執行役員、関西支社長などの要職を歴任します。

この間、社内外の調整力やガバナンス能力を磨き上げ、社内でも「組織の要」として評価されていました。特に広報畑出身らしく、言葉の使い方やコミュニケーションに長けており、後のアシックスでの改革にもそのスキルが生きることになります。


アシックスへの転身と異例のトップ就任

2018年、廣田氏は三菱商事を離れ、アシックスに顧問として入社。同年3月には代表取締役社長COOに就任しました。
創業者ではなく、しかも営業や商品開発の経験がない人物が社長に抜擢されたのは、アシックスにとって異例のことでした。

当時のアシックスは、厚底シューズの台頭でランニング市場の競争が激化し、業績が低迷。国内外のシェアを取り戻すためには、これまでとは異なる発想と統率力が求められていました。
そこで、外部視点と経営管理のプロフェッショナルとしての経験を持つ廣田氏が白羽の矢を立てられたのです。


経営改革のスタート:立て直しから成長路線へ

社長就任後の廣田氏がまず取り組んだのは、「組織改革」と「収益体質の改善」でした。
売上高よりも利益率を重視し、事業の選択と集中を進めます。中でも大きな転換点となったのが、カテゴリー制の導入。
ランニングやテニスなど、スポーツごとに部門を再編成し、現場の意思決定をスピードアップさせました。

さらに、アジア・欧州市場への展開強化や、デジタル・EC事業の本格拡大も進行。これまで店舗中心だった販売体制を見直し、オンラインの売上比率を高めていきました。

経営改革の過程で一時的な減損処理も行いましたが、これは「将来の成長のための痛み」として受け止められています。
結果として、廣田氏就任から数年で業績は回復し、2023年には売上・利益ともに過去最高を記録。株価もV字回復を果たしました。


経営方針:「技術」と「ブランド」の両立を掲げて

廣田氏の経営スタンスの特徴は、技術力への信頼とブランド価値の融合にあります。
「アシックスはテクノロジーの会社である」と語る彼は、科学的な分析に基づいたシューズ設計を重視。特にランニングシューズでは、クッション性や安定性を支える中底素材「FF BLAST」や「GELテクノロジー」などを象徴的な武器と位置づけています。

同時に、ファッション性にも力を入れ、Onitsuka Tigerブランドを再成長させました。
スポーツブランドとしての信頼を土台に、ストリートやファッションシーンでも存在感を示す――それが彼の描く「二軸経営」です。

また、アシックスのミッションである「健やかな心身をつくる運動文化の発展」に立ち返り、単なる製品販売ではなく“ライフスタイルブランド”としての価値を高める方針も打ち出しています。


コロナ禍で見せた柔軟な舵取り

2020年以降のコロナ禍は、多くの企業にとって試練でした。アシックスも例外ではなく、店舗閉鎖やイベント中止などで大きな影響を受けました。
しかし廣田氏は、この危機をデジタル転換の好機と捉え、EC事業への投資を加速。在庫管理や物流システムを見直し、効率化を進めました。

同時に、健康志向の高まりを背景に「在宅ランニング」需要を的確に捉え、初心者向けのランニングシューズがヒット。ブランドとしての信頼を再確認させる結果となりました。
経営判断の早さと現実的なリスク管理が、アシックスの安定経営を支えた大きな要因です。


自ら走るリーダーとしての姿勢

廣田氏は「走る社長」としても知られています。
50歳を過ぎてからランニングを始め、60代でフルマラソンを完走。社員とのランイベントにも積極的に参加し、自身の体験を通じて「スポーツの楽しさ」「継続の価値」を語ります。

この“走る経営者”という姿勢は、アシックスのブランド理念と強くリンクしています。
スポーツを「売る」側ではなく「する」側としての視点を持ち続けることで、社員やユーザーとの心理的距離を縮め、ブランド文化の一体感を育てているのです。

さらに、現場理解を深めるために、ファッションラインの店舗スタッフとして勤務体験を行ったことも話題になりました。
経営層が現場に降りることで、販売員や顧客とのリアルな接点を把握し、商品企画や顧客満足度の向上につなげる――この実践的な姿勢も、廣田氏らしさを象徴しています。


成果とこれからの挑戦

廣田氏のリーダーシップの下、アシックスは確実に進化を遂げています。
2023年には営業利益率が20%を超え、時価総額も1兆円を突破。
「高付加価値の商品を定価で売る」ことを重視した方針が奏功し、利益体質が大きく改善されました。

今後の焦点は、さらなるグローバル展開とブランド価値の拡張です。
特に欧州・アジア市場でのブランド力強化、サステナブル素材を用いた開発、そしてデジタル技術を活かしたトレーニング支援などが次のテーマとされています。

また、彼が強調するのは「企業としての誠実さ」。
華やかなスポーツマーケティングの裏で、社員やパートナー企業との信頼を築くことが、持続的成長の基盤になるという信念を持っています。


アシックスの廣田氏が示すリーダー像とは

廣田康人氏の歩みを振り返ると、一貫して「現実を見据えた改革者」という姿勢が見えてきます。
商社で鍛えたリスク感覚、コーポレート部門で培った組織運営力、そしてスポーツを愛する一人のランナーとしての情熱。
この3つが、彼の経営哲学の核にあります。

創業家ではない外部出身者がトップに立ち、ここまで企業を立て直した事例は、日本企業の中でも稀です。
「ブランドの伝統を守りながら、変化を恐れない」――そのバランス感覚こそが、廣田氏が多くの社員から信頼される理由でしょう。

アシックスの未来は、彼のリーダーシップのもとでさらに拡がっていくはずです。
技術とファッション、国内と海外、スポーツとライフスタイル――そのすべてをつなぐ架け橋として、廣田氏の挑戦はこれからも続いていきます。

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