ランニングシューズの世界では、毎年のように新しいテクノロジーが登場します。中でも2025年、アシックスが満を持して発表した新作「アシックス メタスピード レイ(ASICS METASPEED RAY)」は、シリーズの中でも特に軽さとスピード性能を突き詰めた注目モデルです。この記事では、その実力を徹底的に掘り下げ、走行感や特徴、他モデルとの違いまで詳しく紹介します。
アシックス メタスピード レイとは?登場背景と基本情報
アシックス メタスピード レイは、アシックスの最上位レーシングシリーズ「METASPEED」から誕生した新ライン。型番は1013A176、価格は税込33,000円。2025年春に発売されたばかりの最新モデルです。
名前の「RAY」は“光線”を意味し、スピード感と軽やかさを象徴しています。従来のMETASPEED SKY TOKYOやMETASPEED EDGE TOKYOとは異なり、「とにかく軽く、素早く、弾むように走る」ことをコンセプトに開発されました。
このシューズの特徴を一言で表すなら、“超軽量厚底”。27.0cmでわずか約129gという驚異的な軽さを実現しながら、厚底特有のクッション性と反発力も両立しています。
新素材「FF LEAP™」が生み出す驚きの反発力
アシックス メタスピード レイの中核を担うのが、新開発のミッドソール素材「FF LEAP™」です。これは、従来モデルで使用されていた「FF TURBO PLUS」を進化させた次世代フォームで、反発力・クッション性・軽量性のすべてを高次元で兼ね備えています。
・反発性:約13.7%向上
・クッション性:約30%向上
・軽量化:約15%達成
このフォームは、着地時の衝撃を効率よくエネルギーに変換し、地面を蹴る瞬間に大きな反発力を発揮します。まるでトランポリンのように「跳ねる」ような感覚を生み、ストライドを自然に伸ばしてくれるのが特徴です。
厚底なのに軽い!ミッドソールとプレート設計の妙
厚底モデルといえば重いというイメージを持つ人も多いですが、アシックス メタスピード レイはその常識を覆します。ヒールの厚さは約39.5mm、フォア部分は約34.5mmで、ドロップは約5mm。高いクッション性を確保しながら、重心の移動をスムーズにする設計です。
また、カーボンプレートを前足〜中足部に限定して配置している点も特徴。これによりプレート全体を短くし、シューズ全体の軽量化を実現しています。プレートが推進力を生み出す一方で、接地感をダイレクトに伝えるため、地面との一体感を強く感じる仕上がりです。
一部のランナーからは「ヒールがやや柔らかく感じる」という声もありますが、それも軽量性と柔軟性を優先した結果。中足〜前足で走るフォアフット型ランナーにとっては理想的な反応性を発揮します。
アッパーの軽さと通気性 ― MATRYX®採用
アッパー素材には、高強度かつ軽量な「MATRYX®」を採用。これは特殊な繊維構造によって足全体を包み込み、走行中のブレを最小限に抑える素材です。
一般的なメッシュ素材に比べて通気性と耐久性が高く、長時間の走行でも快適さが続きます。実際に履いたランナーの声でも「熱がこもらず軽快」「ホールド感が自然」といった好評が多く見られます。
さらにアウトソールには「ASICSGRIP」が採用され、濡れた路面やカーブでもしっかりとしたグリップ力を発揮。スピードに乗った状態でも安定した接地が可能です。
実際の走行レビュー ― 軽さと跳ねる推進力が際立つ
レビューを見ても、アシックス メタスピード レイの最大の魅力は「軽さ」と「反発感」に集約されます。
・「足が勝手に前へ出るような推進力がある」
・「ジョグペースでもスピードが出てしまうほど軽い」
・「地面を蹴った瞬間の反発が強く、テンポ走が楽しくなる」
といった声が多く、特にスピード練習や10km前後のレースで抜群のパフォーマンスを発揮します。
一方で、「ヒール着地では不安定に感じる」「耐久性がやや低い」といった意見もあります。これはプレート構造とアウトソールのラバー量を最小限に抑えているためで、フルマラソンのような長距離使用よりも、スピード特化型の設計であることを理解して使うのがベストです。
メタスピードシリーズとの違い ― 「RAY」はどんな立ち位置?
アシックスのMETASPEEDシリーズは、「SKY」「EDGE」「RAY」という3系統に分かれています。
- METASPEED SKY TOKYO:ストライド型ランナー向け。フルカーボンプレート+厚底で、踏み込むたびにストライドを伸ばす設計。
- METASPEED EDGE TOKYO:ピッチ型ランナー向け。接地ごとにテンポよく回転する走法に対応。
- METASPEED RAY:フォアフット走法に特化した“軽量・高反発モデル”。
RAYは「速く、軽く、反応の良い」シューズを求めるランナーに向けた新たな選択肢です。シリーズ内では最も尖った特性を持ち、「純粋なスピード」を重視する層から高い支持を得ています。
どんなランナーにおすすめ?
アシックス メタスピード レイは、次のようなランナーに特におすすめです。
・つま先〜中足で着地するフォアフットランナー
・スピード練習や短〜中距離レース(5〜21km)中心のランナー
・軽量シューズで足さばきを良くしたい人
・高反発で“跳ねるような感覚”を求める人
逆に、かかと着地のヒールストライカーや、安定性を最優先するランナーには少し扱いにくく感じるかもしれません。練習用というよりは、レースやタイムトライアルなどの“ここぞ”という場面で履くシューズです。
使用上の注意とメンテナンス
軽量化のためにラバー面積が少なく、摩耗しやすい構造になっています。舗装されたロードレースには最適ですが、荒れた路面や雨天での長距離走ではグリップの劣化が早まることがあります。
使用後はソールを乾かし、埃や砂を取り除いておくことで寿命を延ばせます。走行距離に応じて早めに交換を検討するのも安全面で重要です。
開発背景 ― 科学的データに基づくアシックスの挑戦
アシックスのMETASPEEDシリーズは、トップアスリートとの共同研究から生まれた“科学的ランニングシューズ”です。世界中のランナーの走法データを解析し、ストライド型とピッチ型という2タイプに分けた開発手法が評価されています。
アシックス メタスピード レイは、その研究の延長線上で生まれた「軽さ×反発×走法特化」の最新形。トップランナーの実戦テストを経て、実際のタイム短縮にも寄与していると報告されています。
アシックス メタスピード レイの実力をまとめる
アシックス メタスピード レイは、ただの新作ではありません。
軽量性と反発性を極限まで高め、「速さ」というランナーの本能を刺激するシューズです。実際に履くと、まるで自分の脚力が一段階上がったような錯覚を覚えるでしょう。
その一方で、誰にでも合う万能型ではなく、フォアフットでスピードを求めるランナーに特化した設計。
だからこそ、「ハマる人には最高の武器」となる一足です。
厚底でありながら軽く、反発が強く、走る喜びを純粋に味わえる——それがアシックス メタスピード レイの真の魅力です。
あなたの次のレースで、新しい“光速”の走りを体感してみてください。


