短距離スプリントの世界で注目を集めているのが、アシックスの「メタスピードSP2」。
100mや200mといったスプリント種目を走る選手たちが次々と履き始め、前作からの進化にも注目が集まっています。この記事では、メタスピードSP2の特徴や改良点、前作との違い、そしてどんなランナーにおすすめなのかを分かりやすく紹介します。
メタスピードSP2とは?基本スペックとコンセプト
アシックスの「METASPEED」シリーズは、長距離向けの「Sky」や「Edge」で話題になりましたが、そのスプリント版として登場したのが「メタスピードSP」。
その最新モデルが「メタスピードSP2」です。
このモデルは、100m〜400mまでの短距離に特化した陸上スパイクで、爆発的な加速力とストライドの伸びを両立するために設計されています。
特徴的なのは、ミッドソール全体に搭載されたカーボンプレートと、アシックス独自の高反発フォーム「FF TURBO」。
この組み合わせにより、着地した瞬間のエネルギーを前方への推進力に効率よく変換します。
さらにアッパーには「Motion Wrap 2.0」という新しい素材を採用し、軽さとフィット感を両立。足を包み込むように安定させながら、強い蹴り出しを支えます。
価格は約29,500円(税込)。サイズ27cm相当で重量は約183gと非常に軽量です。スプリンターが求める“瞬発力と軽さ”を極限まで突き詰めた一足といえます。
前作メタスピードSPとの違いと進化点
フォームの厚みが増し、反発性が向上
SP2ではミッドソールの「FF TURBO」フォームが厚くなり、クッション性と反発力がともに強化されています。
短距離種目では「いかに短時間で地面を押し返すか」が勝負ですが、この改良によって蹴り出し時のエネルギーロスが減少。
地面を蹴った瞬間の“前に進む感覚”が、前作よりも明確に感じられるようになりました。
カーボンプレートも引き続きフルレングスで搭載されており、足全体での反発をサポート。
硬めのプレート構造により、地面からの力をそのまま推進力へと変換します。
新アッパー「Motion Wrap 2.0」でホールド性アップ
SP2の大きな進化はアッパーにもあります。
「Motion Wrap 2.0」は、通気性と軽量性を維持しながらも、前作より足を包み込む力が強化されています。
走行中に足がブレにくくなり、特にスタートやコーナーでの安定感が向上しました。
また、かかとのホールド感も改善され、接地時のズレを防止。
これにより、全力で加速する場面でも足とシューズが一体化したような感覚が得られます。
アウトソールとスパイク構造の最適化
SP2では、スパイクピン配置やプレート形状も見直されました。
5mmの取り替え式ピンが標準で付属しており、使用環境や走法に合わせた調整も可能。
アウトソールの形状も滑らかなトランジションを実現し、接地から蹴り出しまでの動作をスムーズにサポートします。
結果として、スタートの爆発力とトップスピードへの伸び、両方を高次元で実現しています。
どんなランナーに合う?ターゲット層と使用シーン
メタスピードSP2がターゲットとするのは、100〜400mのスプリント競技を本格的に行うランナー。
特に「ストライド型」の走りを得意とする選手に適しています。
このシューズは、ピッチを上げるよりも「一歩を伸ばすことで加速するタイプ」に向いています。
フォームの反発を利用して大きく前に跳ね出すような走法と相性が良く、脚力と推進力を活かしたい選手にとって大きな武器になります。
また、アッパーのホールド性が高いため、スタートダッシュ時のブレを抑えたい人にもおすすめです。
反対に、ピッチ走法でテンポ良く刻むタイプのランナーや、接地がフラットな選手にとっては、やや扱いにくく感じるかもしれません。
メタスピードSP2のメリット
- 強力な反発力と推進力
厚みを増したFF TURBOフォームとカーボンプレートが生み出す反発は圧倒的。短距離レースでの加速をサポートします。 - 安定したフィット感
新しいMotion Wrap 2.0アッパーによって、足がしっかり固定される感覚が向上。高速走行時でもブレにくい安定性を実現。 - 軽量設計で脚への負担を軽減
約183gという軽さで、疲労を最小限に抑えつつ素早い脚運びを可能にします。 - 100〜400mに特化した設計
競技用途が明確で、特に短距離で記録更新を狙うランナーには最適。スプリント専用のプレート構造が、爆発的な力を引き出します。
注意点とデメリットも知っておこう
どんな名作シューズにも、向き不向きがあります。
メタスピードSP2はスプリントに特化した設計のため、以下の点には注意が必要です。
- 土トラックでは使用不可
このシューズはオールウェザーの陸上競技場専用。土のグラウンドでは使用できません。 - フィット感に好みが分かれる
前作同様にややタイトな造りで、足幅が広いランナーには窮屈に感じる場合があります。サイズ選びは慎重に行いましょう。 - ピッチ型ランナーには不向きな場合も
高反発による“跳ねる走り”を活かせる人には最高ですが、地面を細かく刻む走法の選手にとっては扱いにくいと感じる可能性があります。
開発背景とアシックスの狙い
アシックスはメタスピードシリーズ全体を通して、「ランナーの走り方に合わせて最速を引き出す」ことを目標にしています。
長距離モデルの開発で培われたデータをもとに、スプリント専用のSPシリーズを誕生させました。
SP2では、短距離競技のトップアスリートや大学生スプリンターの意見を取り入れ、より高い推進力と安定性を追求。
特に「ストライドを伸ばしてスピードを維持する走り方」を科学的に分析し、フォームの反発と足の動きを最適化する形状に仕上げています。
競技レベルが上がるほど、わずかな接地時間と反発効率の差が記録を左右する世界。
その中で、SP2は“速く走るための道具”ではなく“速く走るための武器”として進化したといえるでしょう。
前作ユーザーの評価と履き心地の変化
前作のメタスピードSPは、その軽さと鋭い蹴り出し性能で高く評価されました。
ただし、つま先部が細めで、足幅が広い人には合いにくいという声も多かったのが事実です。
SP2ではアッパーのホールド性を維持しつつも、若干の柔軟性を追加。
全体のフィット感が改善され、足に吸い付くような履き心地が得られるようになりました。
また、フォームの厚みが増したことで、接地時の衝撃吸収もわずかに向上。
スプリントスパイクとしては珍しく、“柔らかさ”と“剛性”のバランスが取れた仕上がりになっています。
まとめ:アシックスメタスピードSP2は短距離スプリントの新定番
アシックスメタスピードSP2は、短距離競技に挑むすべてのスプリンターにとって、タイム更新を狙えるポテンシャルを秘めた一足です。
前作からの改良点は明確で、フォームの厚みや素材の見直しによって反発力と安定感が大幅に向上しました。
特にストライド型で走る選手にとっては、地面を押す力を最大限に推進力へ変えることができる設計。
一方で、ピッチ型や足幅の広いランナーにはややクセを感じる場合もあるため、自分の走り方と脚質を見極めることが大切です。
限られたトラック環境でこそ真価を発揮する、まさに「競技者のためのシューズ」。
自己ベスト更新を狙う短距離ランナーにとって、メタスピードSP2は新しい選択肢となるでしょう。
アシックスメタスピードSP2の進化点を振り返って
最後にもう一度まとめると、アシックスメタスピードSP2は—
- FF TURBOフォームの厚みアップで反発性が強化
- Motion Wrap 2.0でホールド感と安定性が向上
- 軽量かつ爆発的な推進力を発揮
- ストライド型ランナーに最適なスプリントスパイク
アシックスが誇る技術の結晶として、短距離競技の新時代を切り開く存在になっています。
あなたの走りをもう一段階引き上げたいなら、メタスピードSP2を試してみる価値は十分にあります。


