ランニング好きの間で根強い人気を誇る「アシックス ターサー」シリーズ。その最新モデル「アシックス ターサーRP3」は、これまでの“薄底スピードシューズ”というイメージを保ちながらも、現代のランニングシーンに合わせて着実に進化した一足だ。この記事では、前作との違いや実際に履いたランナーの評価を交えながら、その魅力をじっくり掘り下げていく。
ターサーRP3とは?──ターサーの伝統を継ぐ最新型
ターサーシリーズは、アシックスが誇る伝統的なスピードモデル。
軽量で地面を「自分の足で蹴る感覚」を重視する設計は、長年にわたり多くのランナーに愛されてきた。
その最新モデルが「アシックス ターサーRP3」だ。価格はおおよそ16,500円(税込)。レース用としてだけでなく、スピード練習やテンポ走など、トレーニング用途にも適した「オールラウンド・スピードシューズ」として位置づけられている。
アッパーは通気性とフィット感を両立する合成繊維、アウトソールはグリップ性と耐久性に優れたゴム素材。サイズ展開はメンズで24.5〜30.0cmと幅広く、より多くのランナーが履ける仕様になっている。
ミッドソールの進化──FF BLASTによる軽量反発クッション
アシックス ターサーRP3の大きな進化点のひとつが、ミッドソール素材の刷新だ。
アシックス独自の「FF BLAST」を採用し、軽さと反発性を高いレベルで両立。これにより、蹴り出し時の推進力が前作よりも明確に感じられるようになった。
さらに、ソール厚は前作アシックス ターサーRP2よりも約2mmアップ。27mm前後の厚みにより、接地時の衝撃を和らげつつ、地面をしっかりと押し返すような反発感を得られる。
「薄底のパタパタ感が減って、安定して走れるようになった」という声も多い。
特に長めのテンポ走やハーフマラソン程度の距離では、この適度なクッション性が疲労を軽減し、後半のペース維持に役立つという意見が目立つ。
推進力を生む構造──立体化したPROPULSION TRUSSTIC
ミッドソール内部には「PROPULSION TRUSSTIC(プロパルショントラスティック)」と呼ばれるプレート構造が組み込まれている。
このパーツは、足のねじれを抑えつつ、蹴り出しのエネルギーを前方へ効率よく伝える役割を担う。
アシックス ターサーRP3ではこの構造が立体的に再設計され、屈曲性を損なわずにより強い推進力を生み出す仕様になった。
地面を押した瞬間に、バネのように弾き返してくれる感覚があるため、「スピードを出しやすい」「リズムを刻みやすい」と感じるランナーが多い。
アウトソールの改良──ASICSGRIPと3Dテトラソール
ターサーシリーズの象徴でもあるグリップ性能も、アシックス ターサーRP3でしっかり進化している。
つま先部分には高摩擦ゴム「ASICSGRIP」を配置し、濡れた路面でも滑りにくい仕様に。中足部〜前足部には新たに「3D TETRA SOLE」が採用され、従来のデュオソールに比べて耐久性がアップした。
これにより、足裏の細かな接地感を保ちながらも、より安定した走行が可能に。
スピード練習やロードレースだけでなく、日々のトレーニングでも安心して使える万能シューズへと進化した。
重量とフィット感──やや厚みを増した安定感ある履き心地
アシックス ターサーRP3の重量は26.5cmで約185g前後。前作に比べると約15gほど重くなったが、そのぶんクッション性と安定感が増している。
地面とのダイレクトな接地感を求めるランナーには少しソフトに感じるかもしれないが、多くのユーザーが「脚に優しく、安心してスピードを出せる」と評価している。
フィット感はアシックスらしいタイトな設計で、足幅が広めのランナーは0.5cmサイズアップする選択肢もある。アッパー素材の通気性が良いため、長時間のトレーニングでも蒸れにくい。
前作RP2との違いを整理
アシックス ターサーRP2とアシックス ターサーRP3を比較すると、以下のような明確な差がある。
- ミッドソール素材:FF BLASTを新採用(反発性・クッション性が向上)
- ソール厚:+約2mmでより厚底化
- 推進構造:PROPULSION TRUSSTICが立体化し、蹴り出しの推進力が強化
- アウトソール:3Dテトラソール採用で耐久性アップ
- 重量:やや増加(安定感と衝撃吸収力が向上)
これらの改良により、アシックス ターサーRP3は「薄底シューズ特有のスピード感」と「現代的なクッション性・快適性」の両立を果たしている。
ランナーの評価と実走感
実際に履いたランナーのレビューでは、以下のような声が多く寄せられている。
- 「軽くて回転が速い。テンポ走やインターバルに最適」
- 「クッションが前作より柔らかく、長めの距離でも疲れにくい」
- 「グリップが良く、雨天でも安定して走れる」
- 「反発を感じながら地面をしっかり捉えられるバランスが良い」
一方で、従来のターサーらしい“地面を蹴るダイレクト感”を求める人からは、「少し厚くなった」「軽さより安定寄りになった」との指摘もある。
つまり、ランナーの求める感覚によって評価が分かれるモデルと言える。
どんなランナーにおすすめか
アシックス ターサーRP3が特にマッチするのは、以下のようなランナーだ。
- レースとスピード練習を1足でこなしたい人
- 薄底の軽快さと、適度なクッション性の両方を求める人
- グリップ性能を重視するロードランナー
- コスパの良いスピードシューズを探している人
逆に、極限まで軽量なシューズや裸足感覚のフィーリングを求めるランナーには、アシックス ターサーRP2や他の薄底モデルの方が好みかもしれない。
トレーニング・レースの両立に強い万能型
これまでのターサーは「レース専用の速い人向け」という印象が強かった。
しかしアシックス ターサーRP3は、スピード練習やテンポ走といったトレーニングでもしっかり使える。
実際、サブ3.5〜サブ4ランナーの「普段履きスピードシューズ」としての需要も高まっている。
この汎用性の広さこそ、アシックス ターサーRP3が現代のランナーに支持される理由のひとつだ。
総評──アシックス ターサーRP3は伝統と進化のバランスが光る一足
アシックス ターサーRP3は、アシックスが長年培ってきた「薄底スピードシューズの魂」を残しながら、現代ランナーのニーズに合わせて進化したモデルだ。
FF BLASTによる高反発、立体的なトラスティック構造、強化されたアウトソール。すべてが「より走りやすく、より長く使える」方向へ磨かれている。
薄底らしいスピード感を維持しつつ、脚に優しく安定した走りを支える──。
それがアシックス ターサーRP3の最大の魅力だ。価格も比較的手頃で、練習からレースまで幅広く活躍してくれる万能型シューズと言える。
アシックス ターサーRP3を選ぶ理由と今後の展望
アシックス ターサーRP3は、単なるシリーズの続編ではない。
伝統的な「蹴る感覚」をベースにしつつ、時代に合わせた快適性と機能性を取り込んだ“新世代ターサー”だ。
ランナーの足元を支える信頼の設計はそのままに、今後のモデルにもさらなる進化が期待できる。
これからスピード練習を始めたい人にも、次のレースを見据える中級者にも、アシックス ターサーRP3は頼もしい相棒となるだろう。


