ランナーの間で長く愛され続けている「アシックス ソーティ マジック」。駅伝やトラック競技で名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
厚底シューズが主流になった今でも、あえてこの薄底モデルを選ぶランナーが後を絶たない。その理由を、特徴・履き心地・評判をもとに探っていきます。
ソーティ マジックとは?攻めの走りを支える“薄底レーシング”
アシックスのソーティマジックシリーズは、「速く、軽く、鋭く」をテーマに開発されたレース向けモデル。
「ソーティ(SORTIE)」という名前は“出撃”を意味し、勝負の場に挑むランナーの気持ちを象徴しています。
このシリーズは、トラック競技や駅伝などのスピードレースを想定した“薄底シューズ”。
近年の厚底トレンドとは正反対の方向性で、地面との一体感や軽快な走りを求めるランナーに選ばれています。
現行モデル「SORTIEMAGIC RP 6」の基本スペック
最新モデル「SORTIEMAGIC RP 6」は、アシックスの中でも最軽量クラスに位置づけられるモデルです。
26.5cmで片足約145gという驚異的な軽さ。スパイクに迫るレベルの軽量性で、走り出した瞬間に“脚が前に出る”感覚を味わえます。
ミッドソールには2種類の素材を組み合わせています。
- 前足部には高反発の「FLYTEFOAM PROPEL」
- 後足部には軽量素材「FLYTEFOAM」
この構成により、蹴り出しの瞬間に強い反発を得ながらも、無駄な沈み込みを抑える設計。
さらに、中足部には「PROPULSION TRUSSTIC」を内蔵し、ねじれを防ぎつつ推進力を地面へ効率的に伝えます。
アッパーは通気性と軽量性を両立させたエンジニアードメッシュ。
部分ごとにメッシュの密度を変え、フィット感と補強を絶妙にバランスさせています。
地面を噛むような接地感と反発力
ソーティマジックの最大の魅力は、薄底ならではの“地面を感じる感覚”にあります。
接地から蹴り出しまでの動きがダイレクトに足裏に伝わり、スピード練習や短距離レースでは抜群のレスポンスを発揮します。
グリップ力も強く、トラックでもロードでも地面をしっかり掴む。
特にスパイクが使えない場面で、スピードを維持したいランナーにとって頼もしい存在です。
「厚底では得られない鋭い蹴り感」「脚が自然に回転する」「地面との一体感がある」
そんなレビューが多く見られ、薄底派ランナーの信頼を集めています。
駅伝ランナーに支持される理由
駅伝ランナーの間でソーティマジックが根強い人気を誇るのには、明確な理由があります。
- 軽くて速い
駅伝では区間が短く、スピード勝負。軽量で反発力の高いソーティマジックは理想的な武器になります。 - トラックにもロードにも対応
トレーニングから本番まで、同じ感覚で走れる。冬季練習や合宿でトラックを使う選手にも好まれます。 - スパイクの代用としても優秀
スパイクのような硬さはなく、スニーカー感覚で使えるため、練習にもレースにも使いやすい。 - シリーズの歴史と信頼性
長年にわたり駅伝・中距離界を支えてきた伝統があり、「ソーティ=速い靴」というイメージが根付いています。
履き心地と走行感:薄底だからこそ味わえるスピード
履いて最初に感じるのは、圧倒的な軽さ。
足を通した瞬間から「空気のよう」と表現するランナーも多く、踏み出したときの反発がスムーズです。
ソールの厚みはごく薄く、足と地面の距離が近い。
それによって重心移動が速くなり、回転ピッチを上げやすいのが特徴です。
また、クッション性よりも反発を重視しているため、足裏の筋肉をしっかり使う感覚があります。
「自分の脚力で走る」ことを実感できるシューズで、フォームを整える練習にも適しています。
ソーティマジックの評判と口コミ
実際のレビューを見てみると、評価は総じて高めです。
- 「地面を噛む感覚が最高で、トラック練習が楽しくなる」
- 「軽くて反応が良い。短距離や駅伝には最適」
- 「5000mで自己ベストを更新できた」
一方で、注意点として挙げられるのは以下の通りです。
- 「クッションが少ないため、長距離では脚に負担が来る」
- 「ソールが薄い分、耐久性はそこまで高くない」
- 「普段よりフィット感が強い。サイズ選びには慎重さが必要」
つまり、用途を理解して使えば非常に優秀ですが、万能ではありません。
“スピードを出すための靴”として割り切って使うのが理想です。
ソーティマジックはどんなランナーに向いているか
このシューズを最大限に活かせるのは、以下のようなタイプのランナーです。
- トラック競技(800m〜5000m)や駅伝を走る人
- インターバルやスピード練習を重視する人
- スパイクの代用を探している人
- フォアフットやミッドフット走法で走る人
- 地面の感覚を大事にしたい上級者
逆に、フルマラソンや長距離メインの人、衝撃吸収性を重視する人には不向きです。
その場合は厚底タイプ(メタスピードシリーズなど)との併用が勧められます。
薄底の価値が再注目される理由
ここ数年、厚底カーボンシューズが席巻していますが、その一方で“薄底回帰”の流れも静かに起きています。
特にトラックや短距離をメインとする選手たちは、接地感や安定感を求めてソーティマジックのようなモデルに戻るケースが増えています。
薄底で走ると、足の筋肉やフォームのクセが如実に分かる。
それがトレーニング効果を高め、地面を押し出す感覚を育ててくれるという声もあります。
つまり、ソーティマジックは「走りの基礎を磨くための道具」でもあり、速くなるための“原点回帰シューズ”と言えるでしょう。
賢い使い分け:厚底と薄底の併用
現在は、厚底と薄底をうまく使い分けるランナーが増えています。
ポイント練習や駅伝本番ではソーティマジックを使い、ジョグや距離走ではクッション性のある厚底を使うスタイルです。
この方法なら、脚への負担を抑えながらスピード練習もこなせる。
実際、多くの大学駅伝選手もこの“二刀流”を採用しています。
まとめ:アシックス ソーティ マジックが駅伝で選ばれ続ける理由
アシックス ソーティ マジックは、厚底全盛の今でもなお、駅伝ランナーに選ばれ続ける稀有な存在です。
軽さ・反発・接地感という三拍子がそろい、スピードを最大限に引き出す構造。
「自分の脚で走る」という原点に立ち返れる1足です。
薄底ゆえに使いどころは限定されますが、その分フィットすれば圧倒的な推進力を体感できる。
トラック・駅伝・スピード練習を中心に走る人にとって、これほど頼もしいシューズはありません。
地面と一体になって走りたいランナーへ。
アシックス ソーティ マジックは、今なお“攻めの走り”を求めるすべての人におすすめできる名作です。


