ランニングシューズの世界では「速く」「軽く」「疲れにくく」という三拍子が常に求められています。その中で、アシックスが誇るトップモデルのひとつが「スカイ(SKY)」シリーズです。
このシリーズは、単に軽量なだけでなく、反発力や推進力の質が非常に高く、ストライド型ランナーに特化した設計で注目を集めています。今回は、アシックス スカイシリーズの魅力や最新テクノロジー、どんなランナーに向いているのかを徹底的に解説していきます。
スカイシリーズとは?アシックスの“ストライド型”厚底ランナー向けモデル
スカイシリーズは、アシックスが展開する「カーボンプレート搭載厚底モデル」の中でも、ストライド型ランナーに最適化されたカテゴリーです。
ストライド型とは、一歩の歩幅を大きくとってスピードを出す走法。これに対し、ピッチ型は回転数を高めてスピードを出すタイプですが、スカイシリーズは前者の「伸びる一歩」を支えるために設計されています。
アシックスのロードレース用ハイエンドライン「METASPEED」シリーズの中でも、「METASPEED SKY」はまさにこのストライド型に特化したモデル。
その特徴は、大きな反発力で前方への推進を促す設計にあります。これにより、ピッチを無理に上げずともスピードを維持できるのが大きな魅力です。
軽量性の秘密:新世代ミッドソール「FF LEAP」
スカイシリーズの軽量性を語るうえで欠かせないのが、アシックス独自のミッドソール素材です。
最新モデルでは「FF BLAST TURBO」から進化したFF LEAPフォームを採用。これは従来比で約15%の軽量化、約13%の反発性向上、さらに約30%ものクッション性アップを実現しています。
軽さだけでなく、フォームの復元スピードが非常に速いため、着地の衝撃をすばやく吸収し、即座にエネルギーとして反発に変換。
結果として、少ない力でストライドを伸ばし、推進力をロスなく前方へ伝えることが可能になります。
「軽くて跳ねる」という感覚が、まさにこのシリーズの核です。
カーボンプレートとソール構造が生む推進力
スカイシリーズのもう一つの柱が、カーボンプレートの最適配置とソール全体の形状設計です。
カーボンプレートはミッドソール内部に組み込まれており、プレートが“バネ”のように働くことで、踏み込みから蹴り出しまでの力を効率よく地面へと伝えます。
特に注目したいのは、最新モデルで採用されているフラット形状のカーボンプレート構造。
従来の湾曲プレートに比べて、より広範囲にフォーム全体が圧縮されるため、反発の量と方向性が安定します。
また、つま先部の外側に設けられたくぼみが、足の自然なローリング動作を誘導し、蹴り出し時の流れをスムーズにしてくれます。
この結果、ストライド型ランナーにとって理想的な「前への伸び」が得られ、自然とスピードが乗る感覚が得られるのです。
スカイシリーズの主なモデルと進化の流れ
アシックスのスカイシリーズは、登場以来、毎年のようにアップデートを重ねています。
- METASPEED SKY(初代)
スカイシリーズの原点。ストライド型ランナー向け厚底として誕生し、FF BLAST TURBOとカーボンプレート構造を組み合わせて高反発を実現。
軽量ながらもソールの厚みがあり、初代から高い反発感が話題に。 - METASPEED SKY+(スカイプラス)
カーボンプレート形状の改良により、より前方への推進性が高まったモデル。ミッドソール素材やアッパーの通気性も向上。
ランナーからは「よりナチュラルな走りができる」と評価が高い一足。 - 最新世代(FF LEAP採用モデル)
素材を刷新し、軽さ・反発・クッション性のバランスを極限まで高めた最新仕様。
フォームの弾性がさらに強化され、地面との接地感が柔らかくなりながらも推進力を損なわない。
長距離レースでの脚の疲労を軽減しつつ、スピード維持を助ける点が特徴です。
また、ランニングシューズに限らず、「SKY ELITE FF 3」など室内スポーツ向けの“SKY”モデルも存在。
こちらはバレーボールなどジャンプ系競技向けに設計されており、同じ“反発”思想をベースに高い跳躍性能を発揮します。
走行フィーリング:自然な前進と疲労軽減の両立
実際にスカイシリーズを履いたランナーの声では、共通して「自然に前へ進む感覚」が挙げられています。
特に、接地から蹴り出しまでの“つながり”が滑らかで、地面を蹴る意識が少なくてもスピードが出るという点が特徴です。
また、クッション性が向上したことで、長距離の後半でも脚へのダメージが蓄積しにくいという意見も多く聞かれます。
これは、FF LEAPフォームの反発と柔軟性の両立がもたらす効果。
軽さゆえに脚の回転がスムーズになり、結果としてエネルギー消費を抑えながらスピードを維持できるのです。
スカイシリーズが向いているランナータイプ
スカイシリーズは、どんなランナーにフィットするのでしょうか。
- ストライドを大きく取る走り方をする人
- ピッチよりも「伸び」でスピードを出したい人
- レース後半でもスピードを維持したい人
- クッション性と反発性のバランスを重視する人
逆に、ピッチを高めてリズムで走るタイプのランナーには、「METASPEED EDGE」などピッチ型向けモデルの方が適している場合もあります。
つまり、スカイシリーズは“誰でも速くなる魔法の靴”ではなく、自分の走り方に合えば最大限の力を発揮する専用ツールと言えるでしょう。
注意点とフィッティングのポイント
軽量・高反発ゆえに、スカイシリーズは若干の“硬さ”を感じる場合もあります。特に初代やスカイプラスでは、慣れるまでに時間がかかるという声もありました。
しかし、最新世代ではその反発の強さを保ちながらも、ソール全体がより柔らかく、スムーズな着地感へ改良されています。
サイズ選びでは、足幅がやや細めに感じる場合があるため、通常のランニングシューズより0.5cm上を選ぶ人も多い傾向です。
フィット感やホールド性はアッパー素材の改良によって格段に良くなっており、レース用としての安定性も十分。
特にフルマラソンやハーフマラソンでの使用を想定している場合は、数回の練習で“馴染ませる期間”を取るのがおすすめです。
SKYシリーズがアシックスの未来を形づくる理由
スカイシリーズの存在は、アシックスの厚底戦略の中核です。
ピッチ型の「EDGE」、ストライド型の「SKY」と明確に分類することで、ランナーが自分のタイプに合ったモデルを選びやすくなりました。
また、新素材FF LEAPの登場により、「軽さ」「反発」「安定性」をさらに高いレベルで両立。
このフォーム技術は今後、他のカテゴリー(トレーニングモデルやトラック競技用など)にも応用されていく可能性があります。
アシックスが掲げる「人それぞれの最適な走りを科学で支える」という理念を体現するモデルこそ、スカイシリーズなのです。
まとめ:アシックス スカイシリーズで体感する“伸びる一歩”の進化
アシックス スカイシリーズは、単なる厚底シューズではありません。
軽量でありながら、強い反発と柔らかいクッションを兼ね備え、ストライド型ランナーが“自然に前へ進む”ための設計思想が詰まっています。
新素材FF LEAPとカーボンプレートの融合により、着地から蹴り出しまでの流れがよりスムーズになり、レース終盤でもスピードを維持できる安定感を実現。
それは、単なる数値性能ではなく、実際の走行感として明確に体感できる“進化”です。
自分の走り方に合ったモデルを選ぶことが、速さへの近道。
もしあなたがストライド型で、より伸びる走りを求めているなら——アシックス スカイシリーズは、その答えになるはずです。


