アシックスのサッカースパイクシリーズの中でも、“スピードとフィット感の融合”を掲げて進化を続けてきたのが「DS LIGHT X-FLY」シリーズ。その最新モデルとして登場したのが「アシックスエックスフライプロ3」だ。
この記事では、実際の着用感や改良されたポイント、前モデルとの違い、どんなプレーヤーに向いているのかをじっくり解説していく。
アシックスエックスフライプロ3とは?概要と基本スペック
「アシックスエックスフライプロ3(ASICS DS LIGHT X-FLY PRO 3)」は、2025年に発売された最新サッカースパイクだ。アシックスが長年培ってきた日本人の足型研究をベースに、“軽さ・加速・素足感覚”という3要素を磨き上げた意欲作である。
価格は税込24,750円前後。アッパー素材は人工皮革(SILKYWRAP)、アウトソールは軽量合成樹脂。25.5cmで片足約186gという驚異的な軽さを実現している。
対応グラウンドは天然芝・人工芝・土と幅広く、特定の環境に縛られず使用できる点も魅力だ。
シリーズの進化点:SILKYWRAPによる新しい素足感覚
最大の進化ポイントは、アッパー素材に新採用された「SILKYWRAP」。その名の通り、シルクのように滑らかで柔らかく、足全体を包み込むようなフィット感が特徴だ。
前作ではやや硬めだったアッパーが、今作では足馴染みのよい質感に変化。ボールタッチ時の“直に触れているような感覚”が得やすく、トラップや細かいドリブルの感触が格段に自然になった。
さらに、シュータン部分は極薄設計。足の甲への圧迫感を抑えつつ、シューレースを締めたときに均一にフィットする構造だ。これにより、長時間プレーでもストレスが少ないと評価されている。
改良されたソール構造とスタッド配置 ― 加速性能を高める設計
アウトソールは「NEWスプリントソール」に刷新された。つま先寄りのスタッドがブレード状に配置され、蹴り出しの一歩目の推進力をサポート。特に直進方向へのグリップが強化されており、加速時の滑りを抑えてスムーズな立ち上がりを実現している。
また、ソール中央部は樹脂製プレートをくり抜いたような構造で、軽量化と剛性の両立を達成。N字型の内部構造によって、ねじれを防ぎながらも前足部の柔軟性を確保している。
これにより、スプリント時のパワーロスを防ぎつつ、ターンやステップワーク時には柔軟に対応できるバランス設計となっている。
フィット感と履き心地 ― 「軽いのにブレない」を両立
片足186gという軽量さながら、履いたときの安定感はしっかりとある。前足部は柔らかく足を包み込み、踵部分はヒールカップによって自然なホールド感を確保。
ただし、前モデルよりも全体的に柔らかめの設計となっており、締め付け感よりも“自然に足と一体化するフィット”を重視している印象だ。
ラスト(足型)は日本人に多い2E程度の標準幅。極端に幅広でもなく、狭すぎもしない中庸設計で、幅広ユーザーでもストレスなく履けるケースが多い。
インソールにはやや弾力のある素材を採用し、素足感覚に近づけながらも、長時間の着用での疲労を軽減する仕組みが整っている。
実際の使用感レビュー:軽さと感触の絶妙なバランス
レビューサイトや実使用者の声をまとめると、アシックスエックスフライプロ3は「軽さ・タッチ感・履き心地」の3点で非常に高い評価を得ている。
特に“軽いのに頼りない感じがしない”という声が多く、軽量スパイク特有の不安定さを感じにくい点が魅力とされている。
ボールタッチに関しては、「足に吸い付くような感触」「トラップ時にボールを包み込むように扱える」というコメントも多い。SILKYWRAP素材が、人工皮革とは思えない柔らかさを実現しており、素足に近い感覚を好むプレーヤーには特に好評だ。
ただし、アッパーが柔らかい分、激しい当たりやキック時に“反発感”を求める選手にはやや物足りないとの意見も。守備的な選手よりも、スピードとテクニックを重視するアタッカーに最適といえる。
攻撃的プレーヤーに最適なスパイク設計
アシックスエックスフライプロ3は、まさに「スピードとタッチの融合」をテーマに設計されている。
軽量化とフィット感を両立し、ピッチ上での加速力を最大化する構造は、特にウィングやサイドアタッカーに向いている。
素早いターンや細かなステップ、切り返しの多いプレーにも対応でき、瞬発的な動きに強い。
さらに、試合終盤になってもフィット感が崩れにくく、足裏の疲労を感じにくいとの評価もある。スタミナを維持しながら最後まで走り切りたいプレーヤーにとっても有利な選択肢だ。
留意点と合う人・合わない人の違い
このモデルは全体的に柔らかく、軽く、しなやかに作られているため、「強いホールド感が欲しい」「硬めのソールで安定性を重視したい」というプレーヤーには合わないかもしれない。
特にセンターバックやボランチなど、接触プレーの多いポジションでは、足首の保護性を重視するタイプを選んだ方が安心だろう。
一方で、ドリブラー・ウィング・サイドバックなど、俊敏な動きを求める選手にとっては理想的な選択肢。ボールコントロールや加速の一体感を重視するプレースタイルには抜群の相性を見せる。
前モデルからの変更点と改善されたポイント
前作「X-FLY PRO 2」との比較で特に大きく変わったのは、アッパーとソールの一体感だ。
前モデルでは硬さや“ハリ”を重視した構造だったが、今作では全体的にしなやかで柔軟な構造に刷新。プレー中のストレスが減り、より自然に足とスパイクが一体化する感覚が生まれている。
また、ソールのプレート位置が見直され、蹴り出し時の力の伝達効率が向上。これにより、一歩目のダッシュやターンの切れ味が上がっている。
軽量化も進んでおり、同サイズ比較で数グラム単位の軽減が確認されている。
総合評価 ― 軽量でフィット感抜群の“新世代スピードブーツ”
アシックスエックスフライプロ3は、スピード系スパイクの中でも「軽さ」と「履き心地」を極めたモデルといえる。
日本人の足型に合わせた自然なフィット感、素足感覚を生むSILKYWRAPアッパー、そして蹴り出しに反応するソール設計。これらが融合し、非常に完成度の高い一足に仕上がっている。
一方で、ホールド感や剛性を求めるプレーヤーには合わない可能性もある。自分のプレースタイルを踏まえ、軽さを取るか安定性を取るかを見極めて選ぶのがベストだ。
どのスパイクよりも軽快にピッチを駆け抜けたい、そんな選手にこそ履いてほしい一足だ。
まとめ:アシックスエックスフライプロ3は「軽く速く、そして自在に」動ける一足
アシックスエックスフライプロ3は、最新素材SILKYWRAPの採用により、これまでのスピード系スパイクの常識を覆す“軽く柔らかい”履き心地を実現した。
軽量性、フィット性、そして繊細なボールタッチを求めるプレーヤーにとって、理想的なスパイクといえる。
スピードを武器にするアタッカー、俊敏な動きを追求するプレーヤー、素足感覚を重視するフットボーラー――。
そんな選手たちにこそ、この「アシックスエックスフライプロ3」を試してほしい。
軽さと快適さ、そして一歩目の速さを武器に、あなたのプレーを次のレベルへ引き上げてくれるだろう。


