サッカースパイクを選ぶとき、「軽さ」「フィット感」「加速力」のどれを優先するかは人それぞれ。でも、その三拍子を高い次元でまとめ上げたのが、アシックスの最新モデル「アクロス プロ 3」だ。発売直後から注目を集めているこのモデル、実際どこが進化したのか。この記事では、実際の使用感や機能の特徴を踏まえながら、その魅力を掘り下げていこう。
DS LIGHTシリーズの最新形、アクロス プロ 3とは？
「アクロス プロ 3」は、アシックスの定番スパイク「DS LIGHT（ディーエスライト）」シリーズの上位機種として登場した。シリーズのなかでも“スピードとフィット感”をテーマにしたモデルで、俊敏さを武器にする選手に向けて開発されている。
デザインの方向性は、あくまで“素足感覚の延長線”。履いた瞬間に足と一体化するような軽さと柔軟性を重視している。スプリント時の加速や方向転換、ドリブルの切れ味を最大限に引き出すことを狙った設計だ。天然芝・人工芝・土といったさまざまなグラウンドに対応しており、部活生や社会人プレーヤーまで幅広く使いやすい。
アッパーの進化が生む「包み込むようなフィット感」
今回のアクロス プロ 3で最も注目したいのが、アッパー素材の進化だ。新しく採用された「ジャカードメッシュ」は、これまでよりもしなやかで柔軟性が高い。足を包み込むようにフィットしながら、無駄な締め付けを感じさせないのが特徴だ。
さらに、アシックス独自の「ACROS FIT構造」により、内側と外側で補強の厚みを変えている。内側は薄くして足の動きに寄り添い、外側は厚めに補強して安定性を確保。これによって、切り返しの際に靴がブレず、スムーズに次のステップへ移行できる。
履いた瞬間の“吸いつくような感覚”は、まさに素足感覚の極み。軽快さと安定性の両立を体感できる仕上がりになっている。
軽量アウトソールが生み出す加速力とキレ
アクロス プロ 3のアウトソールは、軽量化と反発力を両立させた設計が特徴だ。大胆にくり抜かれた樹脂プレートは、足裏の屈曲性を高めながら、地面への力の伝達をよりダイレクトにしている。結果として、蹴り出しの一瞬でスピードに乗れる。
スタッド（ソール裏の突起）は円柱をベースにした13本構成。これがグリップ力と回転のしやすさを両立しており、スプリント中でも足が引っかからない。屈曲性と安定感をバランス良く保ちつつ、軽快なフットワークを実現している。
重さは25.5cmで片足約195g前後。数字だけ見ても、軽量モデルの中でもかなり上位に位置する。この軽さは、長時間のプレーや繰り返すスプリントでこそ真価を発揮する。
実戦向けの万能性。どんなプレーヤーに合う？
アクロス プロ 3は、「俊敏に動きたい選手」「スプリントを武器にしたい選手」にうってつけのスパイクだ。特に相性が良いのは、次のようなプレースタイル。
- サイドでスピードを活かすウィングやウィングバック
- カットインやドリブル突破を得意とするフォワード
- 素早いターンや切り返しで相手をかわすアタッカー
一方で、センターバックやボランチのようにフィジカルコンタクトが多く、安定感や耐久性を最優先にするプレーヤーには少し軽すぎる印象がある。軽量モデルゆえに、耐久性や衝撃吸収性は“速さ特化”の代償と考えるべきだ。
それでも、マルチグラウンド対応のおかげで、練習から試合まで一本でこなせる汎用性は大きな魅力。部活やクラブチームのメインスパイクとしても安心して使える。
実際の評価と使用感レビュー
実際に履いたユーザーからは、「軽い」「足に吸い付く」「スプリントが伸びる」といったポジティブな声が多い。特に、土や人工芝でも安定したグリップを発揮する点が好評だ。軽さと屈曲性のバランスが絶妙で、ドリブル中のタッチ感が良いという意見も目立つ。
一方で、「幅がやや狭く感じた」「前作と比べて大きな変化は少ない」といった声もある。これは、アッパーが人工皮革主体になったことでホールドが強まり、足型によってはタイトに感じるためだ。甲高・幅広の人は、ワンサイズアップも検討したい。
全体的には、スピード系スパイクの中でも安定感があり、履き心地の柔らかさと軽量性を両立している点で高評価を得ている。
前作や他モデルとの違い
前作「アクロス プロ 2」と比べると、大幅なデザイン変更はないが、細部のブラッシュアップが進んでいる。ジャカードメッシュの改良や補強構造の見直しにより、より柔らかく、より安定したフィット感を実現した。
同シリーズの「アクロス 3」（ノンプロモデル）との違いはソール設計だ。ノンプロモデルは安定性を重視してヒールカウンター一体型のソールを採用しているのに対し、プロモデルでは軽量化とスプリント性を重視。攻撃的なポジションにはプロモデル、防御・安定志向のプレーヤーにはノンプロモデルという住み分けができる。
メリットとデメリットを整理する
メリット
- 軽量で素早い動きに強い
- フィット感とホールド性が高く、足との一体感を得やすい
- 加速と切り返し動作に優れる
- 天然芝・人工芝・土の全ピッチに対応
- シンプルなデザインでどんなユニフォームにも合わせやすい
デメリット
- 幅がタイトで、足型によっては圧迫を感じる
- 耐久性よりもスピード性能を優先した設計
- 前作ユーザーにとっては“進化が控えめ”と感じる可能性
それでも、軽さ・フィット感・機動力という三要素をこのレベルでまとめたスパイクはそう多くない。プレースタイルが合えば、確実に武器になる一足だ。
購入前にチェックしておきたいポイント
購入を検討する際は、以下の点を意識しておくと失敗しにくい。
- サイズ感を要確認
幅が狭めなので、試着できる環境なら必ず履いて確認を。オンライン購入の場合はレビューを参考にするのが安心。 - 使用するグラウンドを想定する
マルチ対応ではあるが、土と人工芝の比率が高いプレーヤーは、スタッドの減り方にも注意したい。 - 練習用と試合用を分ける
軽量スパイクは消耗が早い傾向にある。試合用に1足、練習用に別モデルを使い分けると長持ちする。
アシックスアクロスプロ3を選ぶべき理由
スピードとフィット感を両立したい。俊敏な動きで相手を翻弄したい。そんなプレーヤーにとって、「アクロス プロ 3」は非常に理想的なスパイクだ。軽量ながらも足元の安定感を保ち、どんなピッチでもパフォーマンスを引き出してくれる。
アシックスのサッカースパイクは、単なる“速さ重視”にとどまらず、「履き心地」や「バランス感覚」にもこだわっている。その設計思想はこのアクロス プロ 3にも受け継がれており、どんなレベルのプレーヤーにも信頼して選べる一本に仕上がっている。
アシックスアクロスプロ3の魅力をまとめて
アシックスアクロスプロ3は、“軽さ・一体感・加速力”をすべて備えたサッカースパイクだ。素足のような履き心地で俊敏に動けるうえ、マルチグラウンド対応の汎用性も魅力。スプリントを武器にするプレーヤーには特におすすめの一足だ。
もしスパイク選びで迷っているなら、「足と一体化する感覚」を重視するこのモデルを一度試してみてほしい。アシックスが培ってきたフィット設計の粋を集めた最新モデル――それが、アクロス プロ 3だ。
