サッカーを本気でプレーする人なら、一度は耳にしたことがある「アシックス XFLY PRO(エックスフライ プロ)」。
このモデルは、アシックスが誇るサッカースパイクの中でも「プロ仕様」と呼ばれる存在だ。
実際に履いてみると、その呼び名が決して誇張ではないことがすぐに分かる。
この記事では、XFLY PROシリーズの特徴や履き心地、どんなプレーヤーに向いているのかを、体感的な言葉で掘り下げていこう。
DS LIGHTシリーズにおけるXFLY PROの位置づけ
アシックスのサッカースパイクといえば、定番の「DS LIGHT シリーズ」を思い浮かべる人が多いだろう。
「素足感覚」「軽さ」「足なじみ」を追求してきたこのシリーズの中でも、XFLY PROはその最上位に位置するモデルだ。
つまり、“誰にでも扱いやすい”というより、“限界まで自分のスピードを引き出したいプレーヤーのための一足”。
アシックスがプロ選手の意見をもとに、勝負の一瞬に全力を注ぐために作り込んだスパイクといえる。
XFLY PROには初代から第3世代(DS LIGHT XFLY PRO 3)までの進化系があり、年々、素材と構造が磨かれている。
初代のカンガルーレザーから、最新モデルの「SILKYWRAP」素材へのアップデートは、特に大きな変化だ。
軽さと柔軟性、そして耐久性を両立させたことで、素足のような感覚をさらに高めている。
軽さとフィット感を極めたアッパー構造
XFLY PROの大きな魅力は、何といってもその“軽さと一体感”だ。
前足部には柔らかく馴染みやすい天然カンガルーレザーを採用し、足全体を包み込むようなフィット感を実現。
中足部からかかとにかけては、軽量かつ強度のあるマイクロファイバー素材を配置している。
これにより、軽量化しながらもプレー中の安定性をしっかり確保しているのが特徴だ。
実際に履くと、足を入れた瞬間に「吸い付くような」感覚がある。
特に足幅が標準〜やや細めのプレーヤーにはフィットしやすく、ピタッとした履き心地が心地よい。
逆に、幅広や甲高のプレーヤーには少しタイトに感じることもあるため、サイズ選びは慎重に行いたい。
また、最新モデル「DS LIGHT XFLY PRO 3」ではアッパー全体がSILKYWRAPに変わり、従来よりも柔軟性がアップ。
試合中の激しい動きや長時間プレーでも足の疲れを感じにくく、終盤まで高いフィット感が続くのが嬉しい。
スプリントを支えるソール設計とグリップ性能
アウトソール(靴底)は、このスパイクの真価を決める要素の一つ。
XFLY PROには「スピードソール」と呼ばれる専用設計が採用されており、前方向への推進力を最大化する。
特徴的なのは、つま先側に配置されたブレード型スタッド(突起)。
これが地面をしっかり掴み、ダッシュや方向転換の際に素早く反応できるようになっている。
さらに、スタッド間にはリブ構造が施されており、軽さと剛性を両立。
蹴り出しのパワーを逃さず地面へ伝え、スプリント動作をサポートする設計だ。
このソール形状により、「スピードを出したい」「一歩目で差をつけたい」といったプレーヤーにとって理想的な反応を得られる。
XFLY PROは天然芝・人工芝・土グラウンドのすべてに対応しているため、環境を選ばない点も大きな利点。
試合用としてだけでなく、練習や練習試合など様々な場面で安心して使える。
パワー伝達効率を高める内部補強構造
軽いスパイクは時に「踏み込み時の力が逃げる」弱点を持つことがある。
しかしXFLY PROは、アッパー内部に補強材を配置することで、軽さを保ちながらパワーロスを抑えている。
この補強構造が、足とソールを一体化させる役割を果たし、走行時のエネルギーを無駄なく地面に伝える。
たとえば、ドリブル中の加速や、シュート前の一歩。
小さな動きの中にも力を伝えやすく、選手の動作をより効率的にしてくれる。
それでいて硬すぎず、屈曲性が高いため、自然なステップや切り返しもスムーズだ。
この“軽さとパワー伝達の両立”こそが、XFLY PROが「プロ仕様」と評される理由の一つだろう。
実際の履き心地とプレーヤーの声
レビューや実際の使用感を見ても、「軽い」「素足のよう」「走りやすい」という声が圧倒的に多い。
特にスプリントや方向転換が多いポジション――ウィング、サイドアタッカー、攻撃的MFなど――からの評価が高い。
・足に吸い付くようなフィット感
・一歩目の反応が速くなる
・試合の終盤でも軽さを感じる
・ボールタッチが繊細で、蹴る感覚がダイレクトに伝わる
こうした感想は、設計上の狙いが実際のプレーにしっかり反映されていることを示している。
特に「素足感覚でプレーしたい」「スピードで勝負したい」というタイプには、まさに理想的な一足といえる。
一方で、天然皮革モデルは素材が柔らかく繊細なため、雨天や泥のグラウンドではこまめな手入れが欠かせない。
また、練習用として長期間履きつぶすよりも、試合や公式戦用として履くほうが長持ちしやすい。
XFLY PROが選ばれる理由
なぜXFLY PROは多くのプレーヤーに選ばれているのか。
理由は大きく分けて5つある。
- スピード特化の設計
ソールの形状、軽さ、屈曲性すべてが加速を重視。スピード型プレーヤーの足に最適。 - 素足感覚のボールタッチ
アッパーが柔らかく、ボールを直接蹴るような自然な感覚。技術系プレーヤーにも好まれる。 - 足との一体感
細部まで計算されたフィット構造で、シューズが動きを邪魔しない。軽量インソールも貢献。 - オールグラウンド対応
芝でも土でも使える万能設計。グラウンドを選ばずに試合用として使えるのは大きな安心感。 - デザインと信頼性
シャープなフォルムとアシックスらしい安定感。機能美を感じるデザイン性も人気の理由。
この5点が揃うスパイクは、実はそれほど多くない。
軽さと耐久性、素足感覚とパワー伝達、この両立はアシックスの技術力の高さを象徴している。
XFLY PROを選ぶ際の注意点とおすすめ層
XFLY PROは万能型ではなく、あくまで「スピードと感覚を求めるプレーヤー」に最適化されたモデルだ。
そのため、購入前にいくつかのポイントを確認しておくといい。
- 足幅が広めの人は、ハーフサイズ上を試すか、店頭で必ず試着すること。
- **強い接触プレーが多いポジション(DFなど)**の場合、より安定性重視のスパイクが向く。
- 天然皮革モデルは手入れ必須。雨天後はしっかり乾かし、専用クリームでケアする。
- 価格帯はやや高めだが、試合用としての性能を考えるとコストパフォーマンスは非常に高い。
向いているのは、スピード勝負を仕掛けるウィンガー、俊敏に動くアタッカー、機敏なボランチ。
瞬発力とボールタッチを両立させたいプレーヤーにこそ、このスパイクの真価が発揮される。
バージョンアップによる進化と改良点
初代XFLY PROでは「軽さと素足感覚」を前面に押し出していたが、第2世代(DS LIGHT XFLY PRO 2)では内部補強とフィット構造が進化。
さらに第3世代(DS LIGHT XFLY PRO 3)では素材そのものが刷新され、履き心地と安定性が飛躍的に向上した。
SILKYWRAP素材は、試合中に生じる微細な伸びや変形を抑制しつつ、柔らかく足を包み込む。
結果として、ボールタッチがより繊細になり、長時間プレーでも形が崩れにくい。
これは、ハードなスプリントや急な方向転換が続く試合でこそ実感できる進化だ。
また、アウトソールの設計も少しずつ改良されており、グリップ力と屈曲性のバランスがより自然になっている。
初代と比べると、地面を蹴り出した瞬間の「粘り」や「弾き」が滑らかになり、加速時の一体感が強まった印象だ。
試合用スパイクとしての価値
アシックス自身が明言しているように、XFLY PROシリーズは「試合用」として開発されたモデルだ。
軽量で繊細な素材を採用しているため、練習用として毎日酷使するには向かない。
しかし、試合のためにコンディションを整えたい選手にとって、これ以上ないパートナーになる。
試合でのプレーは、一瞬の加速やボールコントロールが勝敗を分ける。
その一瞬に全力を注ぐためのスパイクとして、XFLY PROは余計な装飾を排し、プレーヤーの動きを最大限引き出すよう設計されている。
その意味で、このモデルは単なる「高性能スパイク」ではなく、「勝負の道具」そのものだ。
アシックスXFLY PROの性能を検証して分かる結論
ここまで見てきたように、アシックス XFLY PROは単なる軽量スパイクではない。
加速、グリップ、ボールタッチ、フィット感――そのすべてが一体となって、プレーヤーのパフォーマンスを支えている。
軽いのに力が伝わる。
柔らかいのに安定する。
この相反する特性を同居させた設計こそ、アシックスの真骨頂だ。
もちろん、足型の相性や使用環境によっては向き不向きがある。
だが、「スピード」「反応」「素足感覚」を武器にしたいプレーヤーにとって、このスパイクは強力な選択肢になるだろう。
試合で履くと、自然と一歩目が速くなる。
そんな実感を得たいなら、XFLY PROは間違いなく試す価値がある。
アシックスXFLY PROが導く“勝負の一瞬”
最後にもう一度伝えたい。
アシックス XFLY PROは、単なるスポーツ用品ではなく、「プレーヤーの能力を引き出すための武器」だ。
履き心地の軽さ、加速力


