スニーカーブランドとして国内外で人気を集める「オニツカタイガー」。そのファッション性の高さから若者を中心に再注目されていますが、「株価」はどうなっているのでしょうか？実は、オニツカタイガー自体は上場企業ではなく、その親会社である「アシックス（ASICS）」が株式市場に上場しています。この記事では、アシックスの株価動向やオニツカタイガーとの関係、さらに今後の展望についてわかりやすく解説していきます。
オニツカタイガーとアシックスの関係
オニツカタイガーは、1949年に創業者・鬼塚喜八郎氏によって設立されたブランドです。当初はバスケットボールシューズを中心に展開していましたが、1977年に他社と合併し「アシックス株式会社」が誕生しました。
このときブランド名は一時的に姿を消しましたが、2000年代に入り復刻ラインとして再登場。クラシックなデザインと現代的なスタイルを融合した「MEXICO 66」や「DELEGATION CHUNK」などが人気となり、世界中で再ブレイクしました。
つまり、オニツカタイガーはアシックスの傘下ブランドとして位置づけられています。そのため、投資家が「オニツカタイガーの株価」を調べる場合、実際にはアシックス（証券コード：7936）の株価を確認する必要があります。
アシックスの株価動向と現在の状況
2025年12月初旬時点で、アシックスの株価は3,700円前後で推移しています。ここ1年間のレンジはおおよそ2,500円〜4,300円と、かなりの幅があります。
株価が上昇している背景には、オニツカタイガーを含むライフスタイル事業の好調が大きく影響しています。従来のスポーツシューズ事業だけでなく、ファッション市場への展開が成功し、収益の柱が多様化しているのです。
特に2025年上半期には、オニツカタイガーの売上が前年同期比で約50％増加し、約660億円に達したと報道されました。この数字は、ブランドが単なる「復刻」ではなく、現在進行形で成長している証拠といえるでしょう。
また、財務的にもアシックスは堅調です。自己資本比率は高く、ROE（自己資本利益率）も30％を超える水準。EPS（1株当たり利益）も着実に伸びており、企業としての安定感があります。
株価上昇の要因：オニツカタイガーのブランド力と市場戦略
アシックスの株価を支えているのは、間違いなくオニツカタイガーのブランド力です。
ここ数年、Z世代やミレニアル世代を中心にレトロスニーカーブームが再燃し、シンプルかつ上品なデザインのオニツカタイガーが「ファッションアイコン」として再評価されています。
海外ではストリートブランドとのコラボやプレミアムラインの展開も進み、アジア・ヨーロッパ・北米でブランド価値が急上昇中です。
アシックスはこの流れを捉え、ランニングなどの「パフォーマンス」領域と、オニツカタイガーが属する「ライフスタイル」領域の両輪で事業を展開。特にライフスタイル部門の比率が高まり、企業全体の収益体質が改善しています。
また、直営店舗やオンラインストアの拡充も進み、国内外での販売チャネルが多様化。これにより、為替変動や一部市場への依存を避けながら安定した成長が可能になっています。
投資家が注目すべきポイント
アシックスの株価を分析する上で注目すべきポイントは、次の4点です。
- ライフスタイル部門の成長性
オニツカタイガーを中心としたファッションラインの売上が拡大中。スポーツ事業とのバランスがとれており、リスク分散が進んでいます。 - グローバル展開の進化
海外直営店の開設やECの強化で、北米・欧州市場でも存在感を拡大。ブランド認知が急上昇しています。 - 高い収益性
ROEや営業利益率が向上し、株主還元の余地も広がっています。財務の健全性が株価の安定を支えています。 - トレンドリスクへの対応
ファッション需要に左右される側面もあるため、アシックスがどれだけブランドの「旬」を維持できるかが鍵です。限定モデルやコラボ展開など、継続的な話題づくりが求められます。
株主優待とファン層のつながり
アシックスの株主優待は、ブランドファンにとってもうれしい制度です。
オンラインストアで利用できる割引チケットが贈られ、2025年からは「オニツカタイガー公式オンラインストア」も対象に追加されました。
これにより、株主でありファンでもある層がブランドを直接応援できるようになり、投資とライフスタイルがつながるユニークな魅力を生んでいます。
ブランドを“応援しながら履く”という楽しみ方ができるのは、オニツカタイガーならではの特長といえるでしょう。
今後の展望：ブランド価値と企業価値の両立へ
今後のアシックス（オニツカタイガー）にとって重要なのは、「ブランド価値」と「企業価値」をいかに両立させるかです。
ブランド面では、限定モデルやコラボレーション、刺繍サービスなど、付加価値を高める施策がカギとなります。
また、世界的にサステナブルファッションへの関心が高まる中で、環境配慮型素材の採用や長く履けるデザインの提供なども評価されています。
企業価値の面では、グローバル市場での販売比率を拡大し、安定的な収益基盤を築くことが課題。今後は海外での認知向上とともに、為替リスクや物流コストの最適化が焦点となるでしょう。
長期的に見れば、オニツカタイガーが「ファッションブランドとしての成功」を維持し続ける限り、アシックス全体の株価にはポジティブな影響が期待されます。
オニツカタイガーの株価動向から見る投資の魅力
「オニツカタイガーの株価」として単独で存在する銘柄はありませんが、親会社であるアシックスの株価を見ることで、ブランドの勢いを間接的に知ることができます。
ライフスタイル事業の拡大、海外人気の上昇、ブランド復活の成功など、ここ数年の成長要因は明確です。
もちろん、ファッション業界特有の変動リスクや外部要因もありますが、アシックスはスポーツメーカーとしての基盤を持ちながら新たな市場を切り開く強みがあります。
オニツカタイガーが持つ独自のブランド力が今後も継続すれば、アシックスの株価は中長期的に安定した推移を期待できるでしょう。
株主優待でブランドを応援する楽しみも含めて、ファンや投資家にとって魅力ある存在。それが、今のオニツカタイガーとアシックスの関係なのです。
オニツカタイガーの株価を通して見えるブランドの未来
オニツカタイガーの株価動向を追うことは、単なる投資分析にとどまりません。そこには、日本発のブランドが世界市場で再び輝きを取り戻す物語があります。
アシックスの株価が堅調に推移しているのは、機能性とファッション性を両立させた戦略の成功を示すもの。
これからもオニツカタイガーは、レトロで洗練された魅力を保ちつつ、世界中のファンの足元を彩り続けるでしょう。
そしてその歩みが、アシックスの株価という数字にも確実に反映されていくはずです。
