スニーカー好きやファッション好きなら、一度は耳にしたことがある「オニツカタイガー」。
日本発の老舗ブランドでありながら、いまや世界中のアーティストやモデルが愛用するグローバルブランドへと成長しています。そんなオニツカタイガーを語る上で欠かせないのが、「ブランドアンバサダー」の存在です。彼らがどんな人物で、どんなメッセージを伝えているのか――その背景には、ブランドの戦略的な意図がしっかりとあります。
オニツカタイガーを象徴する存在へ。Conan Grayが語る“自分らしさ”
2024年、オニツカタイガーが発表したブランドアンバサダーとして世界的に注目されたのが、アメリカのシンガーソングライター、**Conan Gray**です。
彼は、Z世代を代表するポップアイコンとして知られ、音楽だけでなくファッションでも強い影響力を持っています。
オニツカタイガーは彼を起用するにあたり、「自分らしさを恐れず表現する姿勢」がブランドの理念と一致するとコメントしています。創業者・鬼塚喜八郎の掲げた「若者に力と希望を与える」という精神を、現代のカルチャーシーンにアップデートする象徴的な存在と言えるでしょう。
Conanが登場するキャンペーンでは、アーカイブデザインと最新コレクションをミックスしたスタイルが印象的。レトロな雰囲気の中にモダンなエッジを効かせたビジュアルは、「伝統と革新の融合」を見事に体現しています。
彼の自由で少しアンニュイな雰囲気が、オニツカタイガーの持つ“都会的で知的なストリート感”と絶妙にマッチしているのです。
TWICE MOMOが見せる「アーバンスタイル」な魅力
一方で、アジア圏を中心に圧倒的な人気を誇るアンバサダーといえば、TWICE MOMO。
2022年からブランドの顔として活動しており、彼女が着こなすオニツカタイガーのコーディネートは毎シーズン話題を呼んでいます。
2024年秋冬の「Yellow Collection」では、“アーバンウインター”をテーマにしたビジュアルで登場。シルバーやブラックを基調とした洗練されたコーディネートの中に、MOMOの持つ強さとしなやかさが見事に融合していました。
さらに2025年春夏では「Urban Beats」をテーマに、軽やかでアクティブな雰囲気の新作を着こなし、ブランドの世界観をより広げています。
MOMOの起用は単発ではなく、継続的なブランド戦略の一環。TWICE MOMOというK-POPカルチャーを通じてアジアの若者文化を世界に発信する彼女の影響力は、まさにグローバルブランドとしてのオニツカタイガーに欠かせないピースとなっています。
タイから世界へ。Gulf KanawutとBaifern Pimchanokが参加
2025年、オニツカタイガーは東南アジア市場への本格的な展開を進める中で、タイの人気俳優**Gulf Kanawutと女優Baifern Pimchanok**をアンバサダーに迎えました。
彼らは、タイ国内だけでなくアジア全体で絶大な人気を誇るスターであり、その起用は「日本ブランド × アジアカルチャー」の新しい融合を象徴しています。
Gulf Kanawutは落ち着いた大人の雰囲気と都会的な感性を持ち、Baifern Pimchanokは上品さと芯の強さを兼ね備えた存在。2人のスタイリングはそれぞれ異なる個性を持ちながらも、オニツカタイガーが提案する“アジアンモダン”な美学を見事に表現しています。
この取り組みは、アジア全域におけるブランド認知を広げると同時に、地域ごとの文化や感性を尊重する姿勢を打ち出す重要な一歩です。
過去にはWillow Smithも。グローバル化の始まりを告げた起用
オニツカタイガーがアンバサダー戦略を本格的に始めたのは、2020年の**Willow Smith**の起用からとも言われています。
当時、Willow Smithはストリートとハイファッションを自在に行き来する次世代のファッションアイコンとして注目を集めており、彼女の存在がブランドのグローバル化を強く後押ししました。
この頃から、オニツカタイガーは単なるスニーカーブランドではなく、「カルチャーと共鳴するファッションブランド」へと明確に舵を切っています。
スポーツや機能性にとどまらず、音楽・アート・ストリートの文脈を取り入れることで、“履く文化”から“生きるスタイル”へと進化していったのです。
アンバサダー戦略に込められたブランドの哲学
アンバサダーの顔ぶれを見ても分かる通り、オニツカタイガーは単に人気者を起用しているわけではありません。
共通しているのは、「自分らしさ」「自由」「多様性」という価値観を持つ人々であることです。
Conan Grayの自由な自己表現、TWICE MOMOのアジアカルチャーの発信、Gulf KanawutやBaifern Pimchanokの地域文化との融合――それぞれがブランドの異なる側面を体現しています。
この多様な顔ぶれを並べることで、オニツカタイガーは「どんな人でも自分のスタイルを楽しめるブランド」であるというメッセージを世界に発信しているのです。
また、こうした戦略の背景には、創業75周年を迎えたブランドの新たな挑戦もあります。
伝統を守りながらも、現代の価値観や感性に寄り添うこと。そのために、アンバサダーたちは“ブランドの語り手”としての役割を担っています。
SNSとファッションメディアをつなぐ新しいコミュニケーション
オニツカタイガーは、アンバサダーを通じてSNSやデジタルメディアでの発信にも力を入れています。
特にConan GrayやTWICE MOMOのキャンペーンビジュアルはInstagramやYouTubeを中心に拡散され、ファンによる二次的な投稿（リポストやコーデ再現）も多く見られます。
この「拡散性」は、現代のファッションブランドにとって大きな価値。広告よりも自然な形でファン同士がつながり、ブランドへの共感が広がる仕組みをつくっています。
また、オニツカタイガー公式サイトの「MAGAZINE」コンテンツでは、アンバサダーのインタビューやスタイリング写真を通じて、コレクションの世界観を丁寧に紹介しています。こうした発信が、単なる商品の宣伝ではなく“ストーリーの共有”として機能しているのです。
オニツカタイガーが目指す未来像
アンバサダー戦略は、オニツカタイガーの「これから」を映し出す鏡でもあります。
日本のクラフトマンシップを土台にしつつ、国や文化の垣根を越えて新しい価値を創造する。それが、同ブランドが掲げる次世代へのビジョンです。
今後は、各地域のアンバサダーとのコラボレーションを通じて、限定コレクションや地域特化のキャンペーンも期待されます。
また、アパレルラインの拡充やサステナブル素材の採用など、ファッションブランドとしての成熟も進むでしょう。
オニツカタイガーは、過去の遺産に甘んじることなく、常に変化を恐れず挑戦を続けています。
その姿勢こそが、世界中のファンを惹きつけてやまない理由なのかもしれません。
オニツカタイガーのアンバサダーは誰？著名人コーデとブランド戦略を紹介
改めて振り返ると、オニツカタイガーのアンバサダーには共通点があります。
それは、みな“自分の生き方や表現”を通して、ブランドの価値を体現していること。
Conan Grayは自由を、TWICE MOMOは躍動を、Gulf KanawutとBaifern Pimchanokは多文化の共存を、それぞれの方法で伝えています。
オニツカタイガーのアンバサダー戦略は、単なる広告ではなく、ブランドと人と文化を結ぶ“物語”のようなもの。
そこにあるのは「個性を大切にしながら、世界をひとつにする」という静かなメッセージです。
これからも、どんな新しい顔が登場するのか――その展開から目が離せません。
