「おしゃれは足元から」と言いますが、ビジネスシーンや冠婚葬祭で最も頼りになるのは、やはり「黒の革靴」ですよね。しかし、毎日履いていると、いつの間にかつま先が白っぽく擦れていたり、全体的にツヤがなくなって疲れた印象に見えてしまうことも……。
そんな黒靴の輝きを蘇らせるために欠かせないのが、黒色専用の靴クリームです。
「黒ならどれも同じじゃないの?」と思われがちですが、実は成分や仕上がりの「黒さ」には大きな違いがあります。今回は、黒の革靴に最適なクリームの選び方から、深い傷を隠すプロ直伝のテクニック、そして今すぐ欲しくなるおすすめのクリーム10選まで、徹底的に解説していきます。
この記事を読み終える頃には、あなたの黒靴が見違えるほど凛とした表情を取り戻しているはずです。
なぜ黒の革靴には「黒いクリーム」が必要なのか?
革靴のお手入れ(靴磨き)を始めようとしたとき、最初に悩むのが「無色(ニュートラル)」と「黒」のどちらを買うべきかという点です。
結論から言うと、黒靴を美しく保ちたいのであれば、絶対に黒色のクリームを1つは持っておくべきです。
無色のクリームは、革に潤いを与えるという点では優秀ですが、革の表面についた「擦れ跡」や「色落ち」をカバーする力はありません。黒い革靴は、ぶつけたり擦れたりすると、その部分の銀面(表面)が削れて下地の白っぽい色が見えてしまいます。
ここに黒のクリームを塗り込むことで、染料や顔料が色を補い、傷を目立たなくさせてくれるのです。また、黒専用のクリームを使うことで、黒色に深みが増し、全体が引き締まって見える効果もあります。
もちろん、新品の状態や大きな傷がない場合は無色でも十分ですが、「黒をより黒く、シャープに見せたい」というビジネスマンのこだわりに応えてくれるのは、やはり黒色クリームなのです。
黒の革靴用クリームを選ぶための3つのポイント
一口に靴クリームと言っても、ビンに入ったものからチューブタイプまで様々です。まずは、自分の靴の状態や「どう仕上げたいか」に合わせて選ぶための基準を知っておきましょう。
1. 「乳化性」か「油性」かを見極める
靴クリームは、大きく分けて「乳化性」と「油性」の2タイプがあります。
- 乳化性クリーム水分、油分、ロウ分がバランスよく配合されています。革に水分を補給して柔らかさを保つ「栄養補給」が主な役割です。伸びが良く、初心者でもムラになりにくいため、日常的なケアにはまずこれを選びましょう。
- 油性クリーム水分を含まず、油分とロウ分、そして高濃度の着色剤で作られています。乳化性よりも光沢が強く、色を乗せる力が非常に高いのが特徴です。「傷をしっかり隠したい」「とにかくピカピカにしたい」という時に真価を発揮します。
2. 「顔料」と「染料」の違いを知る
黒の濃さにこだわるなら、色の成分にも注目してみてください。
- 染料タイプ革の内部に色が浸透していくタイプです。透明感のある仕上がりになり、革本来の風合いを活かしながら黒さを補います。
- 顔料タイプ革の表面に色が乗るタイプです。補色力が非常に強く、つま先の擦れや、かなり使い込んだ靴の色あせをカバーするのに向いています。
3. 黒の「トーン」を意識する
実は、ブランドによって「黒」の色味は微妙に異なります。青みがかったクールな黒、赤みのある温かい黒、吸い込まれるような漆黒など。基本的にはどれを使っても大きな失敗はありませんが、自分の靴の黒味に一番近いものを選ぶと、より自然で高級感のある仕上がりになります。
黒の革靴におすすめのクリーム10選
それでは、プロも愛用する信頼のブランドから、使い勝手抜群のアイテムを10個厳選してご紹介します。
1. サフィールノワール クレム1925(ブラック)
サフィールノワール クレム1925靴磨き愛好家の中で「最高峰」と称されるのが、このクレム1925です。油性でありながら、シアバター配合で栄養補給もできるという優れもの。顔料の濃度が非常に高く、色あせた黒靴に一塗りで深いコクと圧倒的な光沢を与えてくれます。迷ったらこれ、と言える逸品です。
2. M.モゥブレィ シュークリームジャー(ブラック)
M.モゥブレィ シュークリームジャー乳化性クリームの代表格です。非常に伸びが良く、ベタつきが少ないのが特徴。水分量が多いため、乾燥して硬くなった革をほぐすのにも適しています。ナチュラルなツヤを好む方や、こまめにメンテナンスをしたい方にぴったりです。
3. コロンブス ブートブラック アーティストパレット(ブラック)
ブートブラック アーティストパレット日本の老舗、コロンブスが手掛けるハイエンドライン。アルガンオイルを配合した油性クリームで、繊細な輝きと高い補色力を両立しています。上品な漆黒を表現したい、こだわり派のあなたにおすすめです。
4. サフィール ビーズワックスファインクリーム(ブラック)
サフィール ビーズワックスファインクリームコストパフォーマンスと性能のバランスが素晴らしい乳化性クリームです。ミツロウ(ビーズワックス)を配合しており、磨き込むことで上品な光沢が出ます。日常使いのビジネスシューズのケアに最適です。
5. コロンブス 靴クリーム(ブラック)
コロンブス 靴クリームドラッグストアや靴店で最も手に入りやすく、日本人の足元を支え続けてきた定番品。親しみやすい価格ながら、補色力もしっかりしており、安心して使える実力派です。
6. M.モゥブレィ プレステージ リッチデリケートクリーム
M.モゥブレィ リッチデリケートクリーム厳密には黒専用ではありませんが、黒靴の「下地作り」に最高です。アボカドオイルなどの天然成分が革の深部まで浸透します。黒のクリームを塗る前にこれを使うと、革がモチモチになり、その後の黒クリームのノリが劇的に良くなります。
7. タピール レーダーフレーゲ(ブラック)
タピール レーダーフレーゲ天然素材にこだわるドイツのブランド。柑橘系の爽やかな香りが特徴で、室内で靴磨きをしても嫌な匂いがしません。自然な黒さを維持したい、ナチュラル志向の方に支持されています。
8. コロンブス ブートブラック シュークリーム(ブラック)
ブートブラック シュークリームプロのシューシャイナーの要望に応えて作られた乳化性クリーム。粒子が細かく、革の表面に均一に広がるため、非常にキメの細かい光沢が得られます。
9. サフィール レノベイティングカラー補修クリーム(ブラック)
サフィール レノベイティングカラー「クリーム」というよりは、傷を隠すための「修正液」に近いアイテムです。つま先をぶつけて革がめくれてしまった時など、深い傷の補修に。これを薄く塗ってから通常のクリームで仕上げると、傷がどこにあったか分からなくなるほどのカバー力があります。
10. ダスコ プレミアムシュークリーム(ブラック)
ダスコ プレミアムシュークリームイギリスの老舗ブランドが手掛ける、浸透性の高い乳化性クリーム。しっとりとした質感を重視する英国靴との相性が良く、落ち着いた大人のツヤを演出してくれます。
傷を隠して美しく仕上げる!プロ直伝の塗り方ステップ
良いクリームを手に入れたら、次は塗り方です。特に黒靴は、塗りすぎると「ベタつき」や「色移り」の原因になるので注意が必要です。
ステップ1:ホコリを徹底的に落とす
まずは馬毛ブラシを使って、表面のホコリや砂を払い落とします。黒い靴は白いホコリが目立つので、コバ(靴の縁)やシワの間まで念入りに。
ステップ2:古い汚れとクリームをリセット
ステインリムーバーなどのクリーナーを布に取り、以前塗ったクリームや汚れを優しく拭き取ります。これを怠ると、古いクリームが層になって革がひび割れる原因になります。
ステップ3:クリームは「少量」を「叩き込む」
ここが重要です。クリームをペネトレイトブラシという小さなブラシに取り、米粒3粒分くらいの量を靴全体に広げます。
傷がある部分は、ブラシの先でトントンと叩くようにして、隙間に黒い成分を埋め込んでいくイメージで塗りましょう。
ステップ4:豚毛ブラシでマッサージ
豚毛ブラシを使い、力強くブラッシングします。これにより、クリームが革の繊維の奥まで浸透し、余分なクリームが弾き出されます。この工程で、鈍い光沢がパッと明るくなります。
ステップ5:念入りな乾拭きで仕上げる
最後に、清潔な柔らかい布(使い古したTシャツでも可)で表面を磨き上げます。黒いクリームは服に付きやすいため、表面に余分な油分が残らないよう、サラサラになるまでしっかり拭き取るのがコツです。
黒の革靴クリームを使いこなして足元に自信を!
黒の革靴は、手入れをすればするほど、持ち主の品格を映し出す鏡のような存在になります。
お気に入りのクリームを見つけ、定期的にケアをすることで、数年履いた靴であっても「新品ですか?」と聞かれるような美しさを保つことができます。特に黒色に関しては、補色力の高いアイテムを使いこなすことで、不意についてしまった傷さえも勲章のように美しくカバーできるのです。
「最近、靴がくたびれてきたな」と感じたら、それは買い替え時ではなく、お手入れのサイン。ぜひ今回ご紹介したクリームを手に取って、あなたの相棒である黒靴に新しい命を吹き込んであげてください。
しっかりとしたケアで仕上げられた黒の革靴クリームの力は、あなたのビジネスや大切な一日を、足元から力強く支えてくれるはずです。
次は、鏡面磨き用のワックスを使って、つま先をさらに輝かせる方法に挑戦してみるのも楽しいですよ。


