「革靴を買ったけれど、紐がぐちゃぐちゃでどうすればいいのか分からない」
「朝、急いでいるのに紐がうまく締まらなくてイライラする」
「冠婚葬祭にふさわしい紐の通し方って、マナー違反になっていないかな?」
そんな悩み、実は多くのビジネスマンが抱えています。革靴の印象は、磨き具合だけでなく「紐の通し方」ひとつで劇的に変わるものです。ピシッと美しく並んだ紐は、それだけで清潔感と信頼感を演出してくれます。
今回は、初心者の方でも絶対に失敗しない革靴の靴紐の通し方を徹底解説します。フォーマルの定番から、疲れにくい実用的な方法まで、これ一冊でマスターできる内容にまとめました。
なぜ革靴の紐の通し方にこだわるべきなのか
おしゃれは足元からと言われますが、その足元の中心にあるのが靴紐です。適当に通された紐は、だらしない印象を与えるだけでなく、靴本来のフィット感を損なわせてしまいます。
適切な通し方をマスターするメリットは3つあります。
- 見た目の清潔感とマナー:冠婚葬祭や重要な商談で恥をかきません。
- 足の疲労軽減:正しい通し方は圧力を分散し、長時間の歩行を楽にします。
- 靴の寿命を延ばす:変なシワが寄るのを防ぎ、革を美しく保ちます。
せっかく良い革靴を手に入れても、紐が正しくなければ宝の持ち腐れです。まずは基本から押さえていきましょう。
迷ったらこれ!最もフォーマルな「シングル」
ビジネスシーンや結婚式、葬儀などで最も推奨されるのが「シングル」という通し方です。表側に紐が横一文字に並び、見た目が非常にすっきりと仕上がるのが特徴です。
シングルの手順(5穴・6穴共通)
シングルを美しく仕上げるコツは、最初に左右の紐の長さを「あえて非対称にする」ことです。
- スタート:つま先側の一番下の穴に、表から裏へ紐を通します。このとき、片方を短く、もう片方を長くしておきます。
- 短い方の紐:内側の裏を通って、そのまま足首側の一番上の穴へ、裏から表へ一気に通します。これでこの紐の役割は終わりです。
- 長い方の紐:この紐だけを使って、ジグザグに横一文字を作っていきます。
- 横への移動:一つ上の穴の裏から表へ出し、真横の穴へ表から裏へ差し込みます。
- 繰り返し:これを最上部まで繰り返します。
シングルは構造が単純なので、脱ぎ履きするときに紐を緩めやすいのが魅力です。ただし、片方の紐だけで締め上げるため、ホールド力はやや控えめ。内羽根式のドレスシューズには最高の相性です。
長時間歩くビジネスマンの味方「パラレル」
「シングルだと足が痛くなりやすい」「もっとしっかり足を固定したい」という方には、「パラレル」がおすすめです。見た目はシングルと同じく横一文字になりますが、構造が異なります。
パラレルのメリットとやり方
パラレルは裏側で紐が交差するため、弾力性が生まれます。これが歩行時の足の動きに合わせて伸縮してくれるので、甲への圧迫感が分散されるのです。
- 下準備:一番下の穴に表から裏へ紐を通し、左右の長さを同じにします。
- 右の紐:一段飛ばして「2つ上」の穴に裏から表へ通し、真横の穴へ入れます。
- 左の紐:空いている「1つ上」の穴に裏から表へ通し、真横の穴へ入れます。
- 交互に進む:これを繰り返すと、裏側で紐が一段飛ばしに交差していきます。
パラレルは、外回りの多い営業職の方や、革が硬くて足が痛いと感じる新品の靴に最適な通し方です。
カジュアルな外羽根靴なら「オーバーラップ」
もしあなたが、少しカジュアルなUチップやプレーントゥを履いているなら、「オーバーラップ」という選択肢もあります。
スニーカーでよく見かける通し方ですが、これを革靴で行うとアクティブで力強い印象になります。左右の紐を交互に「表から裏へ」通していく方法です。締め付けが非常に強く、足との一体感が増すため、ワークブーツなどにも適しています。
ただし、ビジネススーツに合わせる内羽根のストレートチップには、少しカジュアルすぎて不向きな場合もあるので注意してください。
5つ穴(奇数)で紐の長さが合わない時の解決策
多くの革靴は5つ穴(片側に穴が5つ)です。この「奇数」というのが厄介で、普通に通すと最後の一段で紐の長さが極端に余ったり、通し方が成立しなかったりします。
奇数穴を攻略するコツ
シングルで通す場合、最下段で左右の長さを調整する際に、完成形をイメージして「長い方の紐が往復する回数」を計算に入れなければなりません。
もし、最後の一段でどうしても変になってしまう場合は、一番下の段で「片方だけ一段飛ばす」か、あるいは「裏側で斜めに1段通す」ことで調整が可能です。見た目には影響しない裏側でこっそり調整するのが、靴好きの間では常識となっています。
靴紐選びで失敗しないためのポイント
通し方と同じくらい大切なのが、靴紐そのものの質です。紐がボロボロだと、どんなに高価な靴を履いていても台無しです。
紐の種類と選び方
革靴には一般的に「平紐」と「丸紐」があります。
- 平紐:ほどけにくく、カジュアルな印象。
- 丸紐:ドレッシーで上品。フォーマル靴は基本的にこれ。
また、紐には「蝋引き(ろうびき)」加工がされているものが多いです。これは紐にパラフィンを染み込ませたもので、光沢が出て耐久性が増します。最初は硬くて結びにくいですが、馴染むと解けにくくなり、見た目の高級感が段違いです。
靴紐 革靴用新しく紐を買うときは、必ず長さを確認してください。
- 4〜5穴:75cm〜80cm
- 6穴以上:90cm以上
長すぎるとリボンが大きくなりすぎて不格好ですし、短すぎると結べません。自分の靴の穴の数を数えてから購入しましょう。
紐が解けてしまうストレスを解消する「ベルルッティ結び」
「せっかく綺麗に通したのに、歩いているうちにすぐ解けてしまう」
そんな悩みを持つ方に、ぜひ試してほしいのが「ベルルッティ結び」です。
高級靴ブランドとして有名なベルルッティが推奨している方法で、見た目は普通の蝶結びとほとんど変わりませんが、驚くほど解けません。
ベルルッティ結びの手順
- 最初のひと結びをするとき、さらにもう一周くぐらせて「二重」にします。
- 蝶結びの輪を作り、反対側の紐を巻き付ける際にも「二重」にして通します。
これだけで、摩擦力が格段に上がり、一日中歩いても解ける心配がなくなります。それでいて、解くときは両端を引っぱればスルッと解けるのが魔法のようです。
靴磨きのときこそ、紐をすべて外すべき理由
革靴のお手入れをする際、紐をつけたままクリームを塗っていませんか?実は、紐を通したままだと、羽根の重なり部分やタン(舌革)の汚れが落ちず、革が乾燥してひび割れる原因になります。
月に一度の本格的な靴磨きの際は、必ず紐をすべて外しましょう。
紐を外すと、普段は見えない部分のホコリが驚くほど溜まっていることに気づくはずです。そこをブラッシングし、保湿クリームを塗ることで、靴は10年、20年と長持ちします。
外した紐も、もし汚れていれば軽く水洗いするか、新しいものに交換する良い機会になります。
左右の紐の長さを完璧に揃える裏ワザ
通し終わった後に「片方だけ長すぎる!」となるのは、革靴あるあるです。これを防ぐには、最初の第一歩がすべてです。
つま先側の最初の穴に紐を通した直後、靴の両脇で紐の端を揃え、靴の中心(タンの中央)でピンと張ってみてください。ここで1ミリのズレもなく揃えておくことが、最終的な仕上がりを左右します。
シングルの場合は前述の通り非対称にしますが、パラレルやオーバーラップの場合は、この「最初のセンター出し」を徹底するだけで、やり直しの手間がゼロになります。
革靴の靴紐の通し方完全ガイド!シングル・パラレルの手順と失敗しないコツを解説
いかがでしたでしょうか。革靴の紐の通し方は、単なる作業ではなく、靴への愛情を注ぐ大切なプロセスです。
最初は少し難しく感じるかもしれませんが、一度覚えてしまえば一生モノのスキルになります。鏡の前でネクタイを整えるように、玄関を出る前に足元の紐をチェックしてみてください。
ピシッと整った紐は、あなたの歩みを軽くし、周囲からの評価もそっと押し上げてくれるはずです。まずは今日、手持ちの靴を一足だけ紐を解いて、今回紹介した方法で通し直してみませんか?
その一歩が、あなたのビジネススタイルをより洗練されたものに変えてくれるでしょう。


