「長年愛用してきた革靴だけど、今の色に飽きてしまった」「擦れや色あせが目立つから、いっそ別の色に塗り替えたい」と思ったことはありませんか?お気に入りの一足を、まるで新品の別の靴のように生まれ変わらせることができるのが「染め替え(カラーチェンジ)」の魅力です。
でも、「自分でやって失敗したら怖い」「プロに頼むといくらかかるの?」と不安を感じる方も多いはず。そこで今回は、革靴の色を変えるための具体的なステップや、失敗しないための注意点、さらにはプロに依頼した際の費用相場まで、知っておきたい情報をすべてまとめました。
そもそも革靴の色を変えることは可能なのか?
結論から言うと、本革の靴であれば色を変えることは十分に可能です。ただし、どんな色からでも自由自在に変えられるわけではありません。成功させるためには、革の特性と染色のルールを知っておく必要があります。
基本は「薄い色から濃い色」へ
染色の鉄則は、元の色よりも濃い色を重ねることです。例えば、ライトブラウンの靴をダークブラウンや黒に変えるのは比較的スムーズに行えます。
一方で、黒い靴を明るい茶色や白に変えるのは、基本的には不可能だと考えてください。革の内部に浸透した黒い色素を完全に抜くことはできないため、上から明るい色を塗っても色が濁ったり、すぐに剥がれたりしてしまいます。
染め替えができる素材・できない素材
もっとも染め替えに適しているのは「スムースレザー(表革)」です。銀面と呼ばれる革の表面があるタイプですね。一方で、合成皮革やエナメル、ガラスレザーといった表面が樹脂でコーティングされている素材は、染料が中まで浸透しないため、自分での染め替えには向いていません。これらを無理に染めようとしても、色が定着せずに斑点状になってしまうことが多いため注意が必要です。
自分で革靴の色を変える(DIY)ための準備と手順
「自分でやってみたい!」というDIY派の方に向けて、必要な道具と手順を詳しく解説します。セルフで行う最大のメリットは、数千円程度のコストで自分の思い通りの色に挑戦できることです。
揃えておきたい道具
まずは、以下のアイテムを準備しましょう。
- 強力なリムーバー(脱脂剤):革の表面にある古いクリームやワックス、仕上げ剤を剥がすために必須です。サフィール レノマットリムーバーなどが定番です。
- 革用染料:アルコール染料や水性染料があります。発色が良く扱いやすいサフィール ダイフレンチや、手軽なスピランが人気です。
- 筆・スポンジ:広い面はスポンジ、細かい部分は筆を使い分けると綺麗に仕上がります。
- 仕上げ剤(色止め):染料だけだと服に色が移ってしまうため、最後にコーティングをします。
- メンテナンスクリーム:染色で乾燥した革に栄養を与えるための靴クリームを用意してください。
- その他:ゴム手袋、新聞紙、マスキングテープ(ソールなどを守るため)。
染め替えの具体的ステップ
1. 徹底的なクリーニングと脱脂
ここが仕上がりを左右する最重要工程です。サフィール レノマットリムーバーを布に含ませ、革の表面を拭き取ります。元の色が少し落ち、表面のツヤがなくなって「マットな質感」になるまでしっかり落としてください。これを怠ると、染料が弾かれてムラの原因になります。
2. 養生(マスキング)
靴のソール(底)や内側のライニング、ブランドロゴなど、染めたくない部分にマスキングテープを貼ります。
3. 染色の実施
染料をスポンジや筆に含ませ、薄く塗り広げていきます。一度に濃く塗ろうとせず、「薄く塗って乾かす」を2〜3回繰り返すのがコツです。履きジワの部分は色が入りにくいので、重点的に丁寧に塗り込みましょう。
4. 乾燥と色止め
風通しの良い日陰で、丸一日(24時間以上)しっかりと乾燥させます。その後、仕上げ剤を塗布して色が定着するように保護します。
5. 最終メンテナンス
染料や脱脂剤を使った後の革は、非常に乾燥してデリケートな状態です。最後は必ず、保湿力の高い靴クリームでしっかりと栄養を補給し、ブラッシングでツヤを出して完成です。
失敗したくないならプロへ!専門業者の費用とメリット
「高価なブランド靴だから失敗したくない」「プロ並みの仕上がりを求めたい」という方は、靴修理の専門店に依頼するのがベストな選択です。
プロに頼むメリット
プロの職人は、革の状態を見極めて最適な薬剤を選んでくれます。また、自分では難しい「グラデーション塗装(アンティーキング)」や、糸(ステッチ)を染めないような細かい作業も対応可能です。専用の乾燥機を使うため、セルフで行うよりも色落ちのリスクが大幅に低いのも大きな利点です。
費用の目安と納期
業者によって価格は異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。
- 短靴の全体染め替え:約8,000円 〜 15,000円
- ブーツの全体染め替え:約12,000円 〜 20,000円
- 部分的な補修・染め直し:約4,000円 〜 7,000円
納期は通常、2週間から1ヶ月程度かかることが多いです。じっくり時間をかけて乾燥と定着を繰り返すため、余裕を持って依頼しましょう。
革靴の色を変える際のリスクと注意点
色を変えることは楽しいカスタマイズですが、いくつか覚えておくべきリスクもあります。
ステッチ(縫い糸)は染まらないことが多い
多くの革靴の縫い糸にはポリエステルなどの化学繊維が使われています。革用の染料は天然皮革には反応しますが、化学繊維には色が入りにくい性質があります。茶色の靴を黒く染めた際、糸だけが茶色く残る「コントラストステッチ」のような状態になることが多々あります。これを「味」と捉えるか、「違和感」と捉えるかは事前に考えておきましょう。
雨の日の色落ちリスク
特にセルフで染めた場合、激しい雨に濡れると染料が溶け出し、靴下やスラックスの裾に色が移ってしまうことがあります。染めた後は、普段よりも念入りに撥水スプレー等で保護することを忘れないでください。
染め替え後のアフターケアで美しさをキープする
せっかく綺麗に色を変えたなら、その状態を長く維持したいですよね。染め替え後の靴は、通常よりも少しだけ手厚いケアが必要です。
定期的に靴クリーナーで表面の汚れを落とし、その靴の新しい色に合わせた色付きの靴クリームを使用してください。色付きのクリームを使うことで、歩行時にできた小さな擦り傷や色抜けをその都度補修でき、深みのある色合いを保つことができます。
また、革の柔軟性が失われないよう、デリケートクリームを併用して内側までしっかり保湿することを心がけましょう。
まとめ:革靴の色を変える方法は?自分での染め替え方から業者の費用相場まで徹底解説!
革靴の色を変えるという選択は、ただの修理を超えた「自分だけの一足」を作るクリエイティブな作業です。
手軽に安く、愛着を持って作業したいならDIYで。
サフィール レノマットリムーバーやスピランを揃えて、丁寧に手順を踏めば、驚くほど印象が変わるはずです。
一方で、大切な一生モノの靴であれば、プロの技術に頼るのが賢明です。1万円前後の投資で、また数年、十数年と楽しく履き続けられるようになります。
「もう履かないかも」と思っていた下駄箱の隅の革靴も、色を変えるだけで一軍の主力に復帰するかもしれません。ぜひ、今回の記事を参考に、理想のカラーチェンジに挑戦してみてくださいね。


