「革靴を買ったけれど、最初から通してある紐のままでいいのかな?」
「大事な結婚式があるけれど、マナーとして正解の通し方はどれ?」
「歩いているとすぐに足が痛くなる。紐の通し方で解決できる?」
そんな悩みをお持ちではありませんか。実は、革靴の紐の通し方は単なる「靴の固定」以上の役割を持っています。
見た目の美しさを左右するだけでなく、歩行時の安定感や、脱ぎ履きのしやすさまで劇的に変わるからです。スニーカーと同じ感覚で通していると、せっかくの高級な革靴もどこか野暮ったく見えてしまうかもしれません。
この記事では、初心者の方でも今日から実践できる革靴の紐の通し方を徹底的に解説します。シーン別の選び方から、足の痛みを軽減するコツまで、これ一冊で「紐の達人」になれる情報をお届けします。
なぜ革靴の紐の通し方にこだわるべきなのか
おしゃれは足元からと言いますが、その足元の中でも「紐」は意外と目立つポイントです。
革靴には、大きく分けて「内羽根(うちばね)」と「外羽根(そとばね)」という2つの構造があります。内羽根はよりフォーマル、外羽根は少しカジュアル寄りという特徴がありますが、それぞれの魅力を最大限に引き出すのが紐の通し方なのです。
また、日本は欧米に比べて靴を脱ぎ履きする機会が多い文化です。居酒屋での宴会や、訪問先での挨拶など、サッと緩めてパッと締められる通し方を知っておくと、立ち振る舞いまでスマートに見えます。
さらに、足の形は人それぞれです。甲が高い人、幅が広い人。自分に合った通し方をマスターすることは、靴擦れや足の疲れを防止する最も手軽なメンテナンスとも言えるでしょう。
冠婚葬祭・ビジネスの正解!「シングル」の通し方
まず最初にマスターすべきなのが「シングル」です。ビジネスシーンや、結婚式・葬儀といったフォーマルな場では、この通し方が「正解」とされています。
シングルの最大の特徴は、表面に並ぶ紐がすべて平行(横一文字)に見えることです。余計な斜めのラインが見えないため、非常にスッキリとした、清潔感のある印象を与えます。
シングルの手順
- 左右の一番下の穴(つま先側)に、表から紐を通します。
- 片方の紐(A)を、そのまま反対側の最上段の穴へ裏から通します。この紐は最後のリボン結びまで使いません。
- もう片方の紐(B)を、一つ上の穴へ裏から出し、そのまま真横の穴へ表から入れます(横一文字を作る)。
- これを最上段まで繰り返します。
この方法のメリットは、見た目が美しいだけでなく、片方の紐を引くだけで全体がスルスルと緩むため、脱ぎ履きが非常に楽な点にあります。ただし、左右非対称に紐を通すため、ホールド感はやや控えめです。
外回りや長時間歩行に最適!「パラレル」の通し方
「見た目はシングルがいいけれど、もっとしっかり足を固定したい」という方には「パラレル」がおすすめです。
パラレルも表面は横一文字に並びますが、裏側での紐の通り方がシングルとは異なります。紐を一段飛ばしで交差させていくため、左右均等に力がかかりやすく、フィット感が向上します。
パラレルの手順
- 一番下の穴に表から紐を通し、長さを左右均等にします。
- 右側の紐を、一つ飛ばした「右側3段目」の穴に裏から出し、真横の左3段目の穴へ表から入れます。
- 左側の紐を、一つ上の「左側2段目」の穴に裏から出し、真横の右2段目の穴へ表から入れます。
- これを交互に繰り返し、最上段まで進めます。
パラレルは、外羽根式の靴でよく用いられます。しっかりと羽根が締まるため、歩行時に靴の中で足が遊んでしまうのを防いでくれます。営業職など、歩く距離が長いビジネスマンにとって、パラレルは心強い味方になるはずです。
安定感抜群のカジュアルスタイル!「オーバーラップ」
ここまではフォーマルな通し方を見てきましたが、次は実用性重視の「オーバーラップ」です。
これは紐を穴の「上(表)」から「下(裏)」へ交互に通していく方法で、スニーカーの初期状態に多いスタイルです。見た目はバッテンが重なる形になります。
オーバーラップのメリット
オーバーラップの凄さは、その「緩みにくさ」にあります。上から下に紐を押し込む形になるため、歩いている最中に紐が緩んでくることがほとんどありません。
カジュアルな革靴や、サフィール 靴紐のような少し太めの紐を使うワークブーツ、あるいはレザースニーカーに最適です。ジャケパンスタイルなど、少し着崩したコーディネートの時にも、足元に程よいボリューム感を出してくれます。
甲高の人に優しい履き心地!「アンダーラップ」
「どうしても足の甲が圧迫されて痛い」という悩みを抱えているなら、「アンダーラップ」を試してみてください。
オーバーラップとは逆に、紐を穴の「下(裏)」から「上(表)」へ通していく方法です。
アンダーラップが選ばれる理由
紐が下から上へ抜けるため、足の甲に対する圧迫が分散されやすく、遊びが生まれやすくなります。履いているうちに自分の足の形に合わせて紐が動いてくれるため、馴染むまで時間がかかる硬い革靴にも向いています。
また、V字型に紐が開くような見た目になるため、足元を軽やかな印象に見せたい時にも有効です。
意外と知らない!靴紐の種類と選び方のコツ
通し方をマスターしたら、次は「紐そのもの」にもこだわってみましょう。紐を変えるだけで、同じ靴でも全く別の表情を見せてくれます。
丸紐 vs 平紐
- 丸紐: ドレスシューズの定番です。穴との摩擦が少なく、シングルやパラレルが通しやすいのが特徴です。コロンブス 靴紐 丸紐のように、細くて光沢のあるものを選ぶと、よりドレッシーな雰囲気になります。
- 平紐: ワークブーツやカジュアルシューズに合います。面で足を抑えるため、食い込みにくく、長時間の歩行でも疲れにくいメリットがあります。
蝋引き(ろうびき)の魅力
革靴の紐を触ると、少しベタつきや硬さを感じることがあります。これは紐に「蝋(ワックス)」を染み込ませているためです。
蝋引き紐は、毛羽立ちを抑えて高級感を出すだけでなく、結び目がほどけにくくなるという実用的なメリットもあります。フォーマルな一足には、ぜひ高品質な蝋引き紐を選んでみてください。
紐を通す時にやってはいけない3つのNG
せっかくの通し方も、基本を間違えると台無しになってしまいます。以下の3点には注意しましょう。
- 左右の長さがバラバラ:最後にリボン結びをした時、片方だけ極端に長いとかっこ悪くなってしまいます。通し始める前に、必ず左右の長さを揃えるか、シングルの場合は計算して通し始めましょう。
- 紐がねじれている:穴を通る際、紐がくるっとねじれてしまうことがあります。特に平紐や、光沢のある丸紐では目立ちます。一段通すごとに指でねじれを直すひと手間が、仕上がりの美しさを左右します。
- 締めすぎ・緩めすぎ:「脱ぎ履きが面倒だから」とガバガバに緩めていると、靴の中で足が動き、かかとが擦れてしまいます。逆に締めすぎると血行が悪くなり、足がむくむ原因になります。立ち上がった状態で、心地よいフィット感があるか確認しましょう。
靴磨きのタイミングは「紐を外す」チャンス
靴のお手入れをする際、紐を通したままクリームを塗っていませんか?
実は、紐の下にある「タン(ベロ)」の部分には、想像以上に埃や砂が溜まっています。
月に一度の本格的なケアの際は、思い切って紐をすべて外しましょう。
紐を外すことで、モゥブレィ ステインリムーバーなどのクリーナーで隅々まで汚れを落とすことができ、革の寿命を延ばすことにつながります。
また、外した紐が汚れていたり、先端のプラスチック(アグレット)が割れていたりしたら、それは交換のサインです。新しい紐に変えるだけで、くたびれた靴も驚くほどシャキッとした表情を取り戻します。
まとめ:自分にぴったりの通し方を見つけよう
革靴の紐の通し方は、単なるマナーの問題だけではありません。自分の足の形を知り、その日の予定や服装に合わせて最適な方法を選ぶ「大人の嗜み」なのです。
- 迷ったら「シングル」: 最もフォーマルで美しく、脱ぎ履きも楽。
- 歩く日は「パラレル」: 均等な締まり心地で疲れにくい。
- 休日は「オーバーラップ」: ほどけにくく、カジュアルに楽しめる。
- 痛みがあるなら「アンダーラップ」: 甲への優しさを優先。
たかが紐、されど紐。
シューツリーで形を整えるのと同じくらい、紐の通し方に気を配ることで、あなたの革靴ライフはもっと快適で、もっと誇らしいものになるはずです。
まずは今履いている靴の紐を一度全部抜いて、今回ご紹介した方法で一から通し直してみてください。指先に伝わる締め心地の変化に、きっと驚くはずですよ。
革靴の紐の通し方完全ガイド!初心者でも失敗しない結び方の種類と手順を徹底解説を最後までお読みいただき、ありがとうございました。あなたの足元が、より一層輝くことを願っています。


