「キュッ、キュッ……」
静かなオフィスや大事な会議室、あるいは美術館のような場所で、自分の歩く音だけが響き渡ってしまった経験はありませんか?
お気に入りの革靴でビシッと決めているときほど、あの妙に高い音鳴りは恥ずかしいものです。「もしかして安物を買ったせい?」「サイズが合っていないのかな?」と不安になるかもしれませんが、安心してください。実は、最高級の革靴であっても音が鳴ることは珍しくありません。
この記事では、革靴から発生する不快な音の正体を突き止め、自宅で今すぐできる対策から、プロに頼るべきケースまで徹底的に解説します。今日から足元のストレスとおさらばして、堂々と胸を張って歩きましょう。
そもそもなぜ革靴からキュッキュッという音が出るのか?
革靴の音鳴りには、必ず原因があります。まずは「どこで、何が擦れているのか」を見極めることが解決への近道です。
主な原因は、大きく分けて4つに集約されます。
1. 靴の内部での「摩擦」
最も多いのが、靴の内部でパーツ同士が擦れ合っているケースです。
特に、取り外し可能なインソール(中敷き)を入れている場合、歩行時の沈み込みによってインソールの裏面と靴の底面(中底)が密着し、逃げ場を失った空気が押し出されたり、素材同士が滑ったりすることで「キュッ」という高い音が発生します。
2. 革と革が擦れ合う「革鳴り」
新品の革靴によく見られる現象です。
靴の甲の部分にある「ベロ(タン)」と、紐を通す「羽根」の部分が重なっている場所を想像してみてください。歩くたびに足の甲が曲がると、この重なった革同士が強くこすれ合います。革が乾燥していると、この摩擦が大きくなり、独特の音を立てるのです。
3. 靴底と地面の相性
ゴム底(ラバーソール)の靴に多い原因です。
ピカピカに磨かれたフローリングや、ワックスが効いたタイルの上を歩くときにだけ音が鳴る場合は、地面との摩擦が原因です。靴自体に問題がなくても、素材の組み合わせによって音が出てしまうことがあります。
4. 靴の内部構造「シャンク」の不具合
これは少し厄介なパターンです。
靴の土踏まず部分には、形を維持するための「シャンク」という芯材(鉄や樹脂製)が入っています。このシャンクを固定している接着剤が剥がれたり、パーツが折れたりしていると、荷重がかかるたびに内部で金属的な摩擦音が鳴ることがあります。
【原因別】革靴のキュッキュッ音を消す具体的な対策
原因がわかれば、あとは対策を実行するだけです。特別な道具がなくても、家にあるもので解決できる方法がたくさんあります。
インソールの摩擦を止める方法
もしインソールが原因なら、対策は驚くほど簡単です。キーワードは「滑りを良くすること」です。
- ベビーパウダーを活用する一度インソールを外し、靴の中底(底の面)にベビーパウダーを薄く振りかけてください。その上からインソールを戻すだけで、粉が潤滑剤の役割を果たし、摩擦音がピタリと止まります。粉が飛び散るのが気になる場合は、少量で十分効果があります。
- ワセリンを薄く塗る粉が手元にない場合は、ワセリンやリップクリームをインソールの裏側に薄く塗るのも有効です。ただし、塗りすぎるとインソールが靴の中で滑りすぎて歩きにくくなるため、四隅や中央に点置きする程度に留めましょう。
革鳴り(アッパーの擦れ)を止める方法
革が乾燥して「キュッ」と鳴っている場合は、保湿が不可欠です。
- デリケートクリームで保湿するモゥブレィ デリケートクリームのような、水分量の多いクリームをベロと羽根が重なる部分に塗り込んでください。革がしなやかになれば、摩擦抵抗が減って音が出なくなります。
- ロウを塗るクリームでも止まらない頑固な音には、ベロの縁に沿って「ロウソク」を軽く擦り付ける方法があります。ロウがコーティング剤となり、革同士の滑りをスムーズにしてくれます。
靴底の音を止める方法
地面との摩擦で音が鳴る場合は、靴底の状態を少しだけ変えてあげる必要があります。
- 滑り止めシールを貼る靴底 滑り止めシールをアウトソールに貼るのが最も確実です。地面との接地ポイントが変わるため、不快な音がしなくなります。同時に歩行時の安定感も増すので一石二鳥です。
- 外歩きで表面を馴染ませる新品のラバーソールは表面が非常に滑らかで、それが音の原因になります。あえてアスファルトの上をしっかり歩き、靴底にわずかな凹凸(キズ)がつくことで、床との密着が適度に解消され、音が鳴らなくなることも多いです。
道具がない時の「応急処置」と注意点
「出先でどうしても今すぐ音を止めたい!」という緊急事態に使える裏技をご紹介します。
外出先でできる裏技
コンビニやドラッグストアで手に入るものを活用しましょう。
- ハンドクリームを代用する革鳴り(革同士の擦れ)が原因の場合、少量のハンドクリームを指先にとり、摩擦が起きている部分に薄く塗ってください。一時的ではありますが、驚くほど音が静かになります。
- マスキングテープを貼るベロの裏側など、見えない部分にマスキングテープを貼ってみてください。素材の質感を変えることで、摩擦音の発生を抑えることができます。
やってはいけないNG対策
良かれと思ってやったことが、靴を傷める原因になることがあります。
- 水で濡らすのは厳禁「湿らせれば音が止まるかも」と水をかけるのは絶対にやめましょう。革が硬化してさらに音が大きくなるだけでなく、カビやシミの原因になります。
- 油分の多いクリームの塗りすぎ油分を与えすぎると、革が柔らかくなりすぎて型崩れを起こしたり、靴下が油で汚れたりします。対策は「薄く、ピンポイントで」が鉄則です。
どうしても音が消えない時は?修理の目安
これまでの対策を試しても音が消えない場合、それは靴の「内部構造」に問題があるサインかもしれません。
特に、以下のような症状がある場合は、自宅での修理は諦めてプロの靴修理店に持ち込むことをおすすめします。
- 荷重をかけると「ペキッ」と硬い音がする
- インソールを抜いても、手で靴を曲げるだけで音が鳴る
- 中敷きの下にある「中底」が割れている
これらの症状は、内部のシャンクが折れていたり、接着が完全に剥がれてパーツが浮いている証拠です。修理店で一度ソールを剥がし、内部を再固定する「シャンク交換」や「オールソール」という作業が必要になります。
お気に入りの一足であれば、修理して長く履き続ける価値は十分にあります。まずは靴 修理の相談ができる近所のショップを探してみましょう。
良い靴ほど音が鳴りやすい理由
最後に、少しだけ靴の知識についてお話しします。実は、数万円から十数万円するような「グッドイヤーウェルト製法」などの高級靴ほど、履き始めに音が鳴りやすい傾向があります。
なぜなら、それらの靴には内部にたっぷりと「コルク」が詰められているからです。履き込むうちにコルクが自分の足の形に沈み込み、馴染んでいく過程で、内部のパーツ同士が擦れ合って音が鳴ることがあります。
つまり、キュッキュッという音は「これからあなたの足に馴染もうとしている証」でもあるのです。ある程度履き込んでパーツ同士が落ち着けば、自然と音が消えることも少なくありません。あまり神経質になりすぎず、クリームなどでケアしながら「育てる」感覚で付き合ってみてください。
まとめ:革靴のキュッキュッ音を消す方法!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
革靴から鳴る「キュッキュッ」という音は、多くの場合、自分自身で簡単に対処できるものです。
- 内部の音なら「ベビーパウダー」や「ワセリン」
- 革の擦れなら「デリケートクリーム」での保湿
- 地面との音なら「滑り止めシール」の貼付
この3つのポイントを押さえておけば、大抵の音鳴りトラブルは解決できます。
足元が静かになれば、歩き方も自然と自信に満ちたものに変わります。不快な音に悩まされることなく、スマートなビジネスライフを楽しんでくださいね。
もし、「もっと詳しく革靴のお手入れ方法を知りたい」という方は、専用のケアセットを一つ持っておくと安心です。サフィール シューケアセットなどは、初心者から上級者まで使いやすく、靴を長持ちさせるための強い味方になってくれます。
この記事が、あなたの革靴の悩みを解消する助けになれば幸いです。
革靴のキュッキュッ音を消す方法!原因別の対策と今すぐできる応急処置を徹底解説でした。


