「そろそろちゃんとした靴を一足持っておきたいけれど、革靴とローファーって結局何が違うの?」
「スーツにローファーを合わせている人を見かけるけど、自分もやっていいのかな?」
そんな疑問を抱えている方は少なくありません。靴選びは、大人の身だしなみにおいて第一印象を左右する非常に重要なポイントです。
実は、革靴とローファーの違いを正しく理解していないと、知らず知らずのうちにマナー違反をしてしまい、恥をかいてしまうリスクもあります。一方で、その違いさえマスターしてしまえば、ビジネスから休日まで、どんなシーンでも自信を持って歩けるようになります。
この記事では、革靴とローファーの根本的な定義の違いから、絶対に外せないTPOのマナー、そして後悔しない選び方のコツまで、どこよりも分かりやすく解説していきます。
革靴とローファーは「カテゴリー」が違う
まず、一番大切なポイントからお話しします。結論から言うと、革靴とローファーは対立する関係ではありません。
「革靴」とは、本革や合成皮革で作られた靴の「総称」です。その大きなカテゴリーの中に、紐で結ぶタイプ(紐靴)や、金具で留めるタイプ(モンクストラップ)、そして今回主役となる「ローファー」が含まれています。
つまり、ローファーは革靴という大家族の一員、いわば「末っ子」のような存在だと考えると分かりやすいでしょう。
では、なぜわざわざ「革靴とローファー」と分けて語られることが多いのでしょうか。それは、ローファーが持つ「特殊な構造」と、それに伴う「格付け(フォーマル度)」に理由があります。
ローファーの正体は「怠け者」の靴
ローファー(Loafer)という言葉には、英語で「怠け者」という意味があります。
一般的な革靴は、靴紐をしっかり結ぶことで足に固定します。脱ぎ履きには手間がかかりますが、その分だけ足にフィットし、見た目にも緊張感が生まれます。
対してローファーは、靴紐もバックルもない「スリッポン」形式です。足を滑り込ませるだけで履ける手軽さから、「靴紐を結ぶことすら面倒がる怠け者が履く靴」としてその名がつきました。
このルーツこそが、マナーを考える上での最大のヒントになります。どれだけ高級なブランドのローファーであっても、根本的には「リラックスするための靴」であり、正統派の紐靴に比べると格下(カジュアル)に見なされるのが基本のルールです。
ビジネスシーンでローファーは「あり」か「なし」か
仕事で使う場合、最も気になるのが「スーツに合わせてもいいのか」という点ですよね。
結論を言えば、現代のビジネスシーンにおいてローファーは「条件付きでOK」です。
最近はオフィスカジュアルやビジネスカジュアルが浸透しているため、ジャケパンスタイル(テーラードジャケットにチノパンやスラックスを合わせるスタイル)であれば、ローファーは非常に相性が良いアイテムになります。程よい抜け感が出て、こなれた印象を与えてくれるからです。
ただし、以下のケースではローファーではなく、紐付きの黒の革靴を選ぶのが無難です。
- 重要な商談やプレゼンの日
- 謝罪のために顧客を訪問する時
- 格式の高い式典やイベント
- 非常に保守的な業界(金融、法律など)での仕事
「今日は相手に敬意を払う必要がある」という場面では、あえて手間のかかる紐靴を選ぶことが、誠実さの表現にも繋がります。
結婚式や葬式でやってはいけないマナー違反
冠婚葬祭における靴選びは、ビジネス以上にシビアです。ここでローファーを選んでしまうと、周囲から「常識がない」と思われてしまうかもしれません。
まず、結婚式についてです。
親族として出席する場合や、格式高いホテルでの披露宴では、黒の「内羽根式ストレートチップ」と呼ばれる紐靴が正装です。ローファーは避けてください。
一方で、友人中心のカジュアルな二次会や、ガーデンウェディングのようなパーティ形式であれば、ローファーで華やかさを演出しても問題ありません。
次に、お葬式(弔事)についてです。
これは非常に重要ですが、お葬式でローファーを履くのは絶対にNGです。
先ほどお伝えした通り、ローファーは「怠け者」を語源とするカジュアルな靴です。厳粛な場で「楽な靴」を履いていくことは、故人や遺族に対して大変失礼にあたります。また、金具がついたデザイン(ビットローファーなど)は、殺生を連想させたり光り物であったりするため、重ねてマナー違反となります。
葬儀の場には、必ず黒のシンプルな紐靴で向かいましょう。
ローファーの代表的な種類をマスターしよう
ローファーと一口に言っても、デザインによって印象はガラリと変わります。代表的な4つのタイプを知っておくと、靴選びがぐっと楽しくなります。
コインローファー(ペニーローファー)
最もスタンダードなタイプです。甲の部分にあるサドル(帯状のパーツ)に切り込みが入っているのが特徴です。1950年代のアメリカの学生たちが、この切り込みに幸運の1セント硬貨(ペニー)を挟んでいたことからその名がつきました。非常に汎用性が高く、ジーンズからジャケパンまで幅広く合わせられます。
タッセルローファー
甲の部分に房飾り(タッセル)がついたデザインです。もともとはアメリカの俳優が依頼して作られたのが始まりと言われています。ローファーの中では最もドレッシーとされ、ビジネスシーンでの愛用者も多いのが特徴です。少し大人っぽく、知的な印象を与えたい時におすすめです。
ビットローファー
馬具の形を模した金属パーツがついているタイプです。gucciが発表したことで世界的に有名になりました。足元にキラリと光るアクセントが加わるため、非常に華やかでファッショナブルな印象になります。コーディネートの主役になれる一足です。
ヴァンプローファー
装飾が一切ない、非常にシンプルなタイプです。甲のラインが美しく、無骨で男らしい雰囲気が漂います。シンプルゆえに飽きが来ず、長く愛用できるのが魅力です。
失敗しないサイズ選びの鉄則
革靴、特にローファーを選ぶ際に最も注意すべきは「サイズ感」です。これが紐靴との決定的な違いになります。
紐靴であれば、多少大きくても紐をきつく締めることで調整が可能です。しかし、ローファーにはそれができません。サイズが合っていないと、歩くたびにかかとがパカパカと浮いてしまい、靴擦れの原因になるだけでなく、見た目も非常に格好悪くなってしまいます。
ローファー選びのコツは、以下の3点です。
- 「少しきついかな?」と思うくらいを選ぶ本革の靴は、履き込むうちに自分の足の形に合わせて伸び、馴染んできます。新品の状態でジャストサイズだと、後でゆるくなってしまうことが多いのです。
- 試着は夕方に行う足は一日の中でむくみます。朝と夕方ではサイズが変わるため、最も足が大きくなる夕方に試着するのが失敗を防ぐポイントです。
- 薄手の靴下で合わせるローファーは素足風に履くことも多いため、厚手のスポーツソックスではなく、実際に履く時と同じ厚さの靴下で試着しましょう。
もし迷ったら、シューホーンを使って、ようやく足が入るくらいのタイトさを目安にしてみてください。
長く愛用するためのお手入れ
せっかくお気に入りの一足を手に入れたなら、長く綺麗に履き続けたいですよね。革靴は手入れ次第で5年、10年と使い続けることができます。
基本的なケアは、履いた後の「ブラッシング」です。馬毛ブラシを使って、表面についたホコリを落とすだけで、革の劣化を大幅に防げます。
また、ローファーは形が崩れやすいため、脱いだ後は必ずシューキーパーを入れて保管しましょう。これにより、反り返りを防ぎ、美しいシルエットを保つことができます。
特に雨の日に履いてしまった後は、乾いた布で水分を拭き取り、風通しの良い場所でしっかり休ませることが大切です。革靴にとって湿気は天敵ですので、同じ靴を毎日履き続けるのではなく、1日履いたら2日休ませる「ローテーション」を意識してみてください。
まとめ:革靴とローファーの違いを知って賢く使い分けよう
ここまで、革靴とローファーの違いについて詳しく解説してきました。
最後に、重要なポイントを振り返りましょう。
革靴は全体の総称であり、ローファーはその中の一種です。最大の違いは「靴紐の有無」と、そこから生まれる「フォーマル度の違い」にあります。
ローファーは着脱が楽で非常に便利なアイテムですが、その背景にある「怠け者」というルーツを忘れてはいけません。大切な商談や葬儀といった、格式や礼儀が求められる場では紐靴を選び、カジュアルなオフィススタイルや休日のデートではローファーを楽しむ。
この「使い分け」ができることこそが、本当におしゃれでマナーを知る大人の姿です。
自分のライフスタイルにぴったりの一足を見つけて、足元から毎日をアップグレードしていきましょう。最初はリーガルのような日本の老舗ブランドからチェックしてみるのも良いかもしれませんね。
正しい知識を持って選んだ靴は、きっとあなたを素敵な場所へ連れて行ってくれるはずです。
革靴とローファーの違いをマスターして、シーンに合わせた最適な足元を演出していきましょう!


