「走ると膝が痛くなる」「膝をいたわりながらランニングを楽しみたい」――そんな人にとって、シューズ選びは何より大切です。
ランニングは全身を使う健康的な運動ですが、着地のたびに体重の3倍近い衝撃が膝にかかるとも言われます。
そこで今回は、膝への負担を軽減してくれる“膝に優しいランニングシューズ”の選び方と、おすすめモデルを紹介します。
初心者はもちろん、通勤ランやウォーキング用としても参考になる内容です。
膝に優しいランニングシューズとは？
「膝に優しい」とは、シューズが着地時の衝撃を吸収し、膝関節への負担をやわらげてくれるということ。
特に大切なのは、クッション性・安定性・フィット感の3つです。
- クッション性
着地時の衝撃をどれだけ吸収できるか。柔らかすぎると不安定になりますが、硬すぎても衝撃が膝に直撃します。理想は「沈み込みすぎず、弾むような感覚」があること。 - 安定性
足のブレを防ぐことで、膝のねじれや横方向の負担を抑えます。特に“オーバープロネーション（足が内側に倒れやすい）”の人は、安定性の高いモデルが向いています。 - フィット感
サイズが合わない靴は、無意識のうちにフォームを崩し、膝の軌道を乱します。かかと・土踏まず・つま先が自然に収まるものを選ぶのが鉄則です。
この3つの要素がそろったシューズこそ、「膝に優しい」シューズと言えます。
ランニング時に膝へかかる負担の正体
走るとき、膝には地面からの反力がダイレクトに伝わります。
特に硬いアスファルトや下り坂では、1歩ごとに強い衝撃が膝蓋骨や半月板に蓄積。
これが「ランナー膝（膝蓋大腿痛症候群）」などの原因になりやすいのです。
また、足の着地姿勢も膝への影響を左右します。
かかとから着地する「ヒールストライク」は衝撃が大きく、膝に負担が集中しがち。
一方、ミッドフットやフォアフット着地（足裏の中部や前方で着地する）だと、ふくらはぎや足首に衝撃が分散され、膝が守られやすくなります。
とはいえ、着地方法を変えるのは簡単ではありません。
まずは“靴のクッションと安定構造”で、自然に膝をサポートすることが現実的です。
膝に優しいシューズを選ぶときの5つのポイント
1. クッション性は「柔らかすぎず、反発もある」ものを
ふんわり沈むだけの靴は膝には優しそうに見えますが、実際はフォームが安定せず逆効果。
ミッドソールが適度に弾力を持ち、着地後にしっかりと蹴り出せるタイプが理想です。
アシックスの「GEL」やニューバランスの「Fresh Foam」シリーズなどは、衝撃吸収と反発力の両立に定評があります。
2. 安定性を高めるサポート構造
内側のミッドソールを少し硬めにした「メディアルポスト」や、外側を広げた「ワイドソール」など、安定を意識した設計が有効です。
特に脚が内側に倒れやすい人は、スタビリティタイプのシューズを選びましょう。
走行中の膝のブレを防ぎ、軌道を安定させてくれます。
3. ヒールドロップ（かかととつま先の高低差）にも注目
ドロップが大きい（かかとが高い）と膝の伸展が強まり、膝前面に負担が集中しやすくなります。
一方、ドロップが低いとふくらはぎに負荷がかかるため、最適なのは「8〜10mm前後」の中間設計です。
4. 路面や体重に合わせる
体重が重い人、硬い路面で走る人はクッション重視。
軽量ランナーや芝・トラックを走る人は、やや硬めでも安定性を重視したモデルが合います。
自分の走る環境に合わせて選ぶことが、結果的に膝を守る近道です。
5. シューズの寿命も忘れずに
クッション素材は走行距離とともに劣化します。
おおむね500〜800kmを目安に履き替えを検討しましょう。
外観に問題がなくても、ミッドソールが潰れていれば膝への衝撃は倍増します。
膝に優しいランニングシューズおすすめ10選
ここでは、実際に「膝に優しい」と評価の高い人気モデルを紹介します。
どれも膝や関節への負担を軽減し、長時間走っても疲れにくい設計です。
1. アシックス GT-2000 13
スタビリティ系の定番。ミッドソールの「FF BLAST PLUS」が着地衝撃を吸収し、膝のブレをしっかり抑えてくれます。初心者から中級者まで幅広く対応。
2. ニューバランス Fresh Foam X 1080 v14
柔らかくも沈み込みすぎない極上クッション。長距離ランでも膝や足首に優しい履き心地で、通勤ランにもおすすめ。
3. ホカ オネオネ Clifton 9
厚底クッションの代表格。EVAフォームによる圧倒的な衝撃吸収力が魅力。軽量かつ安定感があり、膝へのダメージを最小限に。
4. ナイキ InfinityRN 4
フォームコアに「ReactX」を採用し、反発性と安定性を両立。過回内を防ぎながら自然な走りをサポートします。
5. ミズノ Wave Inspire 20
ミズノ独自の「WAVEプレート」が着地のブレを分散。足元をしっかり支え、膝のねじれを軽減してくれます。
6. アディダス Supernova Rise
新開発「Dreamstrike+」ミッドソールが柔らかく反発。衝撃を吸収しつつも推進力が得られるので、長時間でも快適。
7. サッカニー Guide 16
スタビリティ重視派に人気。軽量ながら内側補強で膝の内倒れを防止。スムーズな重心移動を実現します。
8. ブルックス Glycerin 21
DNA LOFT v3 フォームによるふわっとしたクッション。ソフトな感触ながら安定感も高く、膝に優しい履き心地。
9. オン Cloudstratus 3
二層構造のクラウドポッドで衝撃をしっかり吸収。長距離ランやウォーキングにも適しており、膝の疲れを軽減します。
10. アンダーアーマー HOVR Infinite 5
「HOVRフォーム」が衝撃を吸収し、反発力で推進。安定性が高く、関節に優しい着地をサポートします。
走る前に知っておきたい膝ケアの基本
いくら良いシューズを選んでも、フォームや体の使い方が悪ければ膝は守れません。
走る前後には、次のようなケアを取り入れましょう。
- ウォームアップとストレッチ
太もも前側（大腿四頭筋）とお尻まわり（中臀筋）を軽く伸ばすと、膝の動きがスムーズになります。 - フォームの見直し
着地が前方すぎる「オーバーストライド」になっていないか確認。足の真下で着地する意識を持ちましょう。 - 休息と履き分け
毎日同じ靴を履かず、2〜3足をローテーションすることで、ソールのへたりを防げます。
膝に優しいランニングシューズで長く走ろう
膝は一度痛めると回復に時間がかかります。
だからこそ、最初の一足から「膝を守る設計」のシューズを選ぶことが大切です。
今回紹介した10モデルはいずれも、衝撃吸収・安定性・履き心地のバランスが取れた名品ばかり。
ランニングだけでなく、通勤やウォーキングにも活躍してくれます。
走る楽しさを長く続けるために――
ぜひ、自分の足と膝に優しい一足を見つけてください。
