「おしゃれは足元から」とはよく言ったものですが、最近の街中を見渡すと、誰も彼もが同じような有名ブランドの定番モデルを履いていることに気づきませんか?
もちろん、名作と呼ばれるスニーカーにはそれなりの理由があります。履き心地が良く、どんな服にも合わせやすい。それは間違いありません。でも、ファッションを愛する私たちにとって、どこへ行っても誰かと被ってしまうというのは、少しだけ寂しい気持ちになるものです。
「流行には乗りたいけれど、量産型にはなりたくない」
「自分だけのこだわりを、さりげなく足元に忍ばせたい」
そんな思いを抱えているあなたへ。今回は、ファッション業界人やスニーカーマニアが密かに注目している「知る人ぞ知るスニーカーブランド」を厳選してご紹介します。
2026年の空気感を纏いつつ、時代に流されない普遍的な魅力を持つ隠れ名作たち。これらを知ることで、あなたのスニーカー選びはもっと自由で、もっと知的なものに変わるはずです。
2026年のスニーカートレンドは「物語」と「職人技」へ
今、スニーカーの世界では大きな変化が起きています。数年前まで主流だった「派手なロゴ」や「巨大な厚底」のブームが一段落し、より本質的な価値が見直される時代に入りました。
キーワードは「クラフトマンシップ」と「ストーリー」です。
どこの国で、どんな歴史を持つ工場で、どんなこだわりを持って作られたのか。そんな背景を持つ一足が、今のファッショニスタたちの心を捉えています。ただ高価なブランドを履くのではなく、「なぜその靴を選んだのか」という物語を語れること。それが、2026年における本当の「通」の条件と言えるでしょう。
また、サステナビリティへの意識もより深化しています。単に「リサイクル素材を使っている」というだけでなく、長く履き続けられる堅牢な作りであるか、ソールを張り替えて使い続けられるかといった、モノを大切にする姿勢そのものがクールだとされるようになっています。
これから紹介するブランドは、どれもそんな今の時代精神を体現しているものばかり。それでは、足元の感度を研ぎ澄ませていきましょう。
東欧の静かな情熱が生んだ名作「NOVESTA」
まず最初にご紹介したいのは、スロバキア発のシューズブランド「NOVESTA(ノヴェスタ)」です。
創業は1939年。旧チェコスロバキア時代の軍用靴工場をルーツに持つこのブランドは、今でも当時と変わらない伝統的な製法を守り続けています。
職人の手仕事が光るヴァルカナイズ製法
ノヴェスタの最大の特徴は、天然ゴムを加熱してアッパーと結合させる「ヴァルカナイズ製法」です。この製法自体は珍しいものではありませんが、ノヴェスタのそれは一味違います。
ソールとアッパーの継ぎ目から少しだけはみ出したゴム。これこそが、熟練の職人が一足ずつ手作業で仕上げている証です。均一すぎる機械生産品にはない、温かみと力強さがそこには宿っています。
狙うべきは「MARATHON」
ノヴェスタにはキャンバス地の定番モデルもありますが、より通好みなのがNOVESTA MARATHONです。
これは1988年のソウル五輪の際、チェコスロバキア代表の選手が履いていたトレーニングシューズをベースにしています。レトロなランニングシューズのフォルムを保ちつつ、カラーリングは非常に洗練されており、セットアップの外しからカジュアルなデニムスタイルまで、驚くほど幅広く対応してくれます。
80年代の風を纏う、再始動した伝説「AUTRY」
最近、感度の高いセレクトショップの棚で、アメリカ国旗のロゴが入ったクラシックな一足を見かけませんか? それが、今急速に注目を集めている「AUTRY(オートリー)」です。
テニスシューズの黄金時代を現代に
オートリーは1982年にテキサス州で誕生したブランドです。一時は市場から姿を消していましたが、近年ヨーロッパを拠点に再始動。これが「まさに今の気分」にぴったりハマったのです。
80年代のスニーカーが持っていた、少し野暮ったいけれど愛嬌のあるボリューム感。それを現代的な上質なレザーでアップデートしたのが彼らの戦略です。
圧倒的人気の「MEDALIST」
ブランドの顔とも言えるのがAUTRY MEDALIST。
見た目はシンプルなテニスシューズですが、手に取るとその質感の高さに驚かされます。内側にはパイル地(タオル地)が使われており、足当たりが非常にソフト。さらにインソールには厚みがあり、見た目以上に快適な歩行をサポートしてくれます。
ヴィンテージ加工が施されたモデルを選べば、購入したその日から「履き込まれたこなれ感」を演出できるのも嬉しいポイント。白スニーカーの選択肢に悩んでいるなら、これこそが最適解かもしれません。
英国の誇りを足元に「WALSH」
イギリスのスニーカーと言えば何を思い浮かべますか? おそらく多くの人は別の有名ブランドを挙げるでしょう。しかし、本当の英国愛好家が選ぶのは「WALSH(ウォルシュ)」です。
今なお英ボルトンの工場で作られる希少性
1961年に設立されたウォルシュは、今でもイギリス国内の自社工場で生産を続けている希少なブランドです。かつては英国のオリンピックチームのシューズを手掛けていたという、輝かしい実績を持っています。
効率を重視して生産拠点を海外へ移すブランドが多い中、頑なに「Made in England」を貫くその姿勢。これこそが、知る人ぞ知る存在であり続ける理由です。
英国らしい気品漂う「Ensign」
特におすすめしたいのがWALSH Ensignです。
1981年のニューヨークマラソンに参加するイギリスチームのために開発されたモデル。非常に軽量で、シュッとしたスマートなシルエットが特徴です。
英国ブランドらしい、深みのあるネイビーや落ち着いたグレーの配色が絶妙で、ジャケパンスタイルなどの少し綺麗めな格好に合わせると、その真価を発揮します。「大人のためのランニングシューズ」を探している方には、これ以上の選択肢はありません。
都市生活者のための建築的スニーカー「OAO」
ここからは、日本から発信される新しい才能に目を向けてみましょう。「OAO(オーエーオー)」は、2020年にスタートしたばかりの新しいブランドですが、すでにクリエイターやIT業界の感度の高い層から熱烈な支持を受けています。
「移動をアートにする」という哲学
OAOのスニーカーを見ていると、どこか建築物や現代アートのような印象を受けます。それもそのはず、彼らは「都市での歩行」をクリエイティブな活動と捉え、機能性と美しさを極限まで融合させることを目指しているからです。
単に見た目が良いだけでなく、ソールには世界的に有名なVibram(ヴィブラム)社のものを採用するなど、歩きやすさへの妥協も一切ありません。
彫刻のような美しさ「SUNLIGHT」
ブランドを象徴するモデルがOAO SUNLIGHT。
彫刻家イサム・ノグチの作品からインスピレーションを得たというその曲線美は、唯一無二。ボリューム感のあるソールでありながら、全体として非常にクリーンで洗練された印象を与えます。
「ハイテクスニーカーの快適さは欲しいけれど、ゴツゴツしすぎたデザインは苦手」という方にとって、OAOはまさに救世主のようなブランドです。
スポーツブランドの枠を超えた「MIZUNO 1906」
日本が世界に誇るスポーツブランド、ミズノ。競技用のイメージが強いかもしれませんが、彼らが展開するライフスタイルライン「MIZUNO 1906」や「RB-LINE」が、今、海外のセレクトショップでとんでもない人気になっているのをご存知でしょうか。
海外のプロが認める「技術の逆輸入」
もともとミズノの技術力は世界トップクラス。その高い機能性を、現代のストリートファッションに馴染むデザインに落とし込んだのがこれらのラインです。
特にヨーロッパのファッションシーンでは、ハイブランドの服にあえて「MIZUNO」を合わせるスタイルが「最高にクールな外しのテクニック」として定着しています。
2026年の最注目モデル「WAVE RIDER 10」
いま選ぶならMIZUNO WAVE RIDER 10が間違いありません。
2000年代中盤のハイテク感をあえてそのまま残したような、複雑なパーツ構成とメッシュの組み合わせ。これが今の「Y2Kトレンド」や「テックスタイル」に完璧にフィットします。
他人の目が気になる定番ブランドから一歩抜け出し、あえて日本が誇るガチのスポーツブランドをファッションとして履きこなす。その「あえて感」こそが、大人の余裕を感じさせます。
イタリア発、モードと山を繋ぐ「ROA Hiking」
キャンプや登山といったアウトドアが日常に溶け込んだ今、注目すべきは「ROA Hiking(ロア・ハイキング)」です。イタリア発のこのブランドは、ハイキングブーツの堅牢性と、イタリアンモードの洗練さを併せ持っています。
泥臭さのない、都会的なアウトドア
多くのアウトドアブランドが「自然の中での見え方」を重視するのに対し、ROAは「都市でどう美しく見えるか」を考えて設計されています。
もちろん、ソールにはVibramを採用し、本格的な登山にも耐えうるスペックを持っています。しかしそのシルエットは驚くほど細身でシャープ。黒のワイドパンツやスラックスと合わせた時の相性の良さは、他のどのアウトドアスニーカーも及びません。
街履きとしての完成形「Katharina」
特筆すべきモデルはROA Katharinaです。
一見するとローカットの登山靴ですが、異素材を組み合わせた独特のカラーパレットや、洗練されたシューレースのシステムなど、細部に至るまでデザインが行き届いています。
「Salomon(サロモン)はもうみんな履いているしな……」と二の足を踏んでいる方にこそ、ぜひ試していただきたいブランドです。
失敗しない「隠れ名作」の選び方とサイズ感
ここまで魅力的なブランドを紹介してきましたが、マイナーなブランドを選ぶ際には特有の注意点もあります。
サイズ選びは慎重に
今回紹介したNOVESTAやWALSH、AUTRYなどの欧州系ブランドは、日本のメーカーに比べて「幅が狭く、甲が低い」傾向にあります。
普段、幅広の作りが多いNIKEやNew Balanceを履いている方は、同じサイズだと少し窮屈に感じるかもしれません。可能であればハーフサイズ(0.5cm)アップを検討するか、まずは厚手の靴下で調整することを想定して選ぶのが定石です。
購入場所を確保する
「知る人ぞ知る」ブランドの欠点は、近所のABCマートなどでは手に入らないことです。
狙い目は、大手セレクトショップ(BEAMS、UNITED ARROWS、Editionなど)のオンラインストアや、中目黒や代官山にある感度の高い個人店です。特にスニーカー ケア用品も併せてチェックしておけば、お気に入りの一足を長く、美しく保つことができます。
知る人ぞ知るスニーカーブランド厳選!通好みの隠れ名作モデルを徹底紹介
いかがでしたでしょうか。
スニーカーは単なる移動のための道具ではありません。それはあなたの価値観を表現し、毎日を共にする相棒のような存在です。
今回ご紹介したブランドは、どれも独自の哲学を持ち、流行の波に安易に乗ることなく、自分たちの信じる「良い靴」を作り続けています。
- 伝統を重んじるなら NOVESTA や WALSH
- 今の気分を上品に纏うなら AUTRY や D.A.T.E.
- 新しい価値観に触れたいなら OAO や MoEa
- 機能美を追求するなら MIZUNO や ROA Hiking
どのブランドを選んだとしても、それを履いて街に出た時の気分は、きっとこれまでとは違うはずです。「それ、どこの靴?」と聞かれた時、そのブランドの背景を少しだけ誇らしげに語る。そんな体験も含めて、知る人ぞ知るスニーカーの魅力と言えるでしょう。
流行が目まぐるしく変わる2026年だからこそ、自分だけの「隠れ名作」を見つけ出し、あなたらしい足元の一歩を踏み出してください。
あなたのスニーカーライフが、より豊かで、個性あふれるものになることを願っています。


