「現場で一番怖いのは転倒だ」と多くの作業者が口をそろえて言います。
安全靴は足先を守るだけでなく、転倒を防ぐための“滑りにくさ”も重要な性能。この記事では、滑らない安全靴の選び方や、実際にグリップ力で評価の高いおすすめモデルを紹介します。
滑らない安全靴が必要な理由
建設現場や倉庫、工場、厨房などでは、床が濡れたり油が飛んだりして滑りやすくなることがあります。転倒によるケガは重大事故につながるため、現場では「滑りにくい靴=命を守る道具」と言っても過言ではありません。
特に冬場の結露や、油を扱う現場、雨天での屋外作業などは滑りのリスクが高まります。靴底が摩耗していると滑りやすさが一気に増すため、日常的な点検も欠かせません。
滑りにくい安全靴を見極めるポイント
1. ソール素材に注目
滑りにくさは靴底の素材が大きく左右します。
一般的なゴムソールよりも、特殊なラバーコンパウンドを使用したタイプが高いグリップを発揮します。
代表的な素材には以下のようなものがあります。
- HyperV®ソール(日進ゴム):一般ラバーの2.5倍以上のグリップ性能で、油床や濡れたタイルにも強い。
- ハイグリップソール(ミドリ安全):特殊配合ゴム+独自パターン設計により、滑りにくさと耐久性を両立。
- CPグリップソール(アシックス):建設現場など不整地にも対応するラバー素材。
これらの素材は、濡れた床や油面でもしっかり地面を捉え、滑り出しにくい構造を持っています。
2. 靴底パターン(トレッドデザイン)
靴底の溝やパターンは、滑りにくさに直結します。
液体を逃がす排水溝のような役割を果たし、水膜ができるのを防ぎます。
- 深めの溝があるタイプ
- 斜め方向にもトレッドが刻まれた多方向グリップタイプ
- 細かなブロック状パターンで油を逃がす設計
こうした構造が、どの方向に力がかかっても地面をしっかり掴む助けになります。
3. 耐滑規格のチェック
JISやJSAAなどの安全靴規格のうち、耐滑性能が検証されているものを選ぶと安心です。
海外では「SRA」「SRB」「SRC」といった耐滑ランクがあり、日本でもメーカー独自の耐滑試験結果を表示していることがあります。
4. 現場環境との相性
現場の床環境によって、適した靴は変わります。
- 厨房・食品工場:油+水に強いソールが必須。
- 倉庫・物流:歩行距離が長いため、軽量性とクッション性も重視。
- 建設現場:泥や砂、鉄板など多様な路面に対応できる凹凸ソールが必要。
- 冷凍庫・雪上:低温でも硬化しにくいゴム素材が効果的。
滑りにくさを長持ちさせるコツ
せっかくの高耐滑靴も、使い方を誤れば効果は半減します。
以下のポイントを押さえてメンテナンスしましょう。
- 靴底が摩耗したら交換する(スリップサインを確認)
- 靴底の汚れ・油は定期的に拭き取る
- サイズが合わない靴は避ける(足が靴内で滑る)
- 長時間歩行が多い現場ではクッション性のあるインソールを併用
ミドリ安全など一部メーカーでは、ソールの摩耗度が一目で分かる「スリップサイン」を搭載したモデルもあります。
滑らない安全靴おすすめ12選
ここからは、実際に「滑りにくさ」で高い評価を得ている人気モデルを紹介します。
価格やデザインよりも、まずは安全性とグリップ性能を重視して選びましょう。
1. ミドリ安全 ハイグリップセフティ HGS4
厨房や食品工場で定番の人気シリーズ。
「ハイグリップソール」による高い耐滑性と軽量性が特徴。濡れ床・油床でも安定感抜群。
2. アシックス ウィンジョブ CP302
建設現場でも支持が厚い定番モデル。
「CPグリップソール」を採用し、不整地・雨天時でも滑りにくく、屈曲性も高い。
3. 日進ゴム HyperV#2000
「滑らない靴」の代名詞的存在。
HyperV®ソールが発揮する圧倒的な摩擦力で、油面や水面でも強いグリップを実現。
4. ミズノ オールマイティ AS
スポーツシューズのような履き心地と安定性を兼備。
靴底の耐滑ラバーが滑りに強く、倉庫作業や配送業にもおすすめ。
5. プーマセーフティ URBAN MOTION
ファッション性と機能性を両立。
ドイツ発の安全靴ブランドで、滑りにくいラバーソールを採用し街履きにも違和感なし。
6. ジーベック 85141
コスパ重視派に人気のモデル。
耐滑ソール搭載で、軽作業や倉庫など幅広い現場に対応。
7. ミドリ安全 ハイグリップ H-711N
軽量+高グリップ設計で、長時間の立ち仕事にも最適。
厨房や飲食店、清掃業などの滑りやすい床でも安定感がある。
8. アシックス ウィンジョブ CP209 BOA
Boaダイヤルで素早く着脱できるタイプ。
CPグリップソールにより、足場の悪い現場でも高い安定性を確保。
9. ワークマン フィールドコア ハイグリップセーフティ
コスパの高さで人気のワークマンモデル。
独自の滑り止めラバーを採用し、軽くて動きやすい。
10. ドンケル マジカルセーフティ#700
老舗メーカーの高品質モデル。
靴底の意匠が細かく刻まれ、油床でも滑りにくい。
11. TULTEX AZ-51649
アイトス社製の人気安全靴。
グリップ力に優れたラバーソールと通気性の高いメッシュアッパーで快適性も抜群。
12. シモン WS33BL
JIS認定の高耐滑モデル。
靴底パターンが深く、金属板や濡れコンクリートでも滑りにくい設計。
シーン別おすすめの選び方
- 厨房・飲食業:ミドリ安全 ハイグリップセフティ HGS4 シリーズ
- 建設・現場作業:アシックス ウィンジョブ CP302、シモン WS33BL
- 物流・倉庫:ミズノ オールマイティ AS、ジーベック 85141
- ファッション兼用派:プーマセーフティ URBAN MOTION、ワークマン フィールドコア ハイグリップセーフティ
使用シーンを明確にすることで、より安全で長持ちする一足を選べます。
滑らない安全靴で事故ゼロを目指そう
「滑らない安全靴」は、単なる便利グッズではなく、“安全意識”そのものを形にした道具です。
グリップ力の高い靴を選ぶことで、転倒やケガを防ぎ、安心して働ける環境づくりにつながります。
毎日使うものだからこそ、ソールの摩耗やフィット感をこまめに確認し、自分の現場に最適な一足を選びましょう。
安全靴の進化は止まりません。これからも、滑らない技術は働く人の足元を支え続けてくれるはずです。


